【日本一周 東北編6】 いないカッパに誘われて
・メンバー
明石、尾道、釧路、宮島
・フリオチ完璧「カッパ淵」 筆者:明石
よくよく計算してみると旅程が大幅に押していることに気づき、「カッパ淵駆け足でまわるぞぉ!でも、手短に済ませるのはもったいないかな」なんてお茶目に意気込んでいたが、それらはすべて杞憂に終わった。
カッパ淵のある寺は駐車場から駆け足で3分、思えば入り口の仁王像からしてすでに怪しかった。首の座りきっていない仁王は「月曜から夜ふかし」準レギュラー盛岡ゼブラファンの斎藤さんみたいな顔をしていた。
その上、門の内側からやってくるカッパ淵経験者たちは揃いも揃って気の抜けた笑みを浮かべており、なんだかすごぉく嫌な予感がした。
もうだめだ。
順路の先のカッパなんて棲もうにも棲めない水深10cmの小川に橋がかかっているのを見たとき、そう思った。
そしてたどり着いた目的地。「カッパ淵」と黒文字で記された杭の穿たれた川辺、キュウリの繋がった竿を持った小さな子供とそれを盛り上げる大人たち。気づけば僕たち四人は、さっきすれ違った人々と同じ笑みを浮かべていた。
・旅行客を襲う見えないカッパ 筆者:尾道
大手旅行ガイドブック「まっぷる」は、遠野のページに以下の小見出しをつける。
『民話に描かれる日本の原風景に出会う』
これから向かう「カッパ淵」は「遠野物語」に登場するカッパの伝承地なのだが、その実態は眉唾な民話を姑息に利用した、商業化に傾倒するスポットであった。
川辺に「カッパ淵」と書かれた柱が立っているだけで、それ以外はなにもない。これをゲンフーケ―と見事に表現してみせた編集者さんには、私的最優秀コピー大賞を授与したいと思う(もちろん遠野の諸々を踏まえてのワーディングだとは思うが、それにしても包括的で便利な単語を使ったものだ)。
純粋な観光客は、釣竿の先端にキュウリを結び付け、それを川面に垂らしながら来やしないカッパの登場を心待ちにするらしい。それが、この地を楽しむ唯一にして、最大の方法だからだ。我々はスれた観光客なので、そんな奴らを尻目に即刻車に戻った。
「まっぷるの宣伝文句を過信するのは良くない」という教訓をお土産に。
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