Yoshiyuki Ohashi

感情移入あるいは共感(empatia)について考えてみよう、と。

Yoshiyuki Ohashi

感情移入あるいは共感(empatia)について考えてみよう、と。

最近の記事

最終皇帝伝説――レオの預言 4

羅版     歓び   見よ、新しい、本当に新しい習慣を。鎌と薔薇をもつ者。汝に四カ月を与えよう。 鎌(剣)は穀物の初穂をすべて薙ぎ払うだろう。汝は短期間のうちに偶像の神殿を建てることになる。汝は三の三倍、老人になるまで生き、冥府に引き込まれるだろう(死の年を引き出すためには)、その間に失われた二人とともに(真中の二が欠けている)。 第三と最初の文字を倍する(文字が重複している?)。先に合したものを分割する。 銘文図IV。 [A] スルタヌス・パザイテス。 [B] これらの

    • 最終皇帝伝説――レオの預言 3

      羅版      独裁(専制)。 汝はビザ(ブクサ)(コンスタンティノポリス、ビザンツ人)の一族、たいへん大胆で遅滞なく、戦う準備も整っている。 名前の最後の部分を取り去るなら、汝は湿った場所で望みも虚しく斃れるだろう。 汝の中に角(凶兆)のはじめとおわりがあるから。 汝の耳はさまざまな訓戒の言葉に圧迫され、 口を震わせ、吐息を吐くばかり。 銘記図III。 [A] スルタヌス・メケメティスがコンスタンティノープルを占領しようとしている。 [B] 湿った場所で、そして希望を失い

      • 最終皇帝伝説――レジセルムスの解釈 2

        〔第二の碑文〕〔図〕 A 二重、三重の(意味を持つのが)騎馬する鳥(鳥の騎士)であり、十字を運び、また馬には角がある。 B これこそが鳥たちの偉大な王、これは白昼に王国を奪取し、角ある馬のうちに憩うだろう。太陽が南中する時に。 C 二つの名をもつ一(モナド)よ、第一のもの(名)を時の数に均して、汝の時の部分を測り(がどこにあたるかを見る)、その中央に十字の似姿を置いて。汝がおおいに大胆であるなら、早々に戦いの準備を済ませることになる。おお、ビザンツの民よ、ついに名声を得る時宜

        • 最終皇帝伝説――パスクァリヌス・レジセルムスの解釈

          *Vaticinium Severi, et Leonis imperatorum, in quo videtur finis turcarum in praesenti eorum Imperatore, una cum alijs nonnullis in hac re Vaticinijs. Brescia 1596. [序] 偉大なる皇帝たちにかかわるビザンツ(コンスタンティノポリス)およびアガレニコの皇帝賢者レオの預言。スイダによればこれらの預言あるいはヴェティチニ

        最終皇帝伝説――レオの預言 4

          最終皇帝伝説――レオの預言 2

          [羅版] 悔悛  第三は曖昧であるが、それは鳥のようなもの。 十字の鳥、角のある馬。 二つの名を結び、その文字の数価を算えると、時の数として善い日が示される。 その中央に十字架の形が堂々と占めて。最大の鳥にして唯一の王。南に始まり、 中央(馬)に已む、日の輝きの中で、 南の極が明けの明星によって占められるとき。 獰猛で大胆で毛深く。はじめとおわりの統一(端緒には一性と目的とがある)。 碑銘図Ⅱ。 [A] 二重、三重(二図および三図?)。馬に乗る鳥は十字の(を運ぶ)鳥であり、

          最終皇帝伝説――レオの預言 2

          過去・現在・未来を占う――アルテフィウスの業

          デラッテ『ギリシャの鏡占い(カトプトロマンティア)』から A. Delatte, La Catoptromancie Greque et ses Derives, 1932 中世およびルネサンス期の文書群には不可解な人物が召喚されることになる。その人物は時にアルテシウスArtesiusと、時にアルテフィウスArtefius (Artephius) (18-1)と名指される。彼の生涯はものがたりとしてしか知られていないが、どうやら錬金術と魔術に耽ったものとみえる(2)。アルテ

          過去・現在・未来を占う――アルテフィウスの業

          最終皇帝伝説ーーレオの預言 1

          [羅版] 和解し難い欺瞞を内に秘めて。 犬が子犬たちを善意を込めて育てるように。 それは甘やかにたちまちその中に注がれ、たちまち時がそれを呑み込むだろう。蛇はすぐにそれらをすべて貪り尽くす。 汝は悲惨を称賛してこれを歓び、手を広げ、つま先を丸める。まるで汝自身の呵責を逃れようとするかのように。 しかし主は汝の偽善を暴露するだろう。恥知らずな犬よ、汝にいかなる善行ができるか。汝は異邦の苦難に執着する。どうして汝に民の幸福をもたらすことができるだろう。汝は二羽の鳥に向かって大きく

          最終皇帝伝説ーーレオの預言 1

          最終皇帝伝説――レオの預言 総序

          預言書 [コンスタンティノープルの復興に関する予言] I. イシュマエル族は七つの丘の都市の近くに上と下に建物を建てる。七つの丘の都市よ、災いあれ。彼はあなたの破滅を告げる。あなたはハガル人によって包囲され略奪される。彼 [すなわちイシュマエル] は多くの領土を転覆させ、多くの都市が破壊される。イシュマエルは多くの島々を逃げさせ、それらは彼の手に渡される。海の支配者たちは恐れ、島々の住民は皆大いに嘆き悲しむ。キプロスよ、災いあれ。霜が降りるとイシュマエルはあなたを捕らえる。

          最終皇帝伝説――レオの預言 総序

          呪文の効果について

          ピエトロ・ダーバノ『調停者』156訳 Pietro D'Abano, Conciliator differentia 156 妖術(呪文)は治癒するか § 1. 妖術(呪文)は治癒しないことは証明されている。オヴィディウスは『愛の妙薬』で「妖術(呪文)が汝のこころの心配事を遠ざけることはない」と書き、ガレノスが『薬草論』VIで草に召喚詞を唱える妖術(呪文)について論じる医師たちのあげ足を取っている通り。 § 2. さらに〔アリストテレスは〕『解釈論』において、(I) 一つ

          呪文の効果について

          幻惑について――ブルーノ・ナルディ

          『古代および中世哲学における主と客(主題=意識と対象=もの)』 Soggetto e oggetto del conoscere nella filosofia antica e medioevale di Bruno Nardi, 1951 rev.1952 第九回・デカルトの〈悪意・邪霊malin genie〉と近代哲学の諸源泉 1 いずれにしても、人文主義(ウマニスム)的な思惟のうちによりも、オッカムの思惟とマギステル・オートルクールのニコラウスの批判のうちに、近代

          幻惑について――ブルーノ・ナルディ

          謎の中世預言書『ホロスコープの書』第三十預言とその註釈

          (30a) Horoscopus [B;46r, R;100v] (1) AD FINEM TENDIT BESTIA FINITIVA. ECCE ERGO, SCALA FERVENS AD DESCENDENDUM, NON AD ASCENDENDUM PARATA. UNDE RUINOSE DESCENDET HOROSCOPUM SATURNINUM IN EIUSQUE ACERBO DESCENSU CADET AD INFIMA, ET FIMUS AS

          謎の中世預言書『ホロスコープの書』第三十預言とその註釈

          『星学鑑(スぺクルム・アストロノミアエ)』 3

          第十二章 とはいえすでに述べたように、上掲した諸著の多くはわたしの友人たちによってすら告発されてきたものだが、無辜であり、哲学者が言うようにわれわれはその真実について讃えるべきである。これらをわたしが擁護しようとしてなにごとかを言うにせよ、わたしはその規定性(定められた運命)を肯定しようとしているのではない。かえってわたしはそこに下される結論(定められた運命)に注意を払う決定論者の憤激を買うかもしれない。 そこでまず、季節の変化にかかわる周転の章に戻ってみることにしよう。こ

          『星学鑑(スぺクルム・アストロノミアエ)』 3

          『星学鑑(スぺクルム・アストロノミアエ)』 2

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          『星学鑑(スぺクルム・アストロノミアエ)』 2

          『星学鑑(スぺクルム・アストロノミアエ)』1

          序 知識の諸本質が欠如することで、真の叡知つまりこの世を創りたまうた父の像であるわれらが主イエス・キリストとその叡知に敵するものとなったある種の書物について、普遍的なキリスト教(カトリック)信仰を愛する者たちから正しくも疑念が寄せられてきた。しかし偉大な人々から告発された無辜なる書物というものも存する。先に述べたように降霊術(ネグロマンツィア)であるにもかかわらず星学(アストロノミアエ)にかかわるものであると嘯く数多の書物があり、これらのせいでこの主題を論じた高貴な書物が善良

          『星学鑑(スぺクルム・アストロノミアエ)』1

          ソーンダイク『占星術鑑(スぺクルム・アストロノミアエ)』の来歴

          付録I 『星学(占星術)鑑』写本群(略) 付録II バビロニアのゲルマスGermath、ゲルギスGergis、ギルギスGirgith ゲルマ、グレマ、あるいはバビロニアのゲルマスについて他に言及されている文書は私見の限りチェッコ・ダスコリの『アルカビティスの諸原理について註解』(ed. Boffito, p.19[1])にだけ見つかるもの。そこではアントラクス石[2]が水を湧出させつづけること、また欠損分の水を引き寄せることについて、「アラビア王エヴァクスとギリシャのゾト

          ソーンダイク『占星術鑑(スぺクルム・アストロノミアエ)』の来歴

          ソーンダイク『占星術鑑(スぺクルム・アストロノミアエ)』の来歴 7

          〔『鑑』は1277年以前に著された〕しかしアルベルトゥスが『鑑』の著者であるとするなら、ここまでに証したところからこの書が1277年以前に書かれたということに対する深刻な反駁が生じる。『鑑』の著者はアリストテレスの『形而上学』第十二、十三巻(つまり現行の十三、十四巻)が「いまだ翻訳されていない」と記している[1]。しかしアルベルトゥスはこれらの巻を入手し、自らの『形而上学註解』でパラフレーズしてみせている。これはマンドネ[2]自身がいたるところで論じてみせているように、125

          ソーンダイク『占星術鑑(スぺクルム・アストロノミアエ)』の来歴 7