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本当に面白い小説を5冊紹介します!

本当に面白い小説を5冊紹介します!

私が本当に面白いと思う小説を5冊紹介します! ネタバレなしです。
ジャンルはそれぞれ上から、ややビターな就活青春小説、SF&ミステリ要素のある恋愛小説、メッセージ性の強いSF、本格ミステリ、哲学系の議論小説(?)です。

一番好きな小説を挙げるなら、やっぱり「何者」は外せません。
就活の対策に集まる5人の大学生たち。しかし会話やツイッター、面接の中で発する言葉の奥に本音や自意識が見え隠れして……と

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伊藤計劃「ハーモニー」を読み解くための、参考図書5冊

伊藤計劃「ハーモニー」を読み解くための、参考図書5冊

先日、「ハーモニー」という作品を紹介するエントリを書きました。

このエントリを読んだ方の中には、「ハーモニー」の世界観と精神(意識)の捉え方について、荒唐無稽な話だと感じられた方もいるかもしれません。ですが、「所詮SFの話でしょ?」と切り捨ててしまうのはあまりにもったいない! なぜなら「ハーモニー」は、科学的なリアリティに十分裏打ちされた作品だからです。

ということで今回は、「ハーモニー」を読

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伊藤計劃「ハーモニー」から、5の刺激的な思考

伊藤計劃「ハーモニー」から、5の刺激的な思考

ここ数年で一番印象に残っているSF小説を挙げるなら、伊藤計劃の「ハーモニー」を挙げます。

扱っているテーマが非常に刺激的であり先見性にも優れているため、折に触れて思い返してしまう作品です。

この作品で特に印象に残っている一節(思考)を、いくつか紹介してみます。
※ややネタバレありのため、余計な先入観無しで読みたい方はブラウザバックしてください。

「ハーモニー」が描くのは、人々自身が公共のリソ

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「ただしい人類滅亡計画」が面白かった

「ただしい人類滅亡計画」が面白かった

この本すごく面白かったです。

内容紹介作者はオモコロライターのダ・ヴィンチ・恐山氏。
テーマは「反出生主義」という、近年注目を集める(一見過激な)思想。

議論する10人のキャラクターはこんな感じ。

人類は滅亡すべきなのかすべきでないのか、反出生主義者のブラックの主張を軸に、様々な角度から擁護と反論が投げかけられます。

なんか小難しそうな本に思えますが、全然そんなことないです。
哲学的なテー

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2022年1月に読んだ本まとめ

2022年1月に読んだ本まとめ

まとめます。

絵画の見方を勉強してから美術館に行くと面白いのではないかと思い、この本で勉強することにしました。
絵の主役(フォーカルポイント)を見つけ、視線誘導(リーディングライン)がどうなっているかを把握する。バランスや色が絵の中でどう効いているのか意識してみる。それだけで美術鑑賞出来てる感が一気に増して、とても為になりました。
実際に荻須高徳展に行ってみた際も、この本に書いてあった構図の作り

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2021年12月に読んだ本まとめ

2021年12月に読んだ本まとめ

遅くなりました…。

パレオな男や最高の体調で良質な情報を発信してくださる鈴木祐さんの新刊とあれば、読まざるを得ません。
本書は、人間が持つ内面の普遍的な苦しみを、仏教からの引用を用いつつ科学的に対処する方法を教えてくれます。役立つのはもちろん、瞑想や禅問答といった宗教的な概念をサイエンスとして解き明かして説明してくれるので、読み物としても面白かったです。

「お金は使い切って死ぬべき!」だと熱弁

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2021年11月に読んだ本まとめ

2021年11月に読んだ本まとめ

今月は3冊。あんまり読めてない。
予定が詰まっているのは嬉しいことですが、本も読みたい。でも予定も入れたい。

シリコンバレーや欧米の若者たちに注目される「効果的な利他主義」。感情ではなく、エビデンスと理性によって世界をよりよい場所にしていく方法論が書かれている本です。
本書前半では、健全な寄付を行う為に慈善団体のコストパフォーマンス(寄付額当たりどれだけの人を救っているか)を明らかにした人、出来

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「創造的脱力」の要約

「創造的脱力」の要約

若新雄純さん著の「創造的脱力」を要約してみました。

破壊しないで、「脱力」する従来のよくできた社会システムの多くは、どうやら耐用年数がすぎ、人や組織のあり方を窮屈にしてしまっている。 私たちの日常に多様なスタイルや解放的な文化をつくりだしていくには、この「かたい社会」のシステムや人間関係を、中心ではなく周辺部分からゆるめていく脱力的なアプローチが不可欠になる。白黒をはっきりつける二項対立的思考や

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2021年10月に読んだ本まとめ

2021年10月に読んだ本まとめ

寝る前にポップインアラジンでたき火の映像を映しながら本を読んでいます。集中して読めるし寝付きも良くなるので良い感じです。

地下シェルターに閉じ込められた男女4人。追い詰められた彼らは、3か月前に起きた事件の真相を話し合う――。
ユニークな設定と綿密なプロットにグイグイ引き込まれて、後半は睡眠時間を削って一気に読んじゃいました。こういうクローズドな空間で今ある情報だけを頼りに真相を明らかにしていく

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「何者」より、5の好きな描写

一番好きな小説を挙げるなら、「何者」を挙げます。

読みやすくて、面白くて、強烈なメッセージ性がある、パーフェクトな作品だと思っています。

今回は「何者」から、好きな描写をいくつか紹介してみます。
※核心的なネタバレは避けていますが、未読の方は先に小説を読むことをオススメします。こんな面白い小説はなかなか無いので、余計な先入観無しで読んで欲しいです。

主人公の拓人がライブハウスで瑞月に後ろから

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2021年9月に読んだ本まとめ

2021年9月に読んだ本まとめ

ネタバレは最低限に抑えて感想を書くよう意識していますが、先入観無しで読みたい人はこの文章すら読まない方が良いかもしれません。

次々と言葉が消えていく世界を描いた実験的小説。TikTokの紹介動画がバズっていたのを見て興味を持ちチョイス。
序盤は言葉が無くなっていく様子をぼんやり楽しんでいたんですが、物語が進むにつれて無くなった言葉を補うための難解な言い回しが増えてくるので、なかなか読むのがしんど

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「肩をすくめるアトラス」より、7の名言

「肩をすくめるアトラス」より、7の名言

「聖書に次いでアメリカ人が人生で最も影響を受けた本」として有名な「肩をすくめるアトラス」。

読んでみて、グッときた言葉がいくつかあったので、忘れないようにまとめておきます。

※ネタバレ有りです。

それはわたしの問題であって、あなたの問題じゃないわ。 P91

鉄道会社を経営する主人公のダグニーが、鉄鋼会社のハンクにレールの納品時期の前倒しを依頼するシーン。当然、ハンクからは価格アップを要求さ

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2021年8月に読んだ本まとめ

2021年8月に読んだ本まとめ

なかなか難しかったですが、第19章「文明は人間を幸福にしたのか」で、テーマが人類史から幸福論にスイッチするところは「おお!」と思いました。

それならば、「幸福」は人生の意義についての個人的な妄想を、その時々の支配的な集団的妄想に一致させることなのかもしれない。私個人のナラティブ(物語)が周囲の人々のナラティブに沿うものであるかぎり、私は自分の人生には意義があると確信し、その確信に幸せを見出すこと

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2021年7月後半に読んだ本まとめ

2021年7月後半に読んだ本まとめ

寝る前に本を読まないと落ち着かないくらい、読書が生活の一部になっています。

ホリエモンの本の中で最も高評価されていたのでチョイス。
興味深く読めたのは前半部分。刑務所で味わった孤独、親と微妙な距離感だった幼少期、人生を変えたパソコンとの出会い…等、堀江氏があまり語ってこなかった意外な一面を知ることができます。
後半はいつもの堀江節かと思いきや、過激になり過ぎない程度に前向きな主張が書かれていて、

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