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教えて欲しい若手。教えたくない上司。どっちが正解!?/しくじりマネジメント

イマドキの新人・若手は正解を知りたがる。と言われます。
では、上司や先輩はというと、新人・若手に対して、失敗することが大事。何事もチャレンジしてみることが大事なので、答えを聞くのではなく、自分なりに考えて動いてほしい。そんな風に考えている人が多いのではないでしょうか。

一方で、じゃあ、何でもかんでも自分で考えて、確認することなく、仕事を進められたら、それはそれで困る・・・。そんな矛盾を抱えていることも現実であり、葛藤した経験がある人は多いのではないかと思います。

さて、今日は僕がある新人と関わったときのマネジメントの失敗とそこから学んだことをお伝えしたいと思います。

「普通こう考える」は禁句

部下(以下、メンバー)に相談された時のことです。あるクライアントに対して、データの分析結果をご報告して、その結果を踏まえた提案をする機会がありました。事前にデータの分析内容に関する解釈の相談を受けたのですが、あまりにも仮説がずれています。

そこで、「なんで、そういう仮説になったの?」と聞くと、萎縮しながら「お客様からこう聞いていたので・・・」という返答。ただ、明らかにデータが示す事実は違います。

僕:「この結果だと普通はこう考えると思うんだけど、そうは思わなかったの?」
メンバー:「分かりませんでした・・・すみません」

ちょっとしたやり取りですが、1度や2度ではなく、こんな会話になることが多くありました。結果的にこのメンバーはどうなったと思いますか??

自分が考えることは普通じゃなく、ちょっとズレている」という認知をしてしまい、苦手意識をもってしまいました。そして、何でもかんでも「どうしたらいいですか?」と質問をしてくるようになってしまったのです。

人それぞれもっている情報、積み重ねた経験、考え方の前提が異なるので、普通なんてものはありません。勝手に僕自身が「自分が正しい」という前提をおいて、それを普通と言ってしまったのだと思います。

「普通さ~」とよく言ってしまう人いませんか?ぜひご注意ください。

お前はどうしたいの?は信頼関係のもとに成り立つ

さて、もう1つ失敗例を紹介したいと思います。

僕の所属している会社では「お前はどうしたいの?」と先輩が後輩に問う文化があります。要は聞いてくる前に自分自身がどう考えているのか、どうしたいと思っているのかを確認している。ということです。

僕自身も若手の頃はよくこの質問をされて、返答に窮したことをよく覚えています。

確かに質問する前に自分がどう考えているのかを表明することは大事だと思います。何でもかんでも聞けばよい。となってしまうと、自分で考える力が身につきません。

ですが、「分からないから聞いている」というのも事実です。

マネジャーになって若手の頃は僕自身もメンバーに対して、「どうしたいの」という質問をよく投げかけていました。自分で考える力を養ってほしいためです。

ただ、これを繰り返した結果、あるメンバーからは全く相談されなくなってしまったのです。相談がなくなることが悪いことではないですが、分からないことがあっても自分でため込んでしまっていて、問題が発生することもありました。

これでは意味がないですよね。
皆さんもご注意ください。

答えを導き出すための考え方を教える

それでは、これら2つの例はどうしたら良かったのでしょうか。

答えを教えるばかりでは考える力が身につきません。
でも考えさせるばかりでは考えられずため込んでしまうこともあります。

要はバランスが大事なわけですが、そんなバランスがうまくとれるかどうかは博打みたいなものですよね。多くの上司はバランスとりながらやってるつもりだと思います。

僕は「教えること」「教えないこと」に軸を持つことが良いと思っています。そしてその軸をメンバーにも伝えてブレないことが大事だと考えてます。
具体的には次の通りです。

・教えること
答えがあること(知識など)
思考を前に進めるための次のステップ

まず、答えが明確にあるものは教えるのが早いです。それで覚えてもらえば終わりですから。また、思考を前に進めるための次のステップは教えてあげるのが良いと思います。

例えば、クライアントに何を提案したら良いか分かりません。という質問があったとするなら「クライアントは何に困っているのか考えてみたらどう?」「このプロジェクトのゴールをまずは設定してみてはどう?」等のように思考には順番があります。

次に何を考えると良いかを教えることで、メンバーが自分の意志で考えようとすることを引き出すことができます。

・教えないこと(教えないとき)
妥当解がない物事の選択
何を考えないといけないか不明確なとき

一方で妥当解すらないことについては、質問されても教えるべきではないと思います。というより、「妥当解がない」ということを教えてあげることが大事なのかなと思います。

また、何を考えないといけないのか不明確な時には答えを渡すべきではないと思います。「どこから考えて良いか分からなくて・・・」ということもありますが、その場合は教えることの例でお伝えした通り、何を考えると良いかということを教えるのが良いと思います。

つまり教えるべきことは答えではなく、考え方であり、答えを出すためのヒントを与えてあげて、メンバーが自分の意志で考えることを促すことが必要なのだと思います。

質問の仕方の変化を捉えて褒める

考え方を教えることで、次の同様の機会には自分で考えられるようになっていきます。1,2回ではなく、根気強く何度でも考え方を教えることで変化が見え始めると思います。

始めのうちは、「どうしたら良いですか?」という質問だったものが、自分で考えるようになってくると、だんだん質問の仕方が変化してきます。

「こう思うのですが、どうでしょうか?」
自分なりに結論を一旦出してみるようになります。

「こう思うのですが、メリットデメリットにこれがあります」
結論を出すだけではなく、その先に思考が進みます。

「こうしたいです」
結論に自分の意思が芽生えます。

「こうしたいです。だって、こうだから」
意思だけではなく、自分なりの論が備わります。

「こうします」(報告のみ)
更に責任や覚悟が備わります。


僕は質問の仕方の5段階活用といっているのですが、質問の仕方によって、どれくらい当事者意識をもって仕事に臨めているのか、また自己肯定感をもって仕事に臨めているのかが分かります。

変化を促すためには、考え方を教え続けること。上記の変化を認め褒めることが大事と思います。

今、自分のメンバーがどこにいるのか、ぜひ確認してみてください。

終わりに・・・

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仮谷泰祐|働くを愉しく
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