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#エッセイ集

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趣味や興味のあることと、自分との間に発生する大切なもの。それを言葉にしたエッセイ集。
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#自然

らせん状に流れる日々。

らせん状に流れる日々。

生活サイクルを丁寧に回せば人は「成長」する、というのはどうやら本当の話らしい。しかも年齢は問わない。ただ、そのサイクルを回すにあたっては自分の感覚を信頼してやる必要がある。

2年ほど前から趣味で筋トレを継続している。ジムでの筋トレ愛好家との話題はもっぱら「負荷」についてだ。どのような種目を、何セットぐらい、どんな順番でメニューを組むのが筋肉の発達にとって最適かといった話題が大半だ。効果的な負荷の

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「自然」遊びが楽しいのは

「自然」遊びが楽しいのは

これは大変なことになった。真夜中のテントの中、「大雨」という言葉ではとても収めきれない強烈な風雨にさらされた。このまま一晩越せるかなと不安になりながら、昼間の「自然」遊びの疲れから、だんだんと意識が遠のいていく。隣にいる娘は既に深い眠りに落ちているようだ。

先月、和歌山の有田川町へキャンプに行った。目の前に広がる棚田の風景、周りの山々の深い緑にそのまま溶け込むように輝く巨大ダムの水面の色、収穫の

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「ここ」にあるよ

「ここ」にあるよ

「それ、ここにあるよ」って、足元のカタツムリが教えてくれた。

緑、茶色、黒、橙、茶色、朱色、黄色、黄緑といった豊かなグラデーションに彩られた一枚の落ち葉にカタツムリがぴたりと寄り添う。それは、まるで「ここ」にある足元の多様性と美しさのありかをぼくに指し示すように。

今朝、小学生の娘と2人で家の近所を自転車で「散歩」した。娘とのルールはただ一つ、「今まで通ったことのない、知らない道だけを走ること

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日本酒の燗酒を好んで飲む理由。

日本酒の燗酒を好んで飲む理由。

日本酒の味わいは繊細なもので、酒器や温度を変えたり、酒器に注いだ後の空気に触れる時間や、保管中の瓶の中での時間経過、合わせる食事の内容によって大きく変化します。

お酒の味が物理的に変化するというよりは(そういう側面もありますが)、むしろ飲む人の感じ方が大きく変わります。

最近は、燗付け(日本酒を温めること)にハマッていて、最初に冷やした状態でワイングラスで飲んだ後、次は燗付けにしてその味わいの

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自然の中で過ごした感覚が今の自分を支えている。

自然の中で過ごした感覚が今の自分を支えている。

関西のど田舎で生まれ育ち、その自然の原風景こそぼくが日本酒を愛する理由の一つだ、と最近記事に書きました。

歳を重ねる度に感じることがあります。

それは、自然というものが、どれほど深く自分の中に埋め込まれているかということ。

そして、

自然に囲まれて生まれ育ち、自然の中でめいっぱい遊んだという経験と記憶が、今のぼくをどれほど肯定してくれているかということ、です。

◇◇◇

・物事が

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日本酒を好きな理由。

日本酒を好きな理由。

どうしてこんなに日本酒が好きなんだろう?って、ここ数ヶ月は特に日本酒にハマッていることから時折考えてしまいます。

こういうのって「好きなものは理由なく好き」というシンプルな世界なのでそれで十分かも知れないんですが、ここまで惹かれるのには何か背景があるんだろうという感覚もあって。

今日は、そんな日本酒を愛する理由を思いつくままに書いてみます。

1.原風景との合致ぼくは関西の、「ど」がつく田舎で

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それは喪失ではなく永遠なんだと思います。

それは喪失ではなく永遠なんだと思います。

ぼくが子供時代を過ごした関西の田舎。最近、日本酒を口にして「自然」を感じるとき、頭に浮かぶのはほぼ毎回その田舎の風景。

ぼくが家族で住んでいた家は今は無く、そこには別の人が別の家を建てて住んでいます。周りの家や住んでる人はぼくの子供時代のまま。風景も同じ。田んぼと畑が広がって、雄大な山々に囲まれて。

大学に入るまでそこに住んでました。

ぼくが社会人になった頃、両親はもう少し便利な場所へという

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書くことは自分を大切にすること。言葉を探すことに意味がある。

昨日、久々にまとまった量の文章を書いて思いました。

やはり、文章というものは自分に向けて書いてるんだってこと。

小学生の時、何気なく書いた作文やその題名を先生に幾度か褒められて以来、書くことが好き。

ぴったりの言葉を探すという作業がまず好きだし、その後の推敲作業もリアルな手触り感が好き。

言葉を探すことそれ自体に意味がある書くという行為は、その時の「自分」をある枠組みで切り取って記

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