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日本一周 東北編

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日本一細かい東北旅行の記録。
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記事一覧

【日本一周 東北編1】 そうだ 東北、行こう。

・メンバー 明石、尾道、釧路、宮島 ・深夜バスにおける三種の神器  筆者:明石  「3列独立シートの効能で安眠ゲット」と心が浮き立っていたが、前席の乗客が、消灯後も周囲にはばかることなくパソコンを操作していたために、ささやかな夢は日の目を見ることなく水泡に帰した。  我此れに学ぶ。  一つ、眼前で如何なる奇妙奇天烈な事件が繰り広げられようとも、意に介さぬアイマスクを。  一つ、耳元で姦しさを極めた主婦の井戸端会議が開催されようとも、意に介さぬ耳栓を。  一つ、背後に

【日本一周 東北編2】 冬はつとめて、マクドナルドはさらなり。

・メンバー 明石、尾道、釧路、宮島 ・早朝マック  筆者:明石  東北地方の殺人的な寒さに争うつもりは毛頭なく、マックにて日の出を待った。早い時間にもかかわらず、店内は同じ考えの人々で賑わっていた。各々が、これから始まる旅について鼻息荒く、あくびを交えながら熱弁していた。  そんな彼らの勢いも徐々に衰え、少し仮眠でもとるかと店内がまどろみに包まれはじめた頃、スピーカーからは驚くほどテンションの高いAIのラジオと新曲がエンドレスで流れ出し、一転して地獄絵図の様相をなし

【日本一周 東北編3】 雨の中の金色堂

・メンバー 明石、尾道、釧路、宮島 ・太平なり  筆者:明石  夜露がしみ込んでつるつるにコーティングされた長い坂道を登ると、中尊寺と銘打たれた門が出てきた。門をくぐると、幹が360°以上ねじ曲がった松が待っていた。見応えはあったが、人の手によってこんなひねくれ者に仕立て上げられてしまった松に少し同情した。  そうこうしているうちに、ぽつりぽつりと雨が降ってきた。雨予報なのは知っていたが、いざ目の当たりにすると少し萎えてしまう。しかし、芭蕉の詠んだ「五月雨の 降りの

【日本一周 東北編4】 自給自足わんこそば対決!

・メンバー 明石、尾道、釧路、宮島 ・わんこそば対決  筆者:明石  和服を着たおばさんによる「はい、どんどん。…。はい、どんどん。…。はい、どんどん………」のエンドレスあいの手を期待していたが、コロナ禍ということで、椀にもられた18杯のわんこそばを自らつゆにつけて平らげていく形となった。  こんなの、18杯という正直多くも少なくもないそばを、時間をかけて食べたところでなんの面白味もない。よって、尾道と早食いをする運びになり、気づいたときには一心不乱にそばをむさぼっ

【日本一周 東北編5】 「遠野物語」の舞台へ行く

・メンバー 明石、尾道、釧路、宮島 ・遠野は遠いぃのぉ  筆者:明石  日が傾きはじめた頃に、遠野到着。  なかなか長い道のりで、しかも高速は一車線で、無駄に神経を使わせる。しかもしかも、遠野はあくまで寄り道だから、一時間かけてきた一車線道路を馬鹿みたいに戻らなければならない。それを踏まえた上で遠野よ。その労力に足る魅力を秘めているのかい?  続石へ向かう山道は、おどろくほど急だった。西日を遮る杉木立は強風に煽られて、木枯らしのお手本みたいな音を奏でている。そのせ

【日本一周 東北編6】 いないカッパに誘われて

・メンバー 明石、尾道、釧路、宮島 ・フリオチ完璧「カッパ淵」  筆者:明石  よくよく計算してみると旅程が大幅に押していることに気づき、「カッパ淵駆け足でまわるぞぉ!でも、手短に済ませるのはもったいないかな」なんてお茶目に意気込んでいたが、それらはすべて杞憂に終わった。  カッパ淵のある寺は駐車場から駆け足で3分、思えば入り口の仁王像からしてすでに怪しかった。首の座りきっていない仁王は「月曜から夜ふかし」準レギュラー盛岡ゼブラファンの斎藤さんみたいな顔をしていた。

【日本一周 東北編7】 東北にいた!東京駅の兄弟

・メンバー 明石、尾道、釧路、宮島 ・盛岡ノ地ニテ辰野金吾ヲ思フ  筆者:明石  遠野から車で走ること1時間強、夕闇迫る盛岡の街に着いた。  盛岡は僕の好きな漫画「彼女とカメラと彼女の季節」の舞台であり、そこここに思い入れのある景色が広がっていた、と言いたいところだが、盛岡が舞台であることを旅行から帰ってきてから知ったため、広がる街並みは単なる一地方中枢都市としか映らなかった。悲しいかな。  岩手銀行赤レンガ館。さほど大きくない交差点の一角に、東京駅を設計した建

【日本一周 東北編8】 盛岡三大麺制覇!

・メンバー 明石、尾道、釧路、宮島 ・ミッション・インポッシブル  筆者:明石  盛岡駅前の東横インにチェックインすると、長かった1日を回想しながらベッドに寝転んだ。ふぅー今日も楽しかったなぁ、と寛ぐのも束の間、僕たちには今日中に片をつけなければならない任務があった。  「盛岡三大麺制覇」  わんこそば、盛岡冷麺、盛岡じゃじゃ麺の3つを合わせて盛岡三大麺というのは有名な話*。思慮深い僕たちはすでに昼食にてわんこそばを堪能したため、残る麺はあと2つ、盛岡冷麺と盛岡じ

【日本一周 東北編9】 限りなく透明度が高いブルー

・メンバー 明石、尾道、釧路、宮島 ・龍泉洞へいざ行かん  筆者:明石  東横インの朝食を食べるために7時半にフロント集合の約束をし、僕と釧路、尾道と宮島に別れてそれぞれ就寝した。  朝、すこし遅れてフロントに向かうと、すでに尾道と宮島は「東横インが朝食代わりに支給した弁当」を持って待っていた。  彼らは僕たちの姿を見届けると、「部屋で食べる」と言い残して去っていった。僕たちは弁当ではなくプレートで受け取り、フロントにてぼんやり、もぐもぐ平らげる。  フロントに

【日本一周 東北編10】 絶滅したクニマスのすむ田沢湖

・メンバー 明石、尾道、釧路、宮島 ・釣りキチ三平恐るべし  筆者:明石  道中、髭を生やしたアウトドア好きそうなおじさん2人の乗った車高高めのオフロード車を抜きつ抜かれつしながら、2時間かけて盛岡市まで帰還し、どこへも寄らずに通り抜けて秋田へ入国した。  竜泉洞を出てから3時間ほど経って、ようやく本日2つ目の目的地である田沢湖に到着した。土産物屋の集まったさびれた道の駅に車をとめて、湖へと向かった。曇り空なのが残念だったが、それでも湖の透明度は目にみえて明らかだっ

【日本一周 東北編11】 イメージと違ったきりたんぽ鍋

・メンバー 明石、尾道、釧路、宮島 ・妄想的角館観光  筆者:明石  秋田県を制覇するためのパーツを埋めるべく、角館(かくのだて)へと向かった。  ひとまず、秋田名物の「きりたんぽ鍋」で一項目稼ぐべく、手近にあった「月の栞」にてきりたんぽ鍋(1300円)を注文。届いたのは、高級な旅館で懐石料理の脇にそえられる釜をひとまわり大きくしたていどの小ぶりな鍋だった。  味は美味しいのだけれど、賞賛して褒め称えられるようなものではない。これは、ものめずらしい見た目と名前の郷

【日本一周 東北編12】 アパ社長カレーは飲みもの

・メンバー 明石、尾道、釧路、宮島 ・THE・地方都市 「鶴岡」  筆者:明石  雨の中、4時間ほどかけて鶴岡に至った。はじめは、ネットで検索した漢字ドリルの空欄に下ネタを当てがうゲームに興じて車内は笑い声に包まれていたが、徐々にその熱も冷めていく。  高速の乗り換えでコンビニに寄ったころには気持ちもすさむほどに眠気と疲労に蝕まれ、半ば投げやりに釧路と運転を交代した。  いつの間にか後部座席で眠り込んでいて、喉の渇きと共に目を覚ますと、鶴岡インターから降りたところ

【日本一周 東北編13】 山形のルネサンス建築!文翔館

・メンバー 明石、尾道、釧路、宮島 ・ホワイトなハウス  筆者:明石  8時に起床し、昨夜、宮島と釧路が夕飯を買ったマクドナルド(歩いていくにはかなりの距離にあった)のドライブスルーで朝マックを買う。運転席の私は、鶴岡ICから高速に乗る前には食べきらなければならない。そのため、赤信号の十数秒が勝負となる。いやはや、ゆとりのある旅をしたいものですな。  雪のちらつく山中をぬけ、文翔館に到着した。脇にはミニ日本庭園があり、トイレに行った宮島と尾道を待つ間、釧路と和風ショ

【日本一周 東北編14】 山寺で芭蕉の足跡をたどる

・メンバー 明石、尾道、釧路、宮島 ・閑さの 代わりをになう 人の声  筆者:明石  文翔館を跡にした僕たちは、そこから車で30分ほどの山寺へとやってきた。いざたどり着いてみると駐車場の勧誘をするおじさんおばさんがそこかしこに立っていて、危うく口車に乗せられそうになった。  なんとか精神を保ちつつ少々往復して値段を吟味し、底値に近い場所にとめることができた。ふぅーっ。途中で日本一大きい芋煮鍋があった気がするけど、夢か現か。  山寺とはどんなものかととりあえず目の前