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滑り落ちる

修学旅行で、北海道のニセコアンヌプリに来た。
何度目かのため息は、空に向かって白く消えた。

3泊4日中、2日間のスキー実習。
運動が苦手な私は、出発の朝から気が重い。


案の定、私は雪に埋もれていた。
何もかも諦めて、ふわふわの雪に転んだ。

「大丈夫?ひどいこけ方だったけど」

同じ初心者クラスの男子がカニ歩きでこちらにやって来た。

「うわ」

ずるり。

彼はすぐに同じ穴の狢となった。

いてて、とお尻をさすり、ずりずり、と板を引き近づいてきた。

「大丈夫?」

あなただって、こけちゃったじゃない。

笑いながら差し伸べられた手に、うんと腕を伸ばして右手を重ねた。
ぐい、と引っ張られ体勢を直す。


「雪だるまでも作ろうか」

ちらりと顔を見ると、彼の目ははっきりと熱を帯びていた。
その熱は、繋がったままの右手を通して、私のからだをぷくぷくと泡立てる。

真っ白な世界で、何かが萌芽した。


何よ、スキーって、なかなか楽しいじゃん。


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にわのあさ
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