チンゲン菜と2019年(ずぼら堂_ずぼら体No.10)
~沸騰したら茎の部分を入れます。そのあと、葉の部分入れましょう。~
レシピ本でよくみるフレーズ。
サクッサクッと包丁を平行に移動させながら3センチ強の幅でチンゲン菜を切ってゆく。
茎、茎、茎、茎と葉、、葉、葉。
チンゲン菜というのは茎と葉がグレーな野菜だなと毎度思う。
しかしズボラな私はグレーを躊躇せず黒や白に塗り替えるので、それを間髪入れず茎と判断する。
“はい君は茎としていってらっしゃい”と沸き立つお鍋に放り込む。
きっと茎であっても、葉であっても、先に放り込まれようと、後に茹でられようと、茎と葉が混在した3センチの部分は柔軟に調理されていくんだろうからと前向きにとらえる。
君はなんともオールアラウンドだな。そんなことを思いながら、数秒後に葉の部分を追加投入してみるが、この数秒差による完成度の違いを感じることができないのは私がグレーから黒と白を繊細に抽出できないことに起因しているのだと思う。
2019年になりハッピーニューイヤーと声をあげて進み始めた本日まで15日間、2018年となにか変わったのか?と問いかける。
2018年から引き続く偏頭痛とか、毛玉を取り忘れているセーターとか、今年もショートヘアで過ごしたいなって願望とか、今年こそ白湯を飲み続けるぞって目標とか。
いまは過去に置いていくべきものをまだ背負っちゃってるかもしれない。
明るい未来につながるきっかけがじわりと産まれ始めているかもしれない。
私はいまこのチンゲン菜のように切り分けられないグレーな部分にいるのかもしれないな。
どっちつかずであるがどっちにでもなれる。これから丁寧に白と黒を判別しできるだけスマートな体と心で新しい年を過ごしたい。
ボコボコと吹き零れそうなお鍋の中で、チンゲン菜の茎と葉が混ざりあってくるくると回っている。
黒でも白でもグレーでもない、きれいな白と緑だ。
そう呟きながら透き通るお湯の中からチンゲン菜を丁寧に掬い上げた。