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休日の過ごし方【PM編】

午前中は掃除をして、テレビやラジオを見聞きして過ごした。
と、いうことで本日は【PM】をご覧いただきたい。
引き続き、私のいた施設のスケジュールだということをご理解いただいて。


①11:30 テレビOFF → 昼食

 テレビの電源は職員が入れる。
 職員によって時間が前後することは前回お伝えした。
 しかし、テレビをOFFにするのは「ほぼ」時間通りなのだ。
 このあたりが、さすが刑務所!といったところだ。

 昼食も配膳係が各居室に配膳していく。
 そのため、この時間になると配膳係が居室から出室する。
 休みの日でも、声出しは変わらない。
 「〇〇番、出ますっ!」
 と、大声を出して部屋から出て、準備場所へ連行されていく。

☆受刑者全員が楽しみにしている昼食

 土曜日・・・パン&スープ

 主食は基本的に「ごはん」である。
 しかし、毎週土曜日の昼食は「パン」なのだ。
 東海地方の某施設は、自前でパンを焼いているので、
 相当美味しいパンが食べられるらしい。
 受刑者は皆、このパンを楽しみにしている。
 
 そして、メインのおかずになる「スープ」がまた楽しみなのだ。
 ・パンプキンスープ
 ・サツマイモのシチュー
 ・コーンクリームスープ
 ・コザックスープ など
 それも、皆さんが考えているような「一般的」な汁椀ではない。
 イメージは「どんぶり」の大きさの汁椀なのだ。
 量は約400mlと、食べ応えがあるし飲み応えもある。
 そして、食事は施設内で毎食受刑者が作る。
 つまり、毎日毎食作り立てが食べられる。
 
 中でも一番人気だったのが、
   「ぜんざい」
 これが最高に美味しい!
 
 娑婆では、ぜんざいを食べる機会など滅多にないだろう。
 私がいた施設では、月2回ぜんざいの日があった。
 勿論、ぜんざいも「どんぶり」の量が支給される。
 さすがに食べきれないと思うかもしれないが、
 皆ペロッと完食してしまうのだ。
 
 甘いものが好き勝手に食べられる状態ではないので、
 月2回のぜんざいの日は、まるでデザートのような気分だった。

 日曜日・・・カレーライス

 受刑者が大好きな昼食のもう一つが、日曜日のカレーライスだ。 
 正確にいうと、毎週同じカレーライスではない。
 ・豚肉入りカレーライス
 ・鶏肉入りカレーライス
 ・挽肉と豆のカレーライス
 そして、月1回は
 ・ハヤシライス
 この辺りが、受刑者が再度刑務所へ来る理由の1つかもしれない。
 
 少し話が逸れたが、とにかくこのカレーライスは美味しかった。
 にんにくやショウガ、ケチャップなど、隠し味と手間が半端ないそうだ。
 確かに、週によって味が多少変化する。
 調理の仕方や火加減、味付で変化していたのだろう。
 ある週はにんにくが効いたパンチのある味で、
 次の週は香辛料のスパイシーさがあったりした。
 残念ながら、私は炊事担当ではなかったので詳細は分からないが、
 ある職員から裏側を聞いた。

 また、昔は職員がお金を払えば、社員食堂のような形で受刑者と同じ
 メニューを食べられる制度があったそうだ。
 そこでもこのカレーライスが一番人気だったとのこと。
 ただ、今は倫理上よろしくないとのお達しがお上からあったそうで、
 職員は食べられなくなったらしい。

 カレーライスのお供として必ず支給されたのが「ゆで卵」だ。
 カレーと卵、この2つは受刑者の週末を感じる食事であった。

②12:30 午睡

 驚く方が多いかもしれない。
 「午睡=昼寝」
 この時間が定められている。この時間は寝る人が優先されるため、
 声高に話さないよう指導されることが多い。
 大半の受刑者は布団を敷いて昼寝する。
 勤勉な受刑者は、この時を狙って勉強や手紙を書く。

 『犯罪者が昼寝とは、反省しているのか?!』
 『被害者の心情を逆なでしているのではないか?!』

 色々なご意見があるかとは思う。
 正式な理由は聞いたことがないし、教えてもらえなかった。
 しかし、私には下記のような理由だと感じた。

 ・受刑者同士のトラブル防止
 ・職員の負担軽減

 夏は暑い、冬は寒い。
 気温や気候は、受刑者の精神状況に大きな影響を与える。
 特にポンコツの集まりなので、些細なことでトラブルになる。
 そのため、「寝かしておけば大人しくなるだろう」という
 考えがあるのだと思う。

 もう1点が、職員の負担を軽減させるためだと思う。
 全国的にも刑務官は減少している。しかし、受刑者は減っていない。
 休日は24時間勤務で職員が巡回している。
 廊下を15分前後で1回巡回するのだ。
 私の知っている刑務官は、皆疲弊していた。

 更に、某刑務所で刑務官による受刑者への暴行があったがために、
 刑務官の職務執行方法が大きく変化している。
 そして悪いことに、受刑者の態度が大きくなってきている。
 とある職員が最近の刑務所状況をこう表現していた。

 刑務官と受刑者の質が低下している
 
※これは後日書いていこうと思う。

③14:00 起床

 チャイムが鳴って起床となる。テレビも再度観られる。
 寝ていたものは布団を片付け、話せなかった受刑者同士で
 ケラケラと笑う声が再び起こる。
 ただ、この時間のテレビはつまらない内容ばかりだった。
 再放送が多くて、全国的に視聴率が悪い時間帯なのだな、と
 考えたものだ。
 夕食までボーっと過ごす者が多いのではないかと思う。

④16:00 運動

 午前中同様、15分間の運動が行われる。
 ちなみに運動は「義務」だ。
 かと言って、積極的に体を動かさなくてもいい。
 運動の内容は受刑者に任されているのだ。
 ガッツリと筋トレをする者もいれば、ストレッチをする者など。
 この時間は横になることが許されているので、
 何もせず横になってゴロゴロする者もいた。

⑤16:15 夕食

 恐ろしく早い夕食が始まる。
 寝る時間も早いので仕方ないのだが、さすがに早いと思う。
 昼食同様に配膳係が出室して配膳を行う。
 昼食に力が入っている分、夕食はレトルト的なものが多い。
 炊事工場の用意と片付けが安易なようになっていたのかな、
 と感じている。

⑥17:00 点検

 これは平日と同様に行われる。特に変わりはない。

⑦17:30 仮就寝時間

 ここからも平日と同様だ。
 18:00からテレビを観られる。 

⑧21:00 本就寝時間

 テレビが消されて電気も消灯となる。

休日の過ごし方は、受刑者の態度を示す

受刑者は、刑務所で「更生・矯正」をするのが義務である。
しかし刑務官は、受刑者を「管理」することが職務である。
なので、過ごし方を誰かから指摘されることはない。

受刑者の方向性を決めるのは、受刑者自身なのだ。
出所後どのような人間になりたいのか?
人生をどのようにやり直したいのか?
その姿は休日の過ごし方に現れてくる。

刑務所は娑婆と同様に己を律する必要がある。
ただ、それが出来るようならばここへは来ないだろう。



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