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平日の過ごし方【AM編】

刑務所の1日をご紹介しよう。
ただ、あくまでも私の収容された刑務所の1日だ。
施設によって多少の違いがあるのはご了承願いたい。

まずは「平日・午前中」の過ごし方。

6:30  起床
      10分以内に身支度を整える
      布団は決められたとおりに畳む
      パジャマから官衣(室内着)に着替える 等
        ↓
      点検
      これが刑務所あるある。
      居室は外側から鍵が掛かっており、常人は脱走などしない。
      しかし、朝起きたときに居室に収容者がちゃんといるか、
      職員(刑務官)が確認していく時間。
      職員から、
       「番号」
      と、声掛けされたら、自分の称呼(しょうこ)番号を言う。
      この称呼番号は、入所時に収容者に割振られた番号のことで、
      名前の代わりに呼ばれるケースが多い。
      「〇〇さん」と、最近は呼ばれるように変わったが、
      それでも昔ながらの職員は、「〇〇番」と呼ぶことが多い。
7:00  朝食
      朝ごはんは、各居室で喫食(食べること)する。
      ちなみに、食事の際の机の向きは定められており、
      食事中の講談(会話すること)は禁止されている。
      嫌いなものを同部屋の人にあげるのも禁止。
      嫌いなものは残飯として廃棄するのがルール。
      →実際は、食事の交換やシャリあげ(食事を奪うこと)は
       常習化しており、職員にバレずにやることが武勇伝となる。
      朝食のメニューは曜日毎に決まっている。
      例えば、月曜なら(玄米・味噌汁・きな粉・きゅうり漬け)。
      ご飯は結構多い。食の細い収容者は毎回残すほどだ。
      きな粉はご飯にかけるのだが、若干甘みがあるため、ある意味
      デザート感覚となる。きな粉を隠して懲罰を受ける者もいる。
       ※食事については後日書きたいと思う。

      食後は、各人作業に向けて準備を整える。
      歯磨きをしたり、ひげを剃ったり、トイレに行ったり。
      束の間の休憩となる。

7:25  出室
      作業に向けて、部屋から出ることをいう。
      部屋から出る際にも、自分の称呼番号を言う。
      「〇〇番、出ます!」
      と、勢いよく言う。この掛け声で、
      職員はやる気の有無をチェックしているらしい。
      出た後は、廊下の窓側を向いて静止。
      職員が号令を掛けるまで、動いてはならないし、
      よそ見をしてもいけない。
      フラフラしたり、顔を動かしてよそ見をしていると怒られる。

      そして、号令に合わせて行動する。
       「一同、回れ右!」
       「左向け、左!」
       「前進め!」
      などの、まるで運動会のような号令が飛び交っている。
      以前は軍隊のような行進をしていたが、最近は変わってきた。
      ただ、職員の考え方によっては昔ながらの行進をしている。
         ↓
      検身場を通る
      居室から作業場である工場に行く途中で、服を着替える。
      居室衣から作業着に着替えるのだ。
      その際、何か変な物を隠し持っていないか、
      身体に異常はないかチェックするために、
      パンツ一丁になって検査される。
      その検査場を「検身場」と呼ぶ。
      パンツのゴムを前後引っ張ることで、
      パンツの中に隠していないことを証明するのだ。
         ↓
      工場へ向かう
      もちろんここも行進だ。
      全員が一糸乱れぬ行進をすることが求められる。

8:00  作業開始
      工場ごとに刑務作業が異なる。
      また、その中にも作業の分担がある。
       ・衛生係  各工場のトップ
       ・班長   各班のトップ
       ・一般作業者
      大まかにこのような序列がある。
      作業中は一切の講談が禁止されている。
      講談したい場合は、手を挙げて職員の許可を取る。
      言い方も決まっており、まるで軍隊である。
     
      収容者:(手を挙げながら)「はいっ!」
      職 員:「要件!」 ←お前の要件はなんだ?という意味。
      収容者:「〇〇のため、〇〇さんと講談願います!」
      職 員:「よしっ!」
      この流れで、初めて話すことが出来るのだ。
      これはすべての動作に当てはまる。
      例えば、トイレに行きたい時や鼻をかみたい時、
      席を立ちたい時や服を脱ぎたい時。
      すべての動作に許可がいるのだ。

      休憩(5分)
      休憩とは名ばかりで、基本的にはトイレに行きたい人が
      行きやすいようになっているだけである。
      話すことは勿論のこと、席を勝手に移動できない。
      一般作業者は、昼食時まで話をしないことはざらである。

11:55 昼食
      工場内に設けられた食堂で全員一斉に喫食する。
      その後TV休憩となるのだが、食べ終わるまで講談
      出来ないのと、皆早くTVを見たり雑談したいので、
      一目散にご飯を食べる。収容されていると早食いに
      なるのは、このような理由のためだ。
      早食い競争のように食べ、遅いものは皆から白い目で
      見られる。
      あまりにも遅いと職員が直接プレッシャーをかける。
         ↓
      食器を片付け終わったらTV視聴となる。
      工場によっては、TV視聴時は講談禁止のところもある。
         ↓
      TV終了。休憩(15分前後)
      ここでやっと雑談が可能となる。
      違う部屋の収容者と話をしたり、
      職員に相談事をしたり出来る。
      ただ、席を立つことは許されない。
      少し席が離れている人とは、午後にある運動の時間などを
      使って雑談をすることが出来る。

ここまでが、刑事施設での「平日・午前中」の過ごし方である。
現在、刑事施設に収容されている受刑者は、
「懲役刑」か「禁固刑」
の、2択である。(労役というのもあるがここでは触れない。)
「懲役刑」は、作業をして過ごすのが刑罰なので、このように作業を
行って日々を過ごしていく。
作業は刑事施設によって異なる。
木彫りの熊をつくるところもあれば、石鹸を作るところもある。
ちなみに私がいたところは、100円ショップの商品を扱っていたし、
革製品なども作成していた。
内職のような作業もあったし、職人のような作業もあった。
共通して言えるのは、黙々と喋らずやることだ。

では、この作業がなんのために行われているのか?
その辺りは後日触れていきたいと思う。     


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