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Photo by
inumos
旅をするのは、
古い商店街を抜け、トンネルをくぐり抜ける。
途中、広島へと向かう電車が頭上を駆け、轟音が響いた。
長い長い石階段を登る。
坂道を下ってきた夫婦に道を譲ると、軽い会釈を交わす。
両脇に建つ趣のある民家の横には、細い路地がのびる。
時折佇んで、その道を静かに見つめる。
そしてまた、足を進める。
コンクリートの壁に囲まれて、まるで急かされるように歩いていたあの平な道と、この勾配のある石階段は何が違うのか。
長く辛い階段だというのに、歩みを止めると疲労で震えるというのに、この足は前へ進むことを厭わない。
そう、旅って、こんな感じだった。
今の私が、知らないものを見るために。
今の私が、知らないことを感じるために。
旅に出てしまえば、私の足は気散じに、前へ前へと進むのだ。
振り返ると、下からの海風が頬を撫でる。
気づけばこんなにも高く登っていた。
目下には、太陽の光を浴びて眩く光る尾道水道が広がっていた。
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