私だって食べたい
8月も終わりに近づき
夏の真っ只中の、あの暑さに比べたら
少しだけ過ごしやすい日々を迎えている。
オリーブ畑の片隅では、
猫の額ほどの小さなところで家庭菜園もどきをしている。
昨年までは…いや、この春先くらいまでは、
レタスもちゃんと育っていたし、
昨年なんかは、植えたトマトが豊作で
あまり買わずに済んだのに
なぜか今夏は、からっきしダメ。
昨年に比べ、今年の夏は雨が少ない…というのもある。
植えたトマトの、1/4は、昼間の40度近く続いた暑さにやられてしまった。
あとは、オリーブ畑にお住まいの、人間以外の住人に
全て食い尽くされてしまうという快挙。
ほんのり赤くなり始めたトマトたちは、
翌日、見事にひとつも実が無くなってしまっていた。
ある時ふと、
生態系が変わってしまったのかな…なんて思った。
それまでには気づかなかった、オリーブ畑を取り巻く多くの生き物たち。
夜遅くにカサコソと動く何かがいるのを感じたこともある。
暗くてよく見えなかったけれど、
柵の上を歩き、木の上に移ることが出来るもの、
リスかネズミだろうと思う。
今年になってからお隣のおばちゃんが、知り合いから馬を2頭預かった。
私たちにとっては、なんら変わりないと思っても、
そこから変わる何かが、きっとあるのだと思う。
馬が直接の変化を生み出すわけではないけれど、
馬のために用意しておく食料に
ネズミがやってきているっぽい…と
おばちゃんも言っていた。
それまでは、だだっ広い丘のあちこちに点在していた小動物たちが
馬の餌に取り巻き、
住処を変え、
家庭菜園の野菜や果物を食い尽くす。
今朝見たら、育ちかけていた柑橘系の実が
ひとつ残らず、姿を消していた。
収穫したら、ポン酢を作ろうと思っていたのに。
残念だけど、仕方ない。
農薬も肥料も与えていない、
自然だけで作られている野菜や果物。
さぞかし、美味しいに違いない…
そう、思うことにしている。
もう少し涼しくなったら、
この小さな畑に
少しずつ手を入れていこう。
美味しい野菜や果物は、
私だって食べたいのだ。