居室はどんな感じ?
さて、受刑者の部屋を想像できるだろうか?
【受刑者・部屋・日本】と、
検索していただければ結構な件数がヒットする。
ただ、アメリカの刑務所画像も出て来てしまう。
分かりやすい見分け方は、『畳』である。
ただ、画像だけでは分からないことも多いので、
今日は居室について詳しく説明したい。
【雑居房】
これは、1部屋に複数人の受刑者が生活するタイプの部屋。
通称「雑居」。私が収容されていた施設は、
この雑居に収容されるのが原則の施設だった。
では、詳しく見てみよう。
1,収容人員:3人~7人
2人はトラブルに繋がりやすいため、
必ず3人以上が収容される。
もし人数が減少した場合は、他の部屋に吸収されるか、
他の部屋から受刑者を転室させて人数を保つ。
3人で生活するケースは稀で、4~6人の部屋が多かった。
2,使用場所の決め方
複数人で部屋を使用する際、問題となるのが「居場所」である。
トイレに近い場所は「新人」が、
一番いい場所は「ベテラン」が、使用することとなる。
この一番いい場所とは、【トイレから一番離れた場所】である。
しかし、例外がある。それは「刑務所内での階級」である。
刑務所では、「類」という区分がある。これが階級にあたる。
これがベテランより優っている者は、いい場所を与えられるのだ。
そしてどんなにベテランでも、違反が多い者はトイレの近くとなる。
3,広さ:14畳弱
しかし、ここに1.5畳程のシンク(洗面台)と、
0.5畳ほどのトイレが含まれる。
つまり、生活する場所は12畳もないぐらいなのだ。
3人なら広く感じるが、7人ではとても狭い。
それも、この広さに「布団を敷いて寝る」ことを忘れてはならない。
更に言えば、私物を保管しているカバンや、
普段使っている机もある。
7人がいる部屋で布団を敷くと、もう足の踏み場がない。
トイレに行く際は、横の人の布団を踏まずに行かなければならない。
電気が点いている時ならまだいいが、消灯後はかなり気を遣う。
設備①:トイレ
大半の雑居は洋式トイレが設置されている。
広さは0.5畳ほど。もちろんシャワートイレではないし、
あったかい便座でもない。普通の洋式トイレだ。
扉は木製で出来ており、廊下側の壁は「ガラス」で出来ている。
便座に座った際、下半身が見えない程度に目隠しはされているが、
基本的に「何をしているか見れる」用になっている。
つまり、角度によっては部屋の人からも見られるのだ。
これが入所した際、相当精神的に厳しい。
私は5日間ほど便秘になり、薬を処方してもらった。
ただ、不思議なもので気づいたら出るようになった。
音もしっかり聞こえるので、、、この辺りで止めておこう。
設備②:シンク(洗面台)
同時に2人が洗顔や手洗いができるように、2つ水栓がついている。
シンクはアルミ製で、イメージとしては小学校の手洗い場だ。
そして、「泥石鹸」と呼ばれる「備付石鹸」と「スポンジ」が
置かれている。
泥石鹸及びスポンジは、箸を洗ったりコップを洗うための物だ。
しかし、結局は石鹸なので手を洗ったりしても問題はない。
箸とコップは個人で保管するルールである。
・備品の数々
囲碁・将棋、洗面器、雑巾、布巾、磨き砂 などなど。
【単独室】
通称「独居」。1人部屋のことだ。
私のいた施設では、独居は2種類存在していた。
A、頑張っている者が居住できる居室
比較的新しい。窓枠はアルミ製。
建物も平成になってから建てられており、
密閉性は素晴らしい。その代わり、冬場の結露がすごい。
・広さ:4畳
もちろん、洗面台とトイレ込みの広さだ。
約1畳がこの2つに割かれているため、
生活スペースは3畳である。
ただ、1人でこの広さが与えられるので心地よい。
しかし、雑居と大きく違う点がある。
それは「トイレに壁や扉がない」。
つまり、部屋の中に便器があり、用をしているのが
丸見えなのだ。想像できるだろうか?
ただ、さすがに下半身丸見えは不味い。
その為、便器に座る際の目隠しとなる「衝立」が
用意されている。木製でベニヤ板で出来ているため、
とても軽く動かしやすい。この衝立で目隠しをするのだ。
B、雑居で暮らすことが難しい者、及び違反者向けの居室
結構古い。まさに「昭和の刑務所」と呼べる。
その証拠に、窓枠が鉄なのだ。
隙間風が酷く、虫も入りやすい。夏暑く冬寒い。
・広さ:3畳半
少し狭い。イメージは、上記1が江戸間、こちらが団地間、
と、言ったところだろうか。
設備は古く、畳も気持ち古く感じる。
違反をした者が収容される独居にはテレビが無い。
トイレも古め。ただ、壊れると順次新しくなっていく。
「雑居」のメリット・デメリット
1、ガヤガヤと楽に過ごせる
雑居は「楽しく過ごす」雰囲気が非常に高い。
感覚的には、修学旅行のような雰囲気さえある。
つまり、気楽に居られる。受刑者としては、
辛い現実から目を逸せることが出来る。
反省や更生とは程遠い場所である。
2、トラブルに遭う確率が高い
自分が望んでいなくても、貰い事故のように
トラブルに出逢ってしまう事がある。
しかも、部屋毎に序列があるためやりづらい。
イジメ、暴力などは当たり前だ。
3、睡眠が取りづらい
これもキツい。イビキの酷い者、頻尿の者、
トイレに籠って快楽を得る者。
刑務所の夜は本当に静かなので、少しの音が
相当な音量に感じる。
4、人付き合いの面倒さ
犯罪者が集まって生活するのだ。
ポンコツの集まりなのだから、皆癖が強い。
そして、性格が壊れている人が多い。
そんな人がベテランになると、理不尽なルールを
作ったりする。2度と会わないだろう受刑者と
ひと時でもちゃんとした人付き合いをしなければ
ならないのは、かなり心がヤラレる。
あなたならどちらを選ぶだろうか?
ちなみに、私は「独居」で大半の期間を過ごした。
今でも「独居」で良かったと心から感じている。
そして、だからこそハッキリ言えることがある。
「雑居」で過ごした人と、「独居」で過ごした人。
更生や矯正が施されるのは、確実に後者である。