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なぜ忙しさから抜け出せないのか? スローライフの意味を考える

「ずっとバタバタ忙しいけど、いつ落ち着くのかな…」

平日によくこんな気持ちになります。毎日仕事に追われて疲れが溜まっている人、多いと思います。やる事が山積みでなかなか気が休まらない。

先日ある調査で「コロナの前と後で理想の暮らし方にスローライフを挙げる人が増えている」という結果を知りました。なるほど、うなづけます。

では、どうすれば忙しさから解放されるのか。このイマイチ掴みきれないスローライフという言葉について考えてみます。

スローライフとは?

スローライフという言葉は2000年を超えたあたりから使われ始めた言葉です。「スローライフ」や「スローフード」など、スローという言葉を耳にする機会は増えました。

ちなみに先日知ったのですが、この言葉は海外の方には通じません。海外では「スローリビング」と言うそうです。リビングは「暮らす」という意味。日本でスローリビングと言うと、家のリビング(居間)を連想させるので、和製英語としてスローライフという造語が生まれたそうです。

辞書によるとこんな説明があります。

【スローライフ】
効率やスピードを重視するのではなく、のんびりと過ごしながら、人生を楽しみ、生活の質を高めようとすること。スローフードから派生した和製語。

この言葉を聞いて、どんな暮らしのイメージが浮かぶでしょうか。田舎のおじいちゃんおばあちゃんみたいな暮らし。もしくは、都市から離れた郊外の住宅で、庭の椅子で膝に犬を乗せてのんびりと本を読んでいるようなイメージでしょうか。

私はこの言葉を聞くといつも「老後など、いつかするかもしれない暮らし方」という印象を受けていました。「今の自分じゃない」感を常に感じていました。しかし、その感覚が変わる体験をしてから、言葉の意味が変わりました。

コーヒーに学ぶ8時間の価値

コロナの影響で家でコーヒーを飲む頻度が増えました。そのため買ったものがあります。それが「水出しコーヒー用ボトル」。

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これからの季節、アイスコーヒーを飲む頻度が増えそうだと思い、購入しました。作り方はレギュラーコーヒーの豆を筒状の容器に入れ、それを水を入れたボトルにセットし、冷蔵庫に入れて8時間かけて抽出する。放っておくと出来上がるので簡単です。

これを使い始めて気づいたのは「すぐに飲めない」というのと。完成するまで8時間かかります。これまでのコーヒーは飲みたい時に淹れて飲むものでした。

コーヒーに限らず、今の暮らしはさまざまなものが欲しい時にすぐに手に入る世の中だと思います。あらゆるエンタメは観たい時に観れ、食事は食べたい時に食べられる。

「8時間後にしか飲めないコーヒー」は自分にとって初めは違和感でした。しかし、ある時バタバタとコーヒーを仕込んでいる時。「そんなに急いでどーすんの?」とコーヒーに言われている気がしました。

その時、少し体のチカラが抜けるのを感じました。仕事は常にクイックレスポンスを求められ、十分な時間がないまま意思決定を求められます。そんなジャストインタイムの生活から距離を置く事の大切さを「8時間後に飲むコーヒー」は教えてくれた気がします。

スローライフの本当の意味

ここで改めてスローライフという言葉を考えてみます。野球にヒントがあるのではと思いました。チェンジアップという投げ方があります。スピードボールに慣れた所に、落差のある「遅く見える」ボールが来ることで、タイミングが合わず空振りする。

ここのポイントは緩急であり落差。スローボールばかり投げているとただの遅いボールで簡単に打たれてしまいます。スピードの中のスロー、という緩急や落差が価値を生んでいます。

スローライフもそうなのではないかと思います。ただ、のんびり暮らすのではなく、忙しい生活の中であえてゆっくり緩急の落差をつけることでスローが価値に変わるのではないかと思います。

つまり、速いところでは速く、ゆっくりする所でゆっくりする。この「メリハリ」こそがスローライフの真の価値なのではないかと思います。

スローライフという言葉は忙しい生活をしている人こそ価値を感じられる言葉。そして、スローライフは老後にいつかやってくるのんびりした暮らしのことではなく、慌ただしい生活をおくる我々の日常の中で、「あえてゆっくりとした時間を持つ」という意識のことを指すのではないでしょうか。

まとめ

意図的に時間を遅め、意図的に時間をかける。自分の時間を作り、それを楽しむ事。スローライフとはこうした考え方や態度のことを指す言葉なのではないかと思います。

さらに言えば、スローライフではなくスロータイムの方がしっくり来るかもしれません。

今の世の中、生活のあらゆる事がスピード重視になってきています。結果、忙しい時間が暮らしのほとんどを埋め尽くしています。忙しいは「心」を「亡くす」と書きます。スピード重視の思考を持ち続けている以上、忙しさからは解放されず、心は亡くしっぱなしです。

大量生産、大量消費の「便利で高速」がデフォルトの現代において、「不便で遅い」ことをあえて生活に取り入れてみることは、心身を整える意味でも価値のあることだと思います。

改めて自分にとっての「スロー」の意味を考えてみてはいかがでしょうか。8時間かけて飲むコーヒーはいつものコーヒーよりきっと美味しく感じられると思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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やわらかメガネりょう
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