好きの2文字も言えないくせに
ここ一年くらいで詠んだ短歌を記録代わりにまとめて載せておきます。
気に食わないなってものもあれば、これはすごく好きだと自分で思えるものもあります。短歌、だけは、やめたくないな。
(※幸せでも明るい短歌詠めないので基本的に悲しいものばかりです)
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私たちこれでよかったこの先はこれでよかったと思いたいね
特別になりたいなんて思わない理由が欲しいだけだったんだ
25の大人が声を出して泣く、「君がいない」とひたすら泣いてる
満月を「おいしそう」だと言う君に「丸いからね」と私は返す
この先の話をすれば君は言う「いなくなることなんてないのに」
わかってない。君ってほんとわからずや。そういうとこがよく似ていたね
もう2度と、君と会えないなんてのはたぶん君なりのサプライズだ
丁寧に文字を書く人だったよね。祈りをこめるような手つきで
わからないことだらけだよ。いつの日か答え合わせをしたい、なんてね。
明日には納得させて。今日はもう君の隣を諦めるから
「ひとりにはさせないから」と決めた日にはじめて君の泣き顔を見た
気休めのまたねなんかはもうなくてそれじゃあねって背を向けられた
夢ならばよかったのになと何度も思って朝を迎えているよ
太陽は汚れきってる私さえ照らしてるから胸が痛んだ
「あの頃はよかった」なんてことばかり言う大人にはなりたくないし
雪溶けを待っていた君の目が見る先のことまで見ていたのなら
この夜にひとりぽつんと私だけ取り残されることを恐れた
君なりの精一杯を少しだけ憎んでしまうことを許して
春という暴力的な温もりがさよならさえも言えなくさせる
傷つけて傷つけられて「それでも」と思えた人は君だけだった
寂しそうな君の顔を夕焼けが隠してしまう前に泣いてよ
君の傷には気づきたくなかったの私に嘘を見抜かせないで
プリンのスみたいな穴があいている君の心に何が足りない
その声は新芽を千切るようにして愛を拒んで震えていたね
俯いてごめんねと言う唇の動きは違う事を言いたげ
言えないと思うことだけ増えていくけどそこにだけ真実がある
優しさも正しさだって伝えたいとか思うからエゴになるんだ
出会わなきゃよかったなんて思うほど君を知れたということでしょう
「大丈夫」を信じている君のその無邪気さを好きになったはずなのに
コーヒーに溶けるミルクが君に愛をせがんでいる私みたいだ
そんなにも呑気な顔でさよならを言われるなんて思ってなかった
「変わるから」と言った君に「そうじゃない」と言う私が居てや(嫌)になるよ
変わること変わらずにあることぜんぶ、間違いだって愛してたいよ
私たち"2人"になれずいたことを互いのせいにしているばかり
知らんぷりが上手くなったね見ないふりするならもっと上手くやってね
足元で雨の音だけ響いてる 私の泣き声よりも立派に
底知れぬ絶望よりも約束をされた幸福が恐ろしかった
くだらないことだと笑う君に似た花の名前を教えてあげる
きらきらと澄んだ秘密をはんぶんこしている夢をずっと見ていた
言葉にもなれず行き場をなくしてるポケットに棲む醜い本音
この心、魅力的だと言ったのは私を望んだあなたじゃないか
「少しだけ」泣き声で言う君の傷口塞ぐキスをできない
泡沫の夏に知った絶望が宝石みたいにきらきらしてる
常識も嘘も本音も今だけはなんでもいいよもうどうだって
水中でいのちを背負って歩いてるあなたが見えて駆け寄っていく
幸せを願えるわけない大丈夫なわけがないよ知ってるくせに
リンスとかトリートメントとかそんな違いだけだったあの子と私
権利でも義務でもなくて私たち繋いでるのは愛だと教えて
努力も我慢するのもわかってよもうわからないとか言わないで
盲目に愛をせがんでいるわたしが惨めになるのは知ってるよ
不安しかないような恋だったのにうんざりするよまだ好きらしい
飴玉を舌で転がすようにしてあなたをこの手で踊らせたい
熟してる真っ赤な果実を摘む手に同情じゃない愛があればな
食パンの耳をちぎって食べている心地良さだけ避けるみたいに
家出した愛が路頭に迷うこと知ってたみたいな月明かりがある
点だけを置き去りにして線を引くこと避けていた臆病な君
しゃがみこむ君の背中に癒えることない傷口が透けて見えてる
咎めたら小さくなって行き先を無くしてしまった命が泣いてる
その声に宿るものだけ知りたくて使い古した言葉で縋る
悲しみの先にあるもの諭すより痛みに耳を澄ませてほしい
口を開け俯瞰してきた青春をうんざりするほど追いかけている
沈黙を破らぬように目を閉じて砂糖を降らせ愛をかためる
髪の毛の絡まりを解く指先にぬるま湯みたいな同情がある
あどけなく笑うあなたに約束をするのは無粋だと思うから
だれひとり脅かせないいのちにも溢れ出すほど欲求がある
ひとりきりでいることには慣れている君を忘れていくのも分かる
ためらいを捨てたつもりでいたらしい 好きの2文字も言えないくせに
冷めきったスープに落ちた記憶たち飲み干すことはできないらしい
食パンの耳をちぎって食べている心地良さだけ避けるみたいに
泡沫の夏に知った絶望が宝石みたいにきらきらしてる
曖昧を賢く使う君の声誠実さとは対極だった
爪を立て夜を裂く君はどこまでも正しさ嫌う私に似ている
体内を蝕んでいく思い出を埋葬しながら泣いている君
幸せを嫌がるように春風を遮る窓に守られている
全てだと形容できた出会いさえ大人になって忘れてしまう
ありがとうとかごめんねも名ばかりで意味をなくしたことも忘れる
吸い殻を踏み潰してる君の手は誰かを待っているみたいだね
隙のない女は好かれないなんていったい誰が言ったんだろう
目鼻口に触れていたってなつきそうにはないみたい君の心は
欲しいものは「あと少し」と思うのにいつも絶対届かないまま
安っぽい食パンの耳をちぎってラスクにすれば上等になる
出会いには意味があるなら間違った出会いであっても正しいはずでしょ
蚊帳の外を自ら選び寂しくて泣いてるなんてどうかしている
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