【日本一周 東北編10】 絶滅したクニマスのすむ田沢湖
・メンバー
明石、尾道、釧路、宮島
・釣りキチ三平恐るべし 筆者:明石
道中、髭を生やしたアウトドア好きそうなおじさん2人の乗った車高高めのオフロード車を抜きつ抜かれつしながら、2時間かけて盛岡市まで帰還し、どこへも寄らずに通り抜けて秋田へ入国した。
竜泉洞を出てから3時間ほど経って、ようやく本日2つ目の目的地である田沢湖に到着した。土産物屋の集まったさびれた道の駅に車をとめて、湖へと向かった。曇り空なのが残念だったが、それでも湖の透明度は目にみえて明らかだった。
田沢湖は外周が20kmと小さめの湖にもかかわらず、水深が423mもあり、国内堂々一位の深さである。そして、田沢湖といえばクニマスである。
以前、田沢湖にはクニマスとよばれる固有種が生息していたが、1940年代に発電のために強酸性の水を湖に引いたことで絶滅してしまった。
ところが、2010年に富士五湖の一つである西湖にてクニマスの生体が発見され、現在、田沢湖にクニマスを復活させるプロジェクトが進んでいる。
絶滅していたと思われていた魚が、別の場所で生きていたこと自体驚きだ。しかし、なんといってもこれと似た話が、西湖でクニマスが発見される前に、漫画「釣りキチ三平」にて描かれていたのである!初めてこのニュースを見たときの私の驚きようといったら想像するに難くないだろう。
「釣りキチ三平」におけるクニマスの生き延びていた理由も、酸性水が流入されるまえに、絶滅を危惧した釣り人が卵を別の池に放流したためとあって、事実と被っている。
生物を他の環境へ移動させることは、生態系を崩してしまうためにタブーとされているが、ことクニマスにおいては英断であったと言えるだろう。
そんな思い入れのある田沢湖の湖岸を歩きつつ、ふと足元を見やると、砂が水晶のように透明できらきらしていることに気がついた。
まさか本当に水晶ではないと思うが、強酸性の水源も近いことから化学変化によって透明の化合物でもできたのだろうか。記念に、王冠大の結晶をポケットに忍ばせて田沢湖を後にした。
道の駅でおばあちゃんが売っていた「みそたんぽ」をめぐって一悶着あったが、それはまた別の話。結局全員食べられたのでよしといたしましょう。
尾道は批判してたけど、焼きおにぎり好きとしては美味しかったんよなぁ。彼は”きりたんぽ”に夢を見過ぎていたのだ。
・郷愁に動かされ現実に泣く 筆者:尾道
つい先日、バイト先の塾の授業で「幻の魚は生きていた」という文章を扱った。かつて田沢湖に生息していたクニマスについての物語である。田沢湖の水質汚染が原因でクニマスが姿を消したが、のちに別の湖で発見された、という内容だ。
ここまで読む限りでは、田沢湖が綺麗な湖ではないように思えてしまうが、今日の田沢湖は十分に美しい。視界いっぱいに広がる湖は驚くほど透明で、湖底が見渡せるほどである。奥に走る山並みが湖面にくっきり反射していて、これもまた乙だ。
一通り景色を楽しんだ後は、道の駅の傍らで売られていた「味噌たんぽ」なるものを食した。囲炉裏に刺さった味噌たんぽから郷愁を感じたのと、先に購入した明石と宮島が大層美味しそうに食べるため、釣られて購入した。
が、正直言って期待外れだった。よくよく考えれば当たり前だが、味噌たんぽはニアリーイコール細長い焼きおにぎりで、綺麗に想像の範囲内に収まる味だった。実はこれを買うために20分も待った。20分も。
気を取り直して、角館に向け車を走らせた我々であるが、なにか忘れているような気がする。あっ!たつこ像!
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