ショートショート(32話目)SMILE
『ねえ、相原くん。その笑い方、私にも教えてよ』
中学2年の秋、横山美晴にはじめて話しかけられた言葉はそれだった。
横山はいつもクラスで一人ぼっちだった。
ただ、友達ができないというより、自らで人を遠ざけているような、そんな雰囲気だった。
「え?笑い方?」
『うん。楽しくもないのに、どうしてそんな風に笑えるの?』
「なに言ってるんだよ、おまえ」
『私、知ってるの。さっきから安西さんと楽しそうに話してるけど、あなたが心の中では全然笑ってないこと』
隣にいた安西綾音