起業家が鬱になるということ。そしてそこからの回復。
前回の職務経歴記事投稿でも書いたように、2012年に起業した僕は、2014年の夏ごろにチームの崩壊と相まってメンタル的にかなり弱ってました。
起業家が鬱になるってどういうことかってのはありふれた出来事であるにも関わらず、あまり表に出てこない情報なのでちょっと書いてみようかなーと。
なんで表に出てこないかって理由は明確で、経営中かつしんどい状態が継続中は「メンタルが弱っている」と公表するのは難しいです。
なぜなら、採用や資金調達に影響する可能性は否定できず、実際僕も当時それをおおっぴらにはできていませんでした。
ただ、僕はそこから周りの方に助けてもらいながらなんとか復活できたってのもあるので、この投稿が誰かの助けになればなーと。
あと、実は鬱って方が周りに結構いるので、その方達へのメッセージ代わり。
※過去記事のカテゴリ別まとめはこちら。
なぜこの記事を書くのか
冒頭で軽く触れていますが改めて。
結論から書くと、しんどくなってる方の助けに少しでもなればってのと、メンタルがやられた情報ってのはタブーでもなんでもないと思ってるからです。
まず前者について。
メンタルがやられてしんどい状態で不安なのは「この症状に終わりはあるのだろうか」ってことなんですよね。
そんな当時、上場までの4年間と病気療養の2年間というブログ記事を読んで、だいぶ助けられたことを今も覚えています。
苦しんでたのは自分だけじゃない、そして、そこからの復活っていうのもできるんだなー、と思ったんですよね。
ということでこの記事もそんな感じで誰かの支えになれるんじゃないかと。
そして後者については印象的な出来事があるんですけど、某イベントで登壇させていただいた際にメンタルがやられた経験について話していたら、「その話はオフレコにしたほうがいいですか?」って聞かれたんですよね。
ご配慮いただいたその方を責めるつもりは全くないのですが、メンタル絡みの問題はデリケートに扱われすぎだと思っています。
例えば昔肺炎で入院したことがあって、みたいな話は全然タブーじゃないのに。
ただ、タブーになりやすい理由はある程度理解できて、その中で最も重要なのは「再発リスクが高い」と一般的に周知されているからだと思っています。
ただ、再発リスクが高いってのは誤謬を含むと考えていて、なぜならそもそも鬱は外部要因によって引き起こされやすい病気です。
鬱前後で大きく環境を変えられる人ってのはそう多くないので、結果として再発リスクが高いように見えるだけだよね、と。
要するに、鬱になったとしても一生爆弾を抱え続けなきゃいけないわけではないんだよ、と言いたいんです。
起業家と鬱
基本的に、僕は周りの人が鬱になりそう、なってる、という状況なのであればすぐに休息を取ることを勧めます。
精神疾患は長期化することがままあり、その忍耐によって身体、精神、人生に大きなダメージが生じうるからです。
ただ、経営者がうつ状態、という状況はとても難しいです。
なぜなら、事業やスタッフ、支えてくれてる方がいると、辞職することが無責任・難しいと感じられることが痛いほど理解できるからです。
なので、起業家の方が鬱であるという状況であったとしても、いくらかの休息を取ることは勧めますが、辞めたほうがいいとは軽はずみに言えません。
でも、それでも、命や人生を失うまで頑張り続ける必要はないと考えています。
僕が鬱だった時の状況
冒頭でも触れましたが、経営する会社の組織が崩壊していたことがメンタルをやられた原因でした。
それまでは毎日働くことが楽しかったのに、自分で創った会社なのに、「行きたくないなー」って思っちゃってたんですよね。
僕はいわゆる軽うつだったと思うんですが、症状としては「頑張りたいと思っているのに身体がどうしても動かない」「気持ちが落ち込む」「頭の回転が明らかに鈍化している自覚がある」「いくら寝ても睡眠が足りない感じがする」あたりでした。
あとは、二十歳の時に父が突然死したこともあって簡単に死にたいって口にする人が僕はとても苦手なんですが、(完全に本気じゃなかったにせよ)「死にたいなー」って毎日思ってました。
当時、大部分のメンバーがいなくなってからも会社は残っていて、しかもご出資をいただいているのでなんらかの結果は出さなくちゃという責任を強く感じていました。
別事業で利益は出ていたのですが、退職金も一応出したりしたので、会社の存続はギリギリの状況でもあり、そもそも精神的に疲弊していたので会社の清算という考えも正直ありました。
ただ、そんな中、「原口くんだから」と既存投資家の方から追加のご出資をいただいたことに発奮し、そこからはまた頑張っていくことに。
すぐに完全回復したわけではないけれども、以下で書くような対応を行いながら、改めてアクセルを徐々に踏み込んでいってました。
鬱からどうやって回復したか、なにを得たか
まずやったことはメンタルクリニックに行くことでした。
正直、メンタルクリニックに行くのってめちゃくちゃ抵抗があったんですよね。
今ではそんなことはないと思うんですが、なんだか自分が異常であると認めてしまうことな気がして。
というわけである程度の覚悟を持って病院に行ったんですが、全然救われなかったというのが結論です。
なぜなら、スタートアップ企業の経営者は社会全体で見ると少数派であるため、(僕の説明が良くなかった可能性もありますが)自分の状況を説明しても伝わってる感じが全然なくて。
その後「軽うつだと思います」って診断をされたんですが、言葉を選ばず言うとめちゃくちゃ適当だな、と感じました。
ということで薬も処方されたんですが、当時相談した別の方の勧めもあり、それを飲むことはありませんでした(これが正しいかはわからない)。
じゃあどうやって回復したのかというと、睡眠、運動、気分転換、友人に相談の4つです。
睡眠と運動の重要性はいまさら語る必要もないと思いますが、やっぱり元気を出すためには必須。
気分転換についても、毎日朝から晩まで働いていたので、休日を設けてみたりしてました。
余談ですが、しんどくなる少し前に「毎日9時から12時まで働いても7時間睡眠できるんだから余裕じゃんね」と友人に話したところ「普通の人は仕事と寝る以外の時間も必要なんだよ」と言われたことを今も覚えています。
別に自分が普通より頑張ってるとか言いたいわけじゃなく、本当の意味での休息というのがとても重要なんだと今は思うわけです。
まぁ結局前の会社を離れるまではバイアウト後も何度も会社に泊まったりしながら働き詰めだったわけですが。
次に誰かへの相談についてですが、生来、僕はしんどいことを他人に相談することが苦手でした。
上でも書いたように、僕は父が大学受験の時に急死してめちゃくちゃしんどかったんですが、それでも周りの友人にそれをこぼすことはほとんどありませんでした。
ただ、上で書いた経営時の鬱の際は誰かに相談しないと死んじゃうな―と感じたため、いろんな方に助けてもらってました。
僕が幸運だったのは、しんどい時に弱音を漏らせる友人が多くいたことです。
起業家友達に相談することが多かったんですが、みんな忙しいのにちゃんと話を聞いてくれたことにとても感謝してます。
ちなみに起業して良かったことの一つとして、この経験のおかげで他人に頼ることができるようになったので、人生がだいぶ楽になりました。
上記を通じて、だんだん元気になっていき、事業も拡大を続けていきました。
今になったから言えることですが、一度しんどい状況になってそこから回復するという経験を得たことで、仮に辛くなってもまた復活できるという自信を持てるようにもなりました。
加えて、なんだか偉そうになってしまうのですが僕はある程度強い人だったので、誰かの「辛い」という気持ちを本当の意味で理解することができていなかったと思います。
ですが、この経験を通じて、その気持ちに心から共感できるようになったんじゃないかなーと。
現在鬱である経営者の方に向けて
今までのまとめになりますが、睡眠、運動、気分転換、友人に相談の4つをまずは優先することが大事だと思っています。
また、会社ももちろん大事ですし簡単に投げ出せることではないというのは重々承知の上ですが、人生や健康も大事です。
とは言え、相談相手がいなかったり、どこから話が漏れるか分からないから相談し辛いという面もあると思いますが、シリヤト!!というサービスを始めたのはそういった方たちの相談相手になれればという思いもあってのことです。
自分自身の経験を、誰かの役に立てていきたいな―と感じる今日このごろ。
僕を、すぐに雇えます
ということで、僕を月給3万円で雇えるシリヤト!!というサービスをはじめました。
サービスを始めた背景や意図についてはこちら。
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