ユキ|枯れない花をあなたに

あなたは、あなたのためだけに咲く花を見たことはありますか? 「こころに花を咲かせよう」をテーマにWebライター•デザイナーとして活動しています。

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  • 小説 ムメイの花

    連載小説。 主人公は、感情を忘れたムメイ人 アルファ。 彼は「1本の花」を片手に 「自分の答え」を追い求めていく。 人それぞれ違う、生きる意味。
もし、あなたが聞かれたら何と答えますか? 喜怒哀楽なこころを彩る、 個性豊かなキャラクターたちにもご注目。

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小説「ムメイの花」 #1ムメイの花(目次有り)

空を見上げるとひときわ輝く星がある。 あなたが今、空を見上げて目に留まった明るい星だ。 その星に「ムメイ」という街が存在する。 ムメイは地球を行き来するロケットの発着場。 機械化が進んだ街かと思えば、 至ってアナログな街。 ムメイ人たちが目で見ている世界も色というものはなく、白黒だ。 そんなムメイには「独特な花」が生息している。 花に名前はない。 花の種類はたったの1種類。 花びらはどの花をみても5枚。 根も葉もなく単純なつくりをしている。 花は主にムメイ人た

    • 小説「ムメイの花」 エピソードゼロ 使命の花

      東京都内の駅ビルにある花屋。 私は母の日のような特別なイベントがなければ花屋で花を買うことはない。買ってもどうせ枯れてしまうし、水や温度管理をしなければならない。同じ額を出すのなら甘いカフェラテでも買いたい、なんて。 小さい頃はお花屋さんになる!と七夕の短冊に書いたっけ。でもそれは小さいながらに理解していた「子供だから許してもらえる」みたいな感覚だったのを覚えている。 って、いつの間につまらない大人になったんだ、私。 そんなことを考える、11月23日。 私は花屋で花束

      ¥500
      • 小説「ムメイの花」 #46繚乱の花(最終話)

        朝の日課。 家の前に立つ。 右手には1本の花。 首からはデルタのカメラを下げている。 今日、僕はこれから地球へ向かう。 僕のおじいちゃんや 大好きなデルタも 地球に行ったとされている。 そして地球には 見ると必ず感動するという 花が咲いているらしい。 地球人の言葉が理解できるか、 正直他にも不安はたくさん。 だけどそんな花が咲く場所に住む地球人だ。 困ったときにはこの右手の花を差し出そう。 きっとこころを開いてくれるに違いない。 ブラボーとチャーリーに 挨拶を

        • 小説「ムメイの花」 #45満点の花

          朝の日課。 家の前に立つ。 右手には1本の花。 ムメイにあのときと同じ朝が戻ってきた。 右手に持つ花は今朝、 家の屋根から摘み取ったもの。 それぞれの方法で ムメイに住む人たちが1日を始め、 街は動きだす。 地球へ向かうロケットも飛ぶようになり、 ロケットが発射する音が街中に響き渡る。 あのときと違うことを挙げれば、 僕がカメラを首からかけていることくらい。 そんな今朝は右手がだるい。 昨日、家に帰ってから 未だ謎に包まれている 「ハナヲミヨ」の意味について、

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        小説「ムメイの花」 #1ムメイの花(目次有り)

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        • 小説 ムメイの花
          47本

        記事

          小説「ムメイの花」 #44奇跡の花

          朝の日課。 家の前に立つ。 右手には1枚の花の写真。 ブラボーとチャーリー、 僕たち3人は花を咲かせるべく 日々それぞれ活動を続けていた。 ムメイの街に花の写真を飾ったり、 花の灰を撒いたり、 ぱんぱん、ありがとうを忘れず 今度こそ諦めることはなかった。 活動初日、咲かない。 そりゃ初日だ。 3日目、咲かない。 まだ3日目だ。 ……1ヶ月目、咲かない。 頑張れ、と自分に言い聞かせていると いつも見かけるムメイ人から聞かれる。 「おいアルファ、  お前最近何してる

          小説「ムメイの花」 #44奇跡の花

          小説「ムメイの花」 #43比較の花

          朝の日課。 家の前に立つ。 右手に花はない。 昨日、花の灰を チャーリーの庭の一角に撒いた。 今朝は花が開花しているか確認をする。 そのために5時に撒いた場所で ブラボーとチャーリーと 待ち合わせの約束をした。 早朝に待ち合わせするなんて 人生で何度あるだろう。 デルタのカメラも 首からかけて準備万端。 5時まで少し時間があることを理由に 集合場所へは行かず、家の前に立っている。 緊張をして1人で向かえないんだ。 今は5時まであと10分というところ。 チャーリ

          小説「ムメイの花」 #43比較の花

          小説「ムメイの花」 #42期待の花

          朝の日課。 家の前に立つ。 右手に花はない。 今朝もデルタのカメラを首からかけ、 花の灰について考えを巡らせていた。 「おーい、アルファ。おはよう」 不思議なことが起こったあの本を抱え ブラボーが走って来る。 そしていつものように 石に躓き本を落とす。 毎日躓く石も、あの本に劣らず不思議だ。 ブラボーが不思議の源なのか…… 石やブラボーの謎については 花の灰の件が片付いてからにしよう。 波のように押し寄せる こころの中の言葉を落ち着かせる。 本を拾い、僕の元へ

          小説「ムメイの花」 #42期待の花

          小説「ムメイの花」 #41手がかりの花

          「これは覚えのある、あの香り……」 指についた香りは えぐみや苦み、青臭さを感じさせ、 一瞬にして何事もなかったように消えた。 代わってどこか懐かしい思い出が蘇る。 頭に浮かんだイメージは CHAPLINの主人との出会いや いつもの仲間との毎日のやりとり、 別れ、再出発。 さらに体が何かに包まれる記憶……。 僕は地面に放り投げられた本を拾い、 ブラボーの元へ。 ブラボーは自分の本が動いたことに驚き、 未だ尻もちをついたままだった。 僕が近づきとようやく立ち上がり

          小説「ムメイの花」 #41手がかりの花

          小説「ムメイの花」 #40偶然の花

          朝の日課。 家の前に立つ。 右手に花はない。 ムメイに花を蘇らせるために動き出すも、 花に関する情報を掴めない日々を送っていた。 少しばかりので良いのに、情報はゼロの状態。 その代わり、日々増えていくものは 拳をつくった僕の右手の写真。 デルタのカメラを使って 見えない花を右手に握り、写真に収めている。 右手に花がいつ戻ってきても困らぬよう、 撮影のイメージトレーニングをしているんだ。 しかも頻繁にフィルム越しに拳を見ていると、 手のケアをしたり、清潔な状態を保とう

          小説「ムメイの花」 #40偶然の花

          小説「ムメイの花」 #39挑戦の花

          朝の日課。 家の前に立つ。 右手に花はない。 花の代わりに、首からカメラをかけている。 ブラボーとチャーリーに許しを乞いに行った昨日、 僕は2人からデルタのカメラを預かった。 せっかく手元にカメラがあることだし、 何かを撮影しようと試みる。 ところが実際やってみると 何を撮ったら良いんだろう?と悩んでしまう。 カメラを覗いていると誰かが走ってくるのを感じた。 多分、いや。100%ブラボーだろう。 「おーい、アルファ。おはよう」 僕はカメラを覗いたまま、声のする方

          小説「ムメイの花」 #39挑戦の花

          小説「ムメイの花」 #38希望の花

          朝の日課。 家の前に立つ。 右手に花はない。 いつもの朝より背筋が伸びやすい。 なぜなら昨日の朝、 自分なりの花の答えを見つけた気がしたから。 そしてそれが夢にもなった。 僕の夢はムメイ人……いや、 『全ての人の隠れたこころを知り、  他の人にも知ってもらえるようになる』こと。 これまで人と人との間にあった花は こころが花と化したものだとわかったんだ。 お互いのこころを感じ取ることができれば、 感情にだって繋がるはず。 そのために、まず地球に行って 地球の花を自分

          小説「ムメイの花」 #38希望の花

          小説「ムメイの花」 #37意味の花

          朝の日課。 家の前に立つ。 右手に花はない。 僕は今朝、寝ていたときに見た 夢のことについて考えていた。 今朝の夢は鮮明に覚えている。 いつもなら夢なんて見ないか、 見ても起きてすぐに忘れてしまうのに。 夢の中の僕がいたのはミツメ山。 フェアリーズのみんなと一緒にいた。 話題はそれぞれの「将来の夢」について。 夢はそれぞれだった。 注目されたい。 偉い人になりたい。 写真に収めたいものがある。 そのときの僕はというと、 自分の声を出すことはなかった。 夢がわから

          小説「ムメイの花」 #37意味の花

          小説「ムメイの花」 #36夢中の花

          朝の日課。 家の前に立つ。 右手に花はない。 僕は今朝、久しぶりに家の前に立っていた。 ただ空を見上げる。 本来ならロケットが飛んでいくはずの空。 どこまでも遠く、広い。 せっかく何もない空を見ていたのに 鳥が飛ぶ姿が視界に入ってくる。 しかもまた何か咥えているじゃないか。 鳥のヤツ…… あいつのせいでブラボーとの会話中にパンを盗まれた。 あいつに花を咥えていると惑わされたせいで 花を追ったデルタも僕の前から姿を消すことになった。 「いい加減にしてくれ」 ため息

          小説「ムメイの花」 #36夢中の花

          小説「ムメイの花」 #35有り難みの花

          朝の日課。 家の前には…… これまでの僕とは違う。 家の前には立たない。 右手に花もない。 目が覚めてからも しばらくベットで寝転がっていた。 寝た気はせず、1日を始める気力なんてない。 いやいや重たい頭を上げ ベットから起き上がり部屋の窓を開けた。 もしかしたら 花が咲いているんじゃないかと頭によぎる。 屋根に手を伸ばそうとする僕。 同時に街のどこかに カメラを持っている子がいないか探していた。 僕は首を横に振り、ひとつため息をついた。 どんな僕でもお構いな

          小説「ムメイの花」 #35有り難みの花

          小説「ムメイの花」 #34後悔の花

          朝の日課。 家の前に立つ。 右手に花はない。 ミツメ山から帰ってきてから数日の間、 デルタは姿を見せることはなく フェアリーズの活動にも参加していなかった。 花の意味や花が咲かなくなってしまったことよりも、 ミツメ山でデルタが集合場所に来なかったことを 頭の中でぐるぐる考えていた。 ブラボーとチャーリーは 僕の元へいつものように集合した。 「おはよう。ブラボー、チャーリー」 「おはよう、アルファ。  デルタは今朝も来ていないんだね。  やっぱりあれは……」 意味を含

          小説「ムメイの花」 #34後悔の花

          小説「ムメイの花」 #33運命の花

          僕たちフェアリーズは 花を探しにミツメ山へ。 『ハイルナ モドレ』の看板を目の前に立ち止まる。 看板が立てられた所には大きな切り株があり、 切り株を中心に4本に道がわかれていた。 ブラボーは僕を見て言った。 「アルファ、この先はどうする?」 「もちろん、行こう」 チャーリーも会話に参加する。 「進むとはいえ、道は4本あるよ。  どうすんのさ?」 しばらくの間、僕は静かに考える。 バニラに出会ったときの成功体験…… 効率良く、時間を短縮できる方法…… 勇気を出して決め

          小説「ムメイの花」 #33運命の花