私×蝉×ルンバ(兼 ずぼら堂_ずぼら体No.11)
朝から暑い。
開けても風は入らないが、なんとなく窓辺に立ち外を見る。
ズボンの裾が足にまとわりつくのが苦手な私は、すでにショートなショートパンツの裾を両手で持ち上げる。裾をヒラヒラさせていると後方からルンバがこちらに向かってくる。
動作音が妙に耳につき調子悪いか?と振り返ったら、違う。外で忙しなく鳴く蝉の声だった。
蝉さん、朝から忙しいですよねー。
わたしは部屋の掃除で忙しいですよー。
“部屋ヲ綺麗ニシテイルノハ、ルンバじゃミ?”
私の忙しさに共感などすることなくミンミンひしめいている。
わたし、たまった洗濯物を洗わなきゃいけなくて。
あと、食器を洗わなきゃいけなくてさ。
“ミンミンミンミンミンミン?”
はいはいわかっています。
回るのは洗濯機だし、
泡立つのは食洗機ということですね。
“ミンミンミンミンミンミン”
ミンミンミン、ミンミン、ミンミンミン、
蝉の声が大きくなったよう。
ードゴッッ。
ルンバだった。
“立ってるだけだならどいてくれンバ。”
ルンバは私の踵に2、3度ぶつかったあと、器用に方向を変え、再び前へと進んでいった。