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料理は男性のためではない。美味しく固定観念を料理する傑作GL漫画『作りたい女と食べたい女』

料理は男性のためではない。美味しく固定観念を料理する傑作GL漫画『作りたい女と食べたい女』

【レビュアー/bookish】

ゆざきさかおみ先生の『作りたい女と食べたい女』(略して『つくたべ』)は思いっきり大量の料理を作りたい女性と、思いっきりご飯を食べたい女性の出会いと交流を描くGL(ガールズラブ)作品です。

美味しそうな料理と2人の間に流れる甘い空気で満腹になります。

かつて当たり前と考えられていたことに対する批判的な目がスパイスのように味を引き締めます。

「作りたい」「食べた

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講談社X文庫ティーンズハート1987-2006

講談社X文庫ティーンズハート1987-2006

*この記事は筆者が受講したライター講座「プロライター道場3期」の卒業課題として2020年7月に提出した原稿をベースに、加筆修正を加えたものです。取材を受けてくださった皆川ゆかさん、橘ももさん、講談社の鈴木宣幸さんに改めてお礼を申し上げます。

はじめに ピンク色の背表紙、マンガ絵のポップなカバー、するすると読める物語。爆発的なブームを巻き起こし、多くの少女を魅了したレーベル・講談社X文庫ティーンズ

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ここが死に場所だろうと。~『沙漠と青のアルゴリズム』あとがきのようなもの~

ここが死に場所だろうと。~『沙漠と青のアルゴリズム』あとがきのようなもの~

デビュー3年目くらいから、終わりを意識しはじめた。
こう書くと、何を急に言い出すのかと思うかも知れない。
でも本当の話だ。

黒猫シリーズは順調に売り上げを伸ばしていたが、それにしたって「遊歩」より売れる作品があるわけではなかった。
発行部数だって、巻を追うごとに少しずつ右肩下がりになる。それは仕方のないこと。どれだけ最善の状態にしても、シリーズものというのは、映像化とか新聞やテレビでレビューが出

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全財産を使って外車買ったら、えらいことになった

全財産を使って外車買ったら、えらいことになった

全財産の内訳は、大学生の時からベンチャー企業で10年間働いて、したたり落ちるスズメの涙を貯め込んだお金と。

こんなもん、もう一生書けへんわと思うくらいの熱量を打ち込んで書いた本の印税だ。

それらが一瞬にして、なくなった。

外車を買ったからだ。
運転免許もないのに。

「調子乗ってんなよお前」と思った人も、「どうせ“わたしのマネをすれば秒速で車が買えるんですよ”ってやばいビジネスに誘うんだろ」

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ひとり遊びに花の装い

ひとり遊びに花の装い

 平成の終わった年の冬、京都の繁華街にある店でのことでした。そこは酸味が爽やかなコーヒーを飲ませてくれるカフェとして知られているのですが、陽が傾き始めるとウィスキーを頼む客が増えてきて、夜にもなれば当時でもすでに珍しかった全席喫煙可のバーになる店でして、間口が狭くて見つけにくいし、夕暮れになると、周囲にある敷居の高めな老舗に灯が入ることから、賑やかな人たちが少し離れた別の界隈に流れていくので、遅い

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東京で、生きてきた。

東京で、生きてきた。

交差点。車たちが止まり、一呼吸置いて、人々が縦横無尽に歩き出す。これまで一度も見たことのなかった顔たちが、目の前を交差していく。話に夢中な人、考え事をしている人、カメラを構えて歩く人。他人になんて見向きもせず、皆、それぞれの自分だけの物語を歩いている。

コートの匂い。タバコの残り香。嗅ぎなれないスパイスの香り。甘い香水と汗の匂い。ボソボソ話す声、甲高い笑い声、妙に伸びる語尾。赤のタートルネック、

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ゆたかな言葉に憧れて。(#ゆたかさって何だろう)

ゆたかな言葉に憧れて。(#ゆたかさって何だろう)

大学の同期に、「ミウラさん」という子がいた。三浦でも、水卜でも、深浦でもない。ミウラさん。
学科の名簿の中にその名前を見たとき、変換ミスなのかと思った。だけれども、違う。彼女の名前はミウラさん。ミウラさんは名字がカタカナだった。

  〇

「ミウラさん、これ、名簿がカタカナなのですが、あってますか?」
先生がそう尋ねると、ミウラさんはいつも通り少し仏頂面で「ああ、まあ、はい。あってます」と答えた

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梅雨のはじめに食べる檸檬パフェ覚書。

梅雨のはじめに食べる檸檬パフェ覚書。

朝から湿度の高い空気が手足にまとわりついていた。昼前には空が薄灰の雲に包まれて、ぽつぽつと、雨粒が地を叩く。
気象庁から梅雨入りの発表があったというニュースを見ながら、季節の移り変わりを知る。
低気圧に押しつぶされないように、冷蔵庫から檸檬をひとつ取り出した。今は雲に隠れている太陽の、その眩しさを映したような黄色。鼻を近づけると、目が覚めるような初夏の薫り。この小さなおひさまの周りだけは、爽やかな

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思わず抱きしめたくなる、noteで素敵な「スキ」に出会いました。

最初は、ただなんとなくnoteを見て、「あ、これいいな〜」と思ったものにスキを色々付けていました。

どのnoteも面白かった。だけど、心にグッとくる「スキ」のメッセージと出会い「スキ」って面白い!と思うようになったのが、この記事を書くキッカケです。

面白さに気づいてからは、夢中になって色々な方のnoteを読み漁り、2020年02月20日~2020年03月11日の3週間で1000人分のnoteを

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「おやつ」が趣味のズボラ女が提案する、気軽にできる市販のおやつの楽しみ方

「おやつ」が趣味のズボラ女が提案する、気軽にできる市販のおやつの楽しみ方

突然ですが、私の趣味は「おやつ」です。毎日のようにおやつのパッケージをにやにやしながら眺め、iPhoneでおやつの写真を撮り、おやつフォルダに保存してから、じっくりと頂いています。

太陽の光が部屋にさしこむ様子を眺めるのが好きなので、最近はテーブル上や窓辺でおやつに日向ぼっこさせて写真を撮り、#陽光を浴びるおやつ という自分だけのためのハッシュタグをつけてTwitterに投稿する真剣な遊びもして

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