仕事に何を求めるか。わからず転職して泣いた春のこと
25歳の時、初めて転職を経験した。
転職直前、職場の先輩に職場のどんなところが不満なのか教えてと言われて、何も言葉が出なかった。
しまいにはなぜ自分は転職しなければいけないのかわからなくなって、仕事を辞めることが嫌で、泣いた。
新卒3年目。仕事の居場所と周囲の眩しさと
新卒で入った会社は金融大手で、そこは私が100社以上落ち続けた就活を経て、唯一内定をもらえた先だった。
やりたいことがわからないまま手当たり次第受けた新卒の就活時、やっぱりやりたいことがわからないままもらった内定に、3年以内にやりたいことを見つけなくてはいけないと焦った日のことも覚えている。
私は"たまたま"そこしか内定がもらえなかったからその会社に勤め始めたけれど、周りの皆はやりたいことがわかっていてここにいるのだと、みんながみんなそうである筈がないのに、そう頑なに思い続け、入社して2年半が経った。
入社したばかりの頃は、「どうしてそんなこともわからないの」と日々言われ続け泣くことも多かったけれど、2年半も経てば任される範囲も増え、社内での信頼関係もそこそこ築けるようになり、職場にはたしかに居場所が持てるようになっていた。
その一方で、同じくやりたいことがわからないまま就活を終えた友人から、転職先が決まったと連絡が入ったり、次の道に進む旨の投稿をSNSで見かけることも多くなった。
仕事が苦痛でなくなったタイミングは、自分でかけた"やりたいことを仕事にしなければ""3年で結論を出さなければ"の呪いが強く効いてくるタイミングとしっかり重なっていた。
"やりたいことを仕事に"しなければいけないわけではない
そもそも"やりたいことを仕事にしなければ"いけないことなんて、ない。
仕事に何を求めるかは人それぞれで、やりたいことを仕事にしている人は眩しくみえるものの、むしろ仕事外のやりたいことをしっかりやれる状況をつくるために仕事を選ぶことだってある。
仕事で自分の中の何を満たしたいのか、どんな環境だと居心地がいいのか、自分にとっての仕事の位置づけや、エネルギーを注ぎたい度合いはどうなのか。
考えればその答えは幾重にもあるものの、私はそのことに気が付くことすらできなかった。
"やりたいこと"は相変わらず3年働いてみても明確には見えないけれど、心理や人に作用することに携わりたいというぼんやりとした気持ちから、連想ゲームのように人事関連の仕事を探していた。
当時の私が仕事を通して一番得ていたものは、繋がりだった。
大好きな同期と目配せをし、日々の出来事を共有して、仕事自体でそんなに接点があるわけではないものの、仕事であったことも仕事以外で起きたことも毎日たくさん話した。
同期以外にも、仲良くなった先輩方と"こんな行動にびっくりした"というようなちょっとした話をしたことや、お気に入りのお姉さんと二人でランチに行けたこと、特に仲のいい先輩と駅まで一緒に帰れたこと、そんなことが仕事で一番楽しいことたちだった。
二番目に得ていたものは、"役に立てている実感"だったように思う。
しっかり動けて仕事を進めていける実感を持て、他部署との会議にもやっと連れて行ってもらえるようになり、新しく異動してきた方に業務を教えることも増え、仕事が多いことが嫌というよりも、できることが増えていくことが楽しいと思えるようになっていた。
日々の業務はルーティンばかりだったし、当時の私はルーティン過ぎる業務を前に、自分は機械の一部のような仕事をしているなと感じていたけれど、それでもあの頃、"役に立てている実感"はたしかに感じられていた。
自分が重視していたものを、自分で手放した
そうやって自分が仕事で得ていた"繋がり"や"役に立てている実感"は、そんなことを認識することもなく、"やりたいことを仕事にしなければ"という呪いに飲み込まれてしまった。
呪いはあれど、やりたいことが明確になっていたわけでもなく、ぼんやりとしたやりたいことのまま進んでいたからこそ、自分の求めるものが蔑ろにされたまま転職先を決めた。
次の職場は探していた人事関連の仕事で、やりたいことを仕事にできるという希望を抱いていた一方で、転職先が決まって1ヵ月も経てば、今の職場から離れることが嫌で嫌で毎日枕を濡らしていた。
何がそんなに嫌なのかもわからず、何がそんなに怖いのかもわからなかった。
それでもそのまま時間は流れ次の職場に向かわざるを得なくなり、新しい職場に入って半年経った頃、仕事に行けなくなった。
未知の分野に飛び込んだのたから当たり前なものの動けない自分に絶望し、周囲との距離感に人生の居場所を失ったように感じ、もともと自分の中にあった些細な変化を飲み込むのが上手でない傾向が輪をかけて、日々は拒絶と逃避で溢れかえった。
価値観と合う考え方を
今でも私は、復職してその転職先で働いている。
だけど当時のように絶望し続けているわけではなくて、もう3年もいるから"役に立てている実感"もしっかりあるし、コーチングの考え方を仕事に活かしたり仕事の経験をコーチングに活かしたりできることに喜びを感じたり、職場は変わるかもしれなくても、専門分野をここに定めてこれから先も働きたいと思えるようになっている。
仕事それ自体に今特に求めるのは、"安心"して日々の生活を穏やかな気持ちで送れる素地をつくることだったり、小さな"挑戦"をしてできることを増やしたり自信をつけることだったり、自分の中で折り合いをつけながら、そんなことも認識できるようになってきた。
雑誌をめくっていると、やりたいことを仕事にして目を輝かせている人の様子をよく見る。
だけどその誰かと自分の現状を比較する前に、自分が本当に求めているもの・楽しいと感じていることを振り返ってみて欲しい。
何がないからダメなわけではなくて、その何かを自分が本当に欲しいのか。
一度立ち止まって考えてみると、自分の求めるものとその目線の先にいる誰かが求めるものの境界線が、なんとなく浮かび上がってくるだろうから。
誰かにとって200%の人生も、あなたにとって80%の人生かもしれないし、その逆も然り。
自分自身にとって一番いいと思えるものを選び取っていく近道は、他の誰かよりも自分自身を深く知っていくことと繋がっている。
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