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コーヒーブレイクは何のため? 北欧の「フィーカ」に学ぶ休憩の仕方
「この2か月で頻度が増えたことって何ですかね?」
こんな会話をよくします。コロナ禍の影響で生活が変わっているので、増えたこと、逆に減ったことは多々あります。私は増えたことで言えば一番の変化は「コーヒーを飲む頻度」かもしれません。
以前もコーヒーは好きでしたが、在宅のテレワーク下ではストレスも多く、リラックスするために一日に何杯も飲むようになりました。そして、仕事中に一人で飲むことも多いのですが、家族と一緒に飲む機会が増えました。そこでは他愛のない会話があります。
この「コーヒーを囲む時間」について考えたいと思います。
スウェーデンの生活様式「フィーカ」
先日、幸福度ランキングで常に上位に位置するデンマークの「ヒュッゲ」という生活様式について触れました。ヒュッゲには日本人の我々も参考にすべき点がたくさんあります。
ヒュッゲには「家族友人との時間を楽しむ」という価値観があります。この価値観に通じる習慣として、今回はスウェーデンの「フィーカ(Fika)」という習慣についてみてみたいと思います。
「フィーカ」とは甘いものと一緒にコーヒーを飲む小休憩のこと。言い換えれば「お茶をする」という感覚です。北欧で大切にされている生活習慣です。スウェーデン人は頻繁に「フィーカしよう」と言うそうです。北欧の方々は日常生活の中で、職場の同僚、恋人、家族と「フィーカ」を毎日頻度高く楽しんでいます。お菓子をつまみ、コーヒーを飲みながら談笑する生活習慣が、この国のスローライフのベースにあります。
既にステイホームを経験している我々日本においても、私のように自宅でコーヒーを飲む機会が増えている人も多いのではないでしょうか。お菓子をつまみながら家族との時間を楽しむ「フィーカ」が、ウィズアフターコロナにおいては日本でも広がっているのではないかと思います。人とのつながりの中で、コーヒーやお菓子は「お腹を満たす」価値以上に、「コミュニケーション」としての価値があるように思います。
北欧の「フィーカ」は職場にも根付いています。多くの企業で、毎日10時と15時にフィーカの時間が設けられていて、15分くらいのコーヒー休憩があるそうです。一度業務を中断して、雑談をするとのこと。
こうしたコミュニケーションは人間関係の潤滑油になります。「孤独」が不安視されるテレワーク環境下では特にこの「ちょっと人と会話する」という時間はリフレッシュする絶好の機会にもなります。
また、このフィーカという休憩は「仕事の手を止める」ということが暗黙のルールになっているそうで、一旦「オフ」の状態になるということ。フィーカ中に仕事を続けていると「なにやっているの!ちゃんと休まないと!」と叱られることもあるそうです。15分程度休憩して、再び「オン」になる。このスイッチの切り替えは集中力を一日を通して高く維持するのにも有効そうですね。
日本における「フィーカ」の在り方
日本でフィーカという言葉が定着するかはわかりませんが、「カジュアルに会話する小休憩」の価値は高まっていくと思います。
以前は日本の企業においては「仕事終わりに飲みに行く」というのがフィーカ的な役割を担っていたのだと思います。スウェーデンでは夜の飲み会はお金もかかるし、家庭の事情もバラバラなので、難しさを感じる人が多いようです。またスウェーデン人は家族との時間を大切にするという意識も強いです。それゆえ「業務時間内のコーヒー休憩」でコミュニケーションを図っているようです。
一方で今の日本は実はスウェーデンと似たような環境にシフトしてきています。コロナの影響で、生活時間は家のウェイトが上がり、家族の大切さを認識している人も多いです。テレワークが基本となると職場に行かないため、「帰り道に飲みに」というのはもはやスタンダードではなくなっています。そうなると、以前と同じように円滑にコミュニケーションをするには、オンタイムでの会話の時間を確保する必要があります。
Zoom飲み会というのもありますが、実施された方はわかると思いますが、「コレ、終わり方が分からない…」と感じたことがあるのではないでしょうか。時間を決めてもズルズル話していることもあり、個人的には苦手です。その点オンタイムのフィーカ的休憩は15分など、区切りもありスパッと終われます。
つまり、意図的にフィーカ的な時間をスケジュールに入れて、会話量を確保していくことが日本でも必要になってきているのではないでしょうか。
まとめ
コーヒーブレイクという言葉は昔から日本でも定着していますし、休憩時間にコーヒーやお菓子を食べる習慣の人は多いと思います。そこにさらに価値が乗ってくるものは「コミュニケーションとしての会話」です。
テレワークがスタンダードになっていくこれからの働き方では「意図的」に雑談をする時間を持つことが大切です。予定表に午前と午後に休憩タイムを入れて計画的にしっかり休む。職場のチームメンバーと実施するのが良いですね。参加必須にせずに任意で招集をしておけば、気軽にメンバーが集まれます。こうした「居場所」があるだけで、心の安定を得られ、メンバーのストレス軽減にも寄与します。
会話はインプットとアウトプットを同時に行うということ。何らかのニュースを伝え、またキャッチし、情報という血流をサラサラに流す感覚があります。ずっと一人で会話をしない毎日は血液ドロドロ状態で不健康な状態と言えるでしょう。
テレワーク下で、オンラインミーティングの環境は急速に整ってきています。しかし、ただ「ミーティング」をする毎日では、血液ドロドロ状態になりかねません。
北欧のフィーカに学び、仕事もプライベートも、人とカジュアルに接することで情報の血液をサラサラにし、健康的に暮らしたいですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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