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白髪と老松

まっすぐな砂浜に荒々しく打ち付けられるたび、波は白い泡を吐く。

海岸沿いに並ぶ松の木。
その一本に近づく。
隣には、昨年夫となった人がいる。

重なった根は、その波打つ太さで、己を地面へと縫い付けていた。

下から見上げると、枝という枝が憤怒していた。節々が上を向き、針のような刺々しい葉を天へ向けている。

荒ぶった毛筆で線を引いたような幹は、雷に打たれたのか、長く深い彫りを幾重にも刻む。

ごうごうと唸る風にも、頑として動じない。
びりびりと圧を受けた。
その立ち姿は、うっすらと雪化粧をした雄大な富士山をも背景にする。


樹齢約260年の老松。
江戸から今日まで、この地に根を張って生きる。
永遠とも思える時を、三保松原の地と。


人生最後の旅は、夫とともに、また静岡へ来たい。
困難を乗り越え白髪で睦ぶ姿は、この老松とともに尚もって絵画となるだろう。



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にわのあさ
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