きみのおめめ 眠れない夜 #32
ためらいがちに鳴った引き戸の音に、本を閉じた。
夏の静かな夜、ダイニングテーブルに置いた読書灯だけがぼんやり揺れる。影と光の境目に置いたマグカップの縁は、かすかな光を集め細く弧を描いていた。
おずおずと開いた戸から、6歳の娘が顔を出す。ちら、と時計を見て、ばつの悪そうな顔をした。
寝れないのと問うと、何も答えずスンと鼻を鳴らす。そのままぺたぺたと足音を立てそばに来ると、私の膝にトン、と座った。
向かい合わせに抱き合い背中をなでながら、寝れない日ってあるよねえ、と言うと、かかも