激突、クレオ洞窟の伝説の猿たち
INDONESIA
Semarang市内から南に約10km、緑豊かなダムのほとりに古くからあるのが
【クレオ洞窟】
そこは、猿たちの楽園
車が緩やかな下り坂の駐車場に滑り込もうとしたとき、その異様な嬌声に目が覚めた
ーキー!キー!キー!キー!キー!
後部席の車窓の向こうには、数百匹はいそうな猿の群れ・・・
ドライバーのバルミロがクラクションを短く鳴らすも、猿たちには全く効き目がない
注意深く、猿たちを轢いてしまわないように慎重にパーキングスペースに車を止めようとするも、まるでそれをあざ笑うかのように猿の群れが車の屋根の昇り屋根を叩き、爪で引っ掻く、まるでお祭り騒ぎ
ーキー!キー!キー!キー!キー!
ー”これが・・・クレオ洞窟の”伝説の”猿たちか・・・”
車から慎重に降りると、猿たちがわたしに群がり始めた
それは人間を恐れるのではなく、というよりかは逆に胸を張って堂々と向かってくるその姿・・・
ー”その人間を舐めきったフテブテしい態度、気に入った。ピーナッツの大盤振る舞いで応えよう”
わたしが駐車場の隅にある売店に足を向けると、数十匹の猿たちが後をついてきた
やはり賢いのだろうか
売店に何があるのかを熟知し、そこへ向かう人間は食べ物や飲み物を買い、そしてピーナッツを買うということを知り尽くしているかのようなこすっからい表情
赤いジルバブを頭から被った年配の女主人からピーナッツを一袋買い、再び駐車場に戻ると、わたしはまるでスーパースターになったかのような気分だった
なぜならば、眼前に数百匹の猿たちの熱い視線と、熱狂の大歓声・・・
それは、以前パリから東京へ向かう機上で観た【ボヘミアン・ラプソディ】を最近Netflixで観なおした再度の感動に近かった
フレディ・マーキュリーがクライマックスで偏見と挫折を乗り越え、到達し、そして見ることができたイギリスのウェンブリー・スタジアムの「LIVE AID」のステージから見た客席の風景と同じだったに違いない
わたしはフレディになったつもりでビニール袋を破り、ピーナッツを投げると猿たちが一斉に取り合いを始める
そして、まだピーナッツを少ししか投げていない状況で、それは起こった
わたしが右手に一眼レフ、左手にピーナッツの袋をもっているとー
素早く強奪されてしまった・・・
それは瞬きをする一瞬の出来事で・・・
わたしはアンコールに応えるために再び売店でピーナッツを買う
ところでこのクレオ洞窟の猿たちには、ある<伝説>があるのだ
それは大昔、この地にいた敬虔なイスラム教徒たちが、モスクを立てようと木材を探していた際に、ここの野生の尾長猿たちが木材の提供を人間に申し入れ、しかも運搬から建設までを手伝ってくれたという・・・
結局、誰もいない早朝から1時間余り猿たちと戯れ、冷たいミネラルウォーターを飲むと異様にお腹が空いていたことに気がつき、帰りにパダン料理を食べに行くことに
それはインドネシアのパダン地方の伝統料理で、テーブルに着くと目の前に数十種類の惣菜の皿が積まれ、自分の食べたい惣菜を自由に取り、指で白米と混ぜ合わせて食べるのだ
結局、この日は海鮮中心で選び出し
そして朝から野生の猿たちと遊んだせいか、フォークやスプーンは使わずに、現地人と同じように手で食べようかとワイルドな気持ちになり
金属のボウルにレモンの輪切りを浮かべた水で指先をしっかり洗ってから
豪快に指でかき混ぜて完食
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