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春と私の小さな宇宙

73
少し不思議で哲学チックな物語です。自分でも何故こんな話を書いたのかわかりません。
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#人間

『春と私の小さな宇宙』 その73(最終回)

『春と私の小さな宇宙』 その73(最終回)

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
以上が大丈夫な方だけ閲読ください。
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「本当に元気でよかった。・・・それで、出産予定日はいつなの?」

「後、一週間ぐらい。もうすぐよ」

ハルは命の詰まった下腹部を優しく撫でる。それに応えるように内部で我が子が蠢いた。

「本当に・・・無事で、よかった・・・」

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『春と私の小さな宇宙』 その62

『春と私の小さな宇宙』 その62

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
以上が大丈夫な方だけ閲読ください。
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「あった。やはりここに落ちていたのね」

拾ったのは熊との格闘で負けを悟った時、落とした注射器だった。

「この場所に落としたところを記憶していたの。まだあってよかったわ」

今度はハルが宮野の首筋に注射器を当てる。ゆがんだ顔

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『春と私の小さな宇宙』 その61

『春と私の小さな宇宙』 その61

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
以上が大丈夫な方だけ閲読ください。
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ハルの足は止まった。

そこはあの時、熊に遭遇した場所だった。ミハエルと再開した場所。落としかけた命を救ってくれた……。

ハルの首筋に痛みが走った。何かが身体を走り抜ける。視界が傾く。腹部をかばい、横向きに倒れた。

ジジジ

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『春と私の小さな宇宙』 その45

『春と私の小さな宇宙』 その45

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
以上が大丈夫な方だけ閲読ください。
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○ 小さな宇宙

ある日の事だった。

いつものように映像を心待ちにしていると、希望通り映像が浮かび上がった。

ただし、 現在の映像ではなかった。熊に襲われた時のように過去の記憶が映し出されたのだ。

視線がかなり低い

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『春と私の小さな宇宙』 その44

『春と私の小さな宇宙』 その44

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
以上が大丈夫な方だけ閲読ください。
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宮野は男を観察した。

金髪で外国人の顔つき。青い目が特徴的だった。その男に宮野は見覚えがあった。ある論文の資料に載っていたのだ。

ロシアで生まれた第三世代。

名は確か、ミハエル。

ハルは極めて合理的な人間だ。より良い子

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『春と私の小さな宇宙』 その42

『春と私の小さな宇宙』 その42

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
以上が大丈夫な方だけ閲読ください。
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宮野ノブユキが帰宅していると、我が家の方角が何やら騒がしかった。

自宅からT大までの道のりはそう遠くないため、彼は自転車で通勤している。真っ暗な闇に赤い光りが発光していた。

自宅から光っているように見えた。近づくにつ

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『春と私の小さな宇宙』 その26

『春と私の小さな宇宙』 その26

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
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修羅場を見守っていたカラスが、黒い翼を広げ、飛び立った。

それを合図に飢えた怪物は雄叫びをあげてハルに襲いかかる。ハルは身構えて相手の動きを予測する。

刹那、周囲がスローモーションに見えた。ひどく、ゆっくり時が動く。熊の開

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『春と私の小さな宇宙』 その23

『春と私の小さな宇宙』 その23

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
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○ 小さな宇宙

調査を開始して二ヶ月の月日が過ぎた。

漆黒の世界から抜け出すために様々な情報を知った。

外の様子、ニンゲンの存在、世界 のルール、そして、言葉……。

それらは私にとって未知で壮大なものだった。知ら

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『春と私の小さな宇宙』 その21

『春と私の小さな宇宙』 その21

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
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機関では一か月に一度、研究成果の集合会議がある。

その日に限り、機関の全研究員が集まる。その間、実験体のハルとミハエルは別々の部屋で待機していた。

ハルは実験室の扉にある電子錠に近づくと、暗証番号を打ち込む。研究員が打ち込

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『春と私の小さな宇宙』 その20

『春と私の小さな宇宙』 その20

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
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彼の名前はミハイルというらしい。

年齢はハルより二つ上の六歳。生まれた時から言葉をしゃべり、走り回れたため、故郷ではかなり有名だったそうだ。

ここに来たのは自分のことを知るためだと彼は言った。当然、頭の中に直接、語りかけて

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『春と私の小さな宇宙』 その19

『春と私の小さな宇宙』 その19

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
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久しぶりの我が家へ戻った。

ハルの小さな胸は軽く、上昇した心拍がほんのりとした温かさを身体中へ送り出している。

最初に出迎えたのは「母」の悲鳴だった。ハルを見た瞬間、「母」は目を見開き、絶叫したのだ。

バケモノが帰ってき

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『春と私の小さな宇宙』 その18

『春と私の小さな宇宙』 その18

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
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ハルが初めて人間を処分したのは五歳になった時だった。

「父」と「母」と呼ばれるもの だった。

三歳で既にハルは地元の有名人だった。新聞記者が詰め掛け、様々な地方の新聞に彼女の天才ぶりが大きく取り上げられていた。

そんな時

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『春と私の小さな宇宙』 その9

『春と私の小さな宇宙』 その9

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
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ハルが校舎を出ると日は沈みかけ、辺りは濃い紅色に包まれていた。

夕焼けが束の間の輝きを放っている。羽ばたくカラスが半円の太陽をバックにシルエットをつくっていた。 夕日の背景に黒く染まり、その黒をより際立たせる。

「ハルゥ、

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『春と私の小さな宇宙』 その7

『春と私の小さな宇宙』 その7

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
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生物は進化の過程で遺伝子の形態を幾度も変えてきた。 研究者たちは生物の遺伝子を特性上、大きく三つに分類した。

性別がなく、無性生殖する単細胞生物が第一世代。

有性生殖し、二重螺旋のDNAを持つ者、つまり人間や動物などが第二

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