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ずぼら堂

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そうそう、ずぼら。ああ、ずぼら。 わかっちゃいるけどまた、ずぼら。 日常にぼらんと現れるずぼら体。そんなずぼら体を集めたずぼら堂。 どのくらいかといえば、◯◯なくらい。 主に自嘲…
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ちょっとし短歌【揚げ物の】

ちょっとし短歌【揚げ物の】

揚げ物の
出来が重さで
測れると
知った四十路の
成長記録

今回のちょっとし短歌は以下文章のタイトルにもなりそうです。
ーそれでは、どうぞっ。

(登場人物、あ、人間は私のみ。あとは白身魚フライ、とキツネとタヌキ。)

揚げ物の出来が重さで測れると知った四十路の成長記録テレビでひとつ星シェフがリポーターに聞かれていたのを思い出した。

ー揚がり具合はどう判断してますか?
ー箸で持った時の、重さで

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ずぼら堂_ずぼら体No.13

ずぼら堂_ずぼら体No.13

どれくらいかといえば、荒々しい台所仕事のせいで急須の蓋を割ってしまうことを恐れ、新しい急須を買うことをもう1年余り躊躇っているくらいだ。

今、我が家には急須がない。
先代の急須は二代続けて私に蓋を割られてしまっている。
一代目は頂き物のmono comme caのティーポット、二代目はHARIOのガラスの急須だ。
考えてみれば、割と丈夫な仕様のmono comme caの蓋を割ってしまった私が二

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ずぼら堂_ずぼら体No.12

ずぼら堂_ずぼら体No.12

どれくらいかって言うと、物体が持つ形状の価値を見出し自身のものぐささを正当化してしまうくらいさ。

つまり、こーゆーこと。

テレビ台の綿棒と養生テープ。

玄関の防水スプレーとガムテープ。

それはこーゆーことなのです。

ズボラの方々よ、気をつけて!

私×蝉×ルンバ(兼 ずぼら堂_ずぼら体No.11)

朝から暑い。

開けても風は入らないが、なんとなく窓辺に立ち外を見る。

ズボンの裾が足にまとわりつくのが苦手な私は、すでにショートなショートパンツの裾を両手で持ち上げる。裾をヒラヒラさせていると後方からルンバがこちらに向かってくる。
動作音が妙に耳につき調子悪いか?と振り返ったら、違う。外で忙しなく鳴く蝉の声だった。

蝉さん、朝から忙しいですよねー。
わたしは部屋の掃除で忙しいですよー。

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チンゲン菜と2019年(ずぼら堂_ずぼら体No.10)

~沸騰したら茎の部分を入れます。そのあと、葉の部分入れましょう。~

レシピ本でよくみるフレーズ。

サクッサクッと包丁を平行に移動させながら3センチ強の幅でチンゲン菜を切ってゆく。

茎、茎、茎、茎と葉、、葉、葉。

チンゲン菜というのは茎と葉がグレーな野菜だなと毎度思う。
しかしズボラな私はグレーを躊躇せず黒や白に塗り替えるので、それを間髪入れず茎と判断する。
“はい君は茎としていってらっしゃ

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ずぼら堂_ずぼら体No.9

ある日曜日のおはなし。
シャンプーとリンスが同時に無くなった日曜日でした。
シャンプーとリンスを同時に買ったつもりがリンスとリンスを買ってしまった日曜日でした。
致命的でないが俄に生じた凡ミスがチクチクリと胸をしめつける日曜日でした。
チッと舌打ちをして収納棚にギュッーとそれを押し込みリンスの在庫を+1かかえた日、母からメールが届きました。
『おたんじょうびおめでとう。
あんたが生まれた日も日曜日

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ずぼら堂_ずぼら体No.8

しっかりとハンドクリームでケアしたあとキッチンに少々しぶとい汚れがついた食器が残っているのを見つけてしまったとき、あぁどうして先に気づけなかったんだと落胆する。─きちんと洗い物を終わらせておけば。これはズボラ人特有のズボラ人であるがゆえに招かれる不運であるが、どうして見つけてしまったんだバカバカッと自分自身を明るく責めたて洗い物を次回へ繰り越すことができるのは、ズボラ人だからこそ見出だせる楽観的打

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ずぼら堂_ずぼら体No.7

それがどれくらいかといえば、スパゲッティをゆとりの無いお鍋で巧みに茹で上げてしまうくらいのものです。

“巧みに”というところが肝で、10年以上家事をこなしてきた経験則により、ゆとりのないお鍋を使用したとしても美味しいスパゲッティを提供できてしまうのであります。

グツグツと沸騰する大きいお鍋にハラリとスパゲッティを放り込み、踊るように茹でてやれば、余裕を孕んだ美味しさに出来上がることは簡単に想像

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ずぼら堂_ずぼら体No.6

カルピスの5倍希釈用原液を計量カップにそそぐイメージで計測しちゃうくらいだ。

たとえ計量カップが手を伸ばすその先にあっても、だ。

1 、、、と、1、2、3、4、5。

プハッと飲み干すこどもたちの顔色に変化は無いかと確認し、よし今日も5倍成功とガッツポーズを掲げる。

この勘が鈍ることが無いようにと
今日も計量カップを見ては見ぬふりをするのです。

ずぼら堂_ずぼら体No.5

ずぼら堂_ずぼら体No.5

“コツのいらない天ぷら粉”、こいつコツがいるな。

とまぁ、食文化の利器に不満をもらすくらいさ。

ずぼら堂_ずぼら体No.4

ずぼら堂_ずぼら体No.4

どれくらいかといえば、食パンの袋を開け食パンを取り出し食パンの袋を閉じようとすると食パンの袋を留めるアレが99%の確率で見つからない、くらいだ。
いつも置いてしまいそうなところを見渡すも見つからず『またか』と馴れた手つきで袋をぎゅっと結ぶ無念さ。

日常の何かしらを端折っちゃって自分はなんとせっかちな人間なんだと思うことがある。が、先へ先へと急いでいるのかと聞かれたらそうではなく、そんな瞬間を堪能している気さえするこの体。おそらく『ずぼら』なんだろう。ものぐさな記録をマガジンにまとめてみました。マガジン『ずぼら堂』開放中。

ずぼら堂_ずぼら体No.3

どのくらいかといえばフットカバーが踵からはずれているにも関わらず意気揚々と闊歩できちゃうくらいだ。かろうじでつま先に引っかかるそれを土踏まずの下に感じながらコツコツとヒールを鳴らし爽快な笑顔をふりまく朝の背徳感。

ずぼら堂_ずぼら体No.2

どのくらいかといえばバリスタがコーヒーを落とし終えるあとちょっとが待てなくて途中でカップを抜いちゃうくらいだ。ポタポタと落ちる黒い滴が受け皿に溜まる憂鬱を感じながら溜め息が出そうになるもすかさず唇を尖らしふーふーとコーヒーを冷ましてみる。