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2021年8月に読んだ本まとめ

なかなか難しかったですが、第19章「文明は人間を幸福にしたのか」で、テーマが人類史から幸福論にスイッチするところは「おお!」と思いました。

それならば、「幸福」は人生の意義についての個人的な妄想を、その時々の支配的な集団的妄想に一致させることなのかもしれない。私個人のナラティブ(物語)が周囲の人々のナラティブに沿うものであるかぎり、私は自分の人生には意義があると確信し、その確信に幸せを見出すことができるというわけだ。
これはなんとも気の滅入る結論ではないか。幸福は本当に、自己欺臓あってのものなのだろうか?

人類は、社会的意義という共同幻想の文脈に自分の人生を重ね合わせることで幸福を手に入れてきました。しかし、「社会では○○が成功とされているから、自分も○○を達成しよう。そうすれば幸せになれるはずだ。」という考えは、ひょっとすると自分自身を欺いているだけではないか? という刺激的な問題提起です。この問題を考察するヒントとして筆者は仏教を挙げていますが、結論は無く、あくまで人類史を幸福論の観点から見つめ直す必要があると主張するのみです。
この辺り、筆者の別の作品でもっと考察されてるなら読みたいなあ…。


アメリカで90歳以上のご老人に行われたアンケートで、「90年の人生を振り返って唯一後悔していることはなんですか?」という問いに対して、9割の人が「もっと冒険しておけばよかった」と答えたそうです。

「死を意識して今をより良く生きよう!」系の本で、人生を見つめ直すための27の質問が投げ掛けられます。刺さるメッセージもありましたが、筆者のエピソードベースで話が進むのであんまり好みではありませんでした。(文章が妙に軽いのも鼻に付く感じがしました。)

自分はエビデンスでぶん殴られる方が好みだなーと再認識しました。


アメリカ社会におけるリバタリアニズム(自由至上主義)の動向をまとめた本。筆者がこちらのインタビューで話している内容に惹かれて、読んでみました。
「保守」でも「リベラル」でもない「リバタリアン」の思想を知っておくことで、社会や政治を多角的に捉えるのに役立つ気がします。日本でもその内影響力を持つようになるでしょうし…。

あとがきに書かれた筆者の考え方が好きです。

そもそも、私にはイデオロギーとはあくまで人びとが世界・現実・人生を意味づけるための「道具」であり、その絶対性・無謬性・真正性を問うことは不毛との感覚がある。
(中略)
然るに、拙著はリバタリアニズムの喧伝を企図したものではない。アメリカのリバタリアンの草の根の営為を通して、世界・現実・人生を意味づける際の思考の選択肢を提供できれば十分である。


8月に読み終えたのは上記の3冊。
8月中旬からは「肩をすくめるアトラス」という長編小説を読み始めたのですが、ページが減らない減らない…。

とにかく毎日読まないと気持ちが切れると思い、ちょっとした空き時間でも読み進められるよう、この分厚い本を持ち歩いて過ごしてました。
現在1270ページ中1082ページまで読了。今週中には読み終わりそうなので、感想は早めにアップしようと思います。

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