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わたしの本棚に入る前の本〈5〉

 この秋も相変わらず、積読、そして心の中の積読(本棚に入る前の本)が減る気配がちっともありません。
 とても嬉しいことなので、直近で気になっている本の一部を順不同で挙げてみました。いつか本棚に入るその日を楽しみに待ちつつ。

 前回の本棚に入る前の本まとめはこちら👇

※以下、あらすじ・概要(青い四角内)は各本の最後にリンクを貼ったAmazon紹介ページより引用しています。


物語要素事典

神山重彦 著/国書刊行会

古今東西の文学、映画、演劇、落語、昔話、歌舞伎、神話、マンガ、都市伝説――
あらゆる物語の核心を縦横無尽に照らし出す無類の大事典。
時代もジャンルもメディアも異なる物語に、共通する発想が潜んでいる。あまのじゃく、宇宙人、ウロボロス、時間旅行、手毬唄、人形、密室、未来記、無限…… 1,135に及ぶ物語要素別に、延べ 11,000 超の作品の筋書きを紹介する。人類の創り出してきた世界のアイデアをあまねく拾い上げる、小宇宙のごとき至上の目録。

文学作品にとどまらず、ストーリーを持つものすべてを幅広く網羅。
巻末には詳細な作品別索引ならびに作品典拠を収録。

 分厚い(1368頁)! 高い(28,600円)! とSNSでも話題の辞書。刊行情報が公開された時からずっと気になっていました。この情報の宝の山を手に入れて、私が使いこなせるかどうかわからないので、まあ、高嶺の花ですが……。いつか読んでみたいなあ(ショーウインドウに飾られたトランペットを眺める少年の気持ちで)。


ビロードの耳あて: イーディス・ウォートン綺譚集

イーディス・ウォートン 著、中野善夫 訳/国書刊行会

欲しいのは、変化、休息、人生。
女性初のピューリッツァー賞作家であり、19世紀末から20世紀にかけてのアメリカ文学史上に名高い、〈短編の名手〉ウォートンによる、本邦初訳を含む待望の作品集。
予想もつかない展開と結末。豊かな教養と想像力が生んだ、極上の14作。

 こちらも国書刊行会の本、そして同様に第一印象は「分厚い! 高い!」だったんですが、『物語要素辞典』を知った後ならば「もしかしたら私を受け入れてくれるのでは……?」と思えて来る不思議。(自分がこの本を読めるのか自信がなくて、何度も本屋さんで手を取っては悩んでいます……。表紙も素敵なんですよ……。)
 イーディス・ウォートンの小説はまだ読む前で、短編のタイトルを見ても『満ち足りた人生』や『夜の勝利』、『一瓶のペリエ』など気になるものが多いなあとそわそわします。


リスボンのブック・スパイ

アラン・フラド  著、髙山 祥子 訳/東京創元社

1942年、第二次世界大戦下。ニューヨーク公共図書館で働く司書のマリアは、大統領令に基づく任務を帯び、ポルトガルのリスボンに旅立つことになった。その任務とは、身分を偽り、戦略分析のため枢軸国の刊行物を収集すること。報道写真家の母をスペイン内乱で亡くしたマリアは、危険を冒してでも戦争を終わらせたいという強い想いを抱いていたのだ。
同時期、リスボン。書店を営む青年ティアゴは、書類偽造の天才である書店員ローザとともに、迫害から逃れようとするユダヤ人避難民を命懸けで援助していた。マリアは街で本や新聞を集めるうちにふたりと出会い、戦争を終わらせるためのさらなる任務に臨むことに──

 リスボンに行ったことがあるので、知っている場所を舞台にした小説は気になります。私が訪れた時は綺麗で比較的穏やかな町だったので、やはり戦争中の様子は想像できません。だからこそ知りたいなあと思っています。

 リスボンの本屋さんではありませんが、CD屋さんへ行った時の思い出はこちら👇


図説 鼻とにおいの文化史:クレオパトラからナポレオン、レディ・ガガまで

カーロ・フェルベーク 著、足立 江里佐 訳/原書房

なぜ人は「鼻」に特別な意味をもたせるのか。権力、美、性格、将来性、歴史上の偉人から有名セレブまで、「鼻」でひもとく意外な歴史 クレオパトラ、ミケランジェロ、ダンテ、ダ・ヴィンチ、ダーウィン、ナポレオン、ピノッキオ、バービー、ウォーホル、メイガン妃、レディ・ガガ etc

かつて大きな鼻は、知性、勇気、性格、地位の指標とされていた。そのためミケランジェロは折れた鼻の形に一生悩み、クレオパトラの大きな鉤鼻はより強調して描かれ、ダーウィンは小さな鼻のせいで乗船を拒否された。

ではなぜ、大きな鼻は時代の流れとともに好まれなくなったのか。そして人はなぜ、鼻を人格の指標としてきたのか。美術史家で嗅覚の専門家でもある著者が、ユニークな図版とともに解説する。

 自分が香水好きなのと、美術に興味があるということで読んでみたいなと思いました。あまり歴史には明るくないのですが知っている名前が多いし、現代の人や架空のキャラクターまで取り扱っているというのも面白いですね。


文化の脱走兵

奈倉 有里 著/講談社

本を片手に、戦う勇気ではなく逃げる勇気を。
言葉を愛する仲間たちに贈る、待望のエッセイ集。

「国でいちばんの脱走兵」になった100年前のロシアの詩人、ゲーム内チャットで心通わせる戦火のなかの人々、悪い人間たちを化かす狸のような祖父母たち──あたたかい記憶と非暴力への希求を、文学がつないでゆく。

 同著者の『夕暮れに夜明けの歌を』が大好きなので気になっています。今ポジティブな文脈で語られる機会が少なくなったロシア。だけどそこにはたくさんの人が生きていて、穏やかな生活を望み分断を望まない人もたくさんいるということを忘れたくありません。

 『夕暮れに夜明けの歌を』については、こちらのエッセイで綴っています。


外国語を届ける書店

白水社編集部/白水社

ひとつの言語に特化した専門書店。その書店員はどんな思いで本を届けているのでしょうか。九つの専門書店に尋ねたインタビュー集。

外国語を学ぶ人なら誰しも、その言語で書かれた本を読んでみたい、と思った経験があるのではないでしょうか。あるいは、日本語の教材ではなく、その言語で直接説明された教材で学びたい、ということもあるかもしれません。 原書を読みたい、買いたい。どんな本が面白いか、自分でも読める本はどれか。それを自分で選ぶのは難しい。そうした読者の気持ちに寄り添ってくれる専門書店があります。
そうした外国語専門書店を取材して一冊にまとめました。なぜその外国語の本屋になったのか、どのように店を続けてきたのか、どんな思いでこれから本を届けようとしているのか。外国語を読者とつなぐ書店員の声を記録しました。

 私は外国語が出来ないのに翻訳本ばかり読みがちな読者なので、こういう言葉の専門家たちについての本にもとても興味があります。確かに、書店も大事な専門家ですものね。本屋さんも好きなので、わくわくします。

 更に、白水社と外国語と言えば、私の読書人生を楽しくしてくれた本『「その他の外国文学」の翻訳者』。この本が大好きなので、『外国語を届ける書店』への期待も高まっています。
(『「その他の外国文学」の翻訳者』はこちらで詳しく取り上げています。2022年の本ベスト約10冊にも入れるくらい好きな本です👇)


楽園の夕べ ルシア・ベルリン作品集

ルシア・ベルリン 著、岸本 佐知子 訳/講談社

人生を物語に刻んで。
ロングセラー『掃除婦のための手引き書』(2020年本屋大賞翻訳小説部門第2位)、『すべての月、すべての年』に続く待望の短編集。

「彼女の書く文章はほかの誰とも似ていない。読むものの心を鷲づかみにして、五感を強く揺さぶる。読んだときは文字であったはずのものが、本を閉じて思い返すと、色彩や声や匂いをともなった「体験」に変わっている。(中略)まるで自分もそこにいて、それらを見、聞き、感じたような錯覚にとらわれる。それほどに、彼女の言葉の刻印力は強い。」(「訳者あとがき」より)

 これまでに出ている『掃除婦のための手引き書』『すべての月、すべての年』も読んでいて(どちらも文庫版が発売中です)、ルシア・ベルリンの作品がすっかり好きになりました。彼女の作品の、どこかガサガサしているのに繊細な美しさが恋しいです……。

 

派遣者たち

キム・チョヨプ 著、カン・バンファ 訳/早川書房

韓国ベストセラーSF作家の長篇大作 地下都市に暮らすテリンは、もはや人が住めなくなった地上へ行くことを切望していた。師匠のイゼフが地上の素晴らしい夕焼けの美しさや夜空を横切る星の輝きを教えたから。だがタリンは地上へ行ける“派遣者”になるための試験の直前、不思議な幻聴を体験する

 同著者の本は何冊も読んでいて、2023年刊行の『この世界からは出ていくけれど』はその中でも特に好きでした。

 韓国SFの清潔感とチクチクする痛みが同居する雰囲気が好きなので、『派遣者たち』も読みたくて仕方ありません。毎回表紙も素敵ですしね。


記憶の虜囚

ダヴィド・ラーゲルクランツ 著、岡本 由香子 訳/KADOKAWA

14年前、金融界で華々しく活躍しながら、忽然と失踪したクレア。焼死体で見つかり死亡宣告されたはずの彼女が、ある写真に写り込んでいたという。移民街で育った警官ミカエラは、貴族で心理学者のレッケとともに、クレア生存の謎を捜査することに。クレアの勤めていたノルド銀行は、かつて債務不履行で破綻。スウェーデン政府は、ハンガリーの資産運用会社の手を借り、銀行を国有化していた。クレアが失踪前に会った男の正体を突き止めたミカエラ。一方レッケは、男の代理人から接触を受ける。男の名は、ガボール・モロヴィア。世界中の権力者を操る邪悪な男にして、レッケ最大の天敵だった。レッケとミカエラ、二人に過去の因縁が影を落とし、それぞれの家族に破滅的な危機が訪れる――。

 ちょうど先日、本シリーズ第一弾『闇の牢獄』を読み終えたところでした。最初から最後まで気が抜けない緊張感、本当に面白かったので第二弾がもうすぐ発売と聞いて小躍りしています。


金庫破りとスパイの鍵

アシュリー・ウィーヴァー 著、辻 早苗 訳/東京創元社

どんな鍵も謎も、わたしと少佐が解いてみせる。
凄腕の金庫破り×堅物の青年少佐『金庫破りときどきスパイ』待望の第2弾!

第二次大戦下のロンドンで、鍵のかかったカメオ付きのブレスレットをつけた女性の遺体が発見された。陸軍のラムゼイ少佐からの依頼で、金庫破りのエリーはその錠を解錠する。カメオから見つかったものと女性が毒殺されていたことから、彼女はスパイ活動にかかわっていたと判明。エリーは少佐に協力し、殺人事件の犯人と、死んだ女性の背後にいるドイツのスパイを探りだすことに。手がかりは、女性が身につけていた宝石の原石と、小さな時計の巻き鍵だけ――。凄腕の金庫破りと堅物の青年少佐、正反対のふたりを描く人気シリーズ第2弾!

 こちらも第一弾『金庫破りときどきスパイ』を読んだばかりだったので。このシリーズはいわゆるコージー・ミステリで、謎解きはもちろんですが主人公のエリーと堅物将校の恋模様も楽しめるいくらかポップな仕上がりという印象があります。第二弾では一体どんな二人を見せてくれるのか……。


ミセス・ポッターとクリスマスの町 上・下

ラウラ・フェルナンデス 著、宮崎 真紀 訳/早川書房

なぜか年中、雪に閉ざされた町キンバリー・クラーク・ウェイマスは、児童小説の聖地巡礼の地として有名。だが、観光の目玉である関連グッズ店の店主ビリーが店を閉めて引っ越そうとしたことで、不動産業者や作家や探偵やプロの幽霊を巻きこみ、町は大騒動に!

 まず表紙の美しさから入って気になって、内容もワクワクしそうだなあと思って読みたくなっている本です。小説の聖地巡礼の地として有名な街が舞台の小説、というのがなんだか興味深いです。
 あと、「プロの幽霊」ってどういうことなの……?


 実はまだ、前回の本棚に入る前の本でさえ読み切れていないのですが、次から次へと心の積読が増えて行って人生が盛り上がって参りました。
 今後も増え続ける積読、心の積読の山を眺めながら、生きて行きたいと思います。



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矢向 亜紀 / やむかい あき
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