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大人C
2024年5月5日 11:02
学生の頃、宮本輝の「青が散る」という小説を何度もくり返し読んだ。いわゆる青春の群像モノの小説で、将来への不安とか悩みとかが描かれているのだけど、宮本輝が書くと背伸びがない日常の中にこそ小説で描かれるべきものがある、なんてことを教えてくれる。この小説の中で特に好きなシーンがある。それは、たしか夏の夕方。馴染みの安い中華料理屋さんで汗をかきながら、悩みとかを語り合い、ビールと餃子をたらふく食べ
2024年5月4日 16:26
人通りが少ない道路に面した古書店。入口にある小さな看板に書かれた店名は読めない。覗き込むと店内の両脇には天井まで積み上がっている本棚が並び、その奥に店主の姿が見える。いわば今日の対戦相手だ。年齢は40代、お洒落なあご髭、丸ぶち眼鏡、見たこともない新聞を読みながら入口から覗き込む私を一瞥した。「たのもー!!」心のうちで僕は叫ぶ。「ほう。うちに古書店破りとは大した度胸だ。お
2024年5月4日 12:52
どうして僕の前にまた姿を現したの?どうして僕らの思い出を美しいままに残しておいてくれないんだ?どうして僕の心をまた揺り動かすんだ?キャラメル、君に言ってるんだ。わかってる、たしかに君のことが心に焼きついたことだってある。でもそれはもう遠い過去のことだ。僕はもう君のことは、やめてくれ、そうやって僕を惑わせないでくれ。君のその甘ったるい囁きが僕の歯にまとわりついて離れないんだ。
2024年5月1日 10:03
朝。5:30に目が覚める。いつもより部屋が暗い。目線は天井を見上げたまま。カーテンの向こう側から雨の降る音。今日は雨降りだ。家族がそれぞれの日常生活に向かっていく。送り出して空を見上げると厚い雨雲。ゆっくりと風に流されている。午後には晴れるらしい。ラッキー。洗濯ができるね。家の雑事をひとつひとつ終わらせる。テレビはつけない。好きな音楽。熱いコーヒー。軽くなる雨の音。ちょっと散歩をしに外に出