ミスばかりのメンバーに思い切って仕事を任せたら、すべてがうまくいった話/しくじりマネジメント
こんにちは。
メンバーに何度言っても、同じミスをすることありますよね。
そんな時、どうしますか?
こいつはやる気がない。こいつはダメだ。
そんなことを思う人も多いかと思います。
本当にそうでしょうか??
僕がマネジャーとして見てきたメンバーの中にも、単純作業でさえ、ミスが続く方がいました。どうすれば、依頼している仕事ができるようになるのか?まるでわからず苦心する日々。
時には「この子には無理なのかな・・・」とも思いましたが、
あるメンバーをきっかけに、そんなことはない!と確信しました。
多くの場合は、能力不足が問題ではない
ミスばかり繰り返すメンバーとの面談。
ふと「何かやりたい仕事ははあるの?」と聞いてみたところ、
本人なりには目指す姿があり、「●●のような仕事がしたい」という想いを聞くことができました。
初めて聞いたので、「なんでこれまで言わなかったの?」と訊ねると、
「まだミスをしてばかりなので、自分のやりたいことを言える立場じゃないと思って・・・」とのこと。
せっかくやりたいことを教えてくれたので、その仕事を任せてみることにしました。そして、
「やり方は任せるから、好きにやってみて良いよ。ただ、適宜報告だけもらえるかな?」
ミスだらけのメンバーに任せるのは勇気がいりましたが、僕自身も若手の頃にできない仕事を任せてくれた上司がいました。それと同じことをやってみたい。同じミスならやりたいようにやらせて起こるミスの方が本人も成長できるのではないか。
そう思い、報告をしてもらう約束だけして、仕事を任せることにしました。
・・・
しばらく経って報告をもらったところ、ほとんどミスがなかったのです!
何よりも今までと違っていたのは、その表情。朗らかに生き生きと、仕事の進捗を共有してくれました。
それ以降、他の仕事でも明らかにミスが減っていきました。
このメンバーとの関わりを通じて、「同じミスを繰り返すのは、能力不足のせいではなく、他に要因があるからだ」と考えるようになりました。
要因に応じて、解決方法もさまざまです。
ミスがあったときに、この要因仮説をいくつ思い浮かべられるか。
決めつけることなく、いろいろな可能性の中から、メンバーの状況を的確に把握できるか。
これがマネジャーとしての引き出しにつながります。
僕の経験上、よくあるパターンを6つだけお伝えします。
パターン1:緊張状態にあって、本来のパフォーマンスが発揮できない
このパターンは非常に多いと思います(個人調べ)
後で分かったことですが、先ほどのメンバーの例もこれでした。
ミスを見つけられることを恐れてしまい、
本来のパフォーマンスが発揮できない状態にあったのです。
最近だと、“心理的安全性”とも言いますね。
「メンバーのモチベーションを上げることが俺の仕事じゃないから」という方もいますが、のびのびと仕事をさせたほうが、はるかにパフォーマンスを引き出せます。
ミスをしないように仕事をするメンバー と 成果を出そうと仕事をするメンバー。
仕事の性質にもよりますが、多くの場合は後者の方が成果には繋がります。
心理的安全性を一朝一夕につくることはできませんが、ミスを指摘することは当然必要ではあるものの、「できたこと」「良かったこと」も日ごろから伝えてあげることで、心理的な安全性を創ることが必要です。
パターン2:誰に相談してよいのか分からない
最近は、このパターンもよくあります。
コロナによって人間関係が希薄化しているため、社内の誰に聞けば良いかわからない…
ということが増えているようです。特に中途入社の人は尚更です。
本来、社内の専門部署に相談すべきなのに、Know Whoを知らないがゆえに自分で判断してしまい、ミスを繰り返す。
そんなこともあるかと思います。
どういうときにどの部署に聞くと良いか。誰に聞くと良いかを日ごろから、教えてあげておくのが良いです。
さらにベターなのは、相談が来るかもしれない相手に、自分のメンバーから相談があるかもしれないけど、よろしくお願いします。と事前に声をかけておけると良いですね。
パターン3:ミスを自覚できていない
上司にとってはミスでも、メンバーはミスだと思っていない可能性があります。特に「ルールを守っていない」というミスでは、このパターンがありがちです。
僕自身もメンバー時代に、ある仕事の進め方で上司に叱られ続けました。
上司からは「もっと考えてから、企画書を作りなさい」と言われていたのですが、「スピードの方が大事だから、考えきる前にアウトプットしたほうが良くない?」と心の奥底でつぶやき続けていました。
それでは、ずっと直らないですよね。
上司の視点とメンバーの視点は違います。
メンバーが本当に「やばい、直さなきゃ」と思っているのか、確認しましょう。
パターン4:その仕事に集中できていない
単純作業のミスでは、このパターンが多いですね。
ただ「集中しろ」というのは簡単ですが、それでは直りません。
上司として、できることは、「集中しやすい環境を作ってあげること」だと思います。
人間関係のトラブルが起きていて、それが気になって集中できない。
来週のプレゼンが不安で集中できない。
いろんな理由があります。
その理由を突き止めて解消してあげることで、集中力を高めることができるかもしれません。
パターン5:時間が足りない
シンプルに時間が足りなくて、仕事が雑になっているというパターンです。
ミスをなくすためには、適切な業務量に調整することも必要です。
「これくらいで業務量が多いと言われては困る」
そんな声も聞こえてきそうですが、まずは量を減らして、仕事を教えて自信をつけさせてから、上司の考える適切な量を任せたほうが、結果的には早くうまくいくかもしれません。
パターン6:なぜミスしたのか、自分でもわかっていない
ミスをする要因をいくつか書きましたが、メンバーに聞いても、どれが要因なのかわかっていないことがあります。
「なぜ、そのミスをしたのか」ということを本人が理解できていないと、同じミスは何度でも起こります。
ミスそのものを叱りたい気持ちはぐっと抑えて、
なぜそうなったのかをメンバーと会話しましょう。
自覚化できていない場合、
「社内で誰かに相談できた?」 ← パターン2
「どういう影響があると思っている?」 ← パターン3
等と、投げかけてみるのが良いと思います。
マネジャーがやるべきことは、嘆くことでも、叱ることでもなく、要因を見極めること
ご紹介した6つのパターン以外にも様々な要因が考えられます。
同じミスを繰り返すメンバーに対して、もどかしい想いをもつ上司の方も多いと思いますが、要因を見極め、その要因を解決するための支援を行うことが求められるのだと思います。
ぐっと気持ちを抑えて、耐えないといけません。
マネジメントは自分を磨く修行ですね。
終わりに
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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