シェア
「旅する日本語展二〇二〇」の11語を書き終わったのでまとめました。 旅に出たい気持ちがふわ…
古い商店街を抜け、トンネルをくぐり抜ける。 途中、広島へと向かう電車が頭上を駆け、轟音が…
来月の三連休、温泉にでも行こうよ。 途端、彼は苦虫を噛み潰したように顔を歪めた。そして絞…
「いらっしゃい」 お好きな席へどうぞ、と促された。 テーブル席の木製椅子に座る。 カウン…
わあ、と歓声が響いた。 遠く、朱塗りの廻廊に白無垢の花嫁が見える。 広島湾に浮かぶ宮島。…
春。 硝子の抜け落ちた窓枠から、対岸の桜が見える。 散らばった瓦礫の隙間から、新しい命が生…
修学旅行で、北海道のニセコアンヌプリに来た。 何度目かのため息は、空に向かって白く消えた。 3泊4日中、2日間のスキー実習。 運動が苦手な私は、出発の朝から気が重い。 案の定、私は雪に埋もれていた。 何もかも諦めて、ふわふわの雪に転んだ。 「大丈夫?ひどいこけ方だったけど」 同じ初心者クラスの男子がカニ歩きでこちらにやって来た。 「うわ」 ずるり。 彼はすぐに同じ穴の狢となった。 いてて、とお尻をさすり、ずりずり、と板を引き近づいてきた。 「大丈夫?」 あ
まっすぐな砂浜に荒々しく打ち付けられるたび、波は白い泡を吐く。 海岸沿いに並ぶ松の木。 …
二日目は生憎の雨だった。 「小雨が降っていても行ける場所はありますか」 昨日の夕食も、こ…
明け方の京都は肌寒かった。 参道に並ぶ店も、ぴしゃりと閉ざされていた。 陽も昇らぬうちに…
「ほら、手、つなご」 膝に手をついた私の肩あたりに、娘が左手を差し出している。 呼吸を整…
ざり、ざり、ざり。 砂利道を歩き、鬱蒼と茂る木々に囲われた古民家に着いた。 古いガラスがは…