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自分のことをベケットだと思っているおじいさん(創作)
平日のまっぴるまに東名高速道路を三重県方面に進行している車両の中で、須山もちくさは陽の光で眠たくなっているのを紛らわすためにラジオをつけた。社用車でラジオを流すのはいいのか最初の方は気がかりだったが何度か乗り回すうちに上司が自分の携帯を接続して音楽を聴いていることがわかり、ならラジオも構わんわな!と今は吹っ切れている。
ラジオでは新しくできたいちご農園の若いオーナーの男への電話インタビューがや
coe変わり、知echo(-es)抄
たいへんですよ!せかいがこわれましたー
「歓待を持ったお告げ」より
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ぱぴぴ市ぷぷ町鏑木病院前の交差点を直進すると合図川の出合頭橋というのがあって飛び込みの名所だった。その右岸から左岸にわたる形で、つまり北進すると、といってももろに真北ではなくやや西寄りの北、北北東なのだが、南進してきた人物とすれ違うとき、もうずいぶん前のことだが、斬り合いがよ
イン・ユーテロ [小説]
Forever in debt to your priceless advice ―Heart shaped Box/Nirvana
(お前がしてくれるタダの忠告に俺は引き目を永遠に感じなきゃなんねえ
―ハートシェイプボックス/ニルヴァーナ)
序
キルケゴール的ハイパーコミュニケーション
の考察
市内を南北に横断する有料通路が隣の群地に入りこむか入りこまないか微妙な境あたり、とはいって
深夜はきっと生ぬるい息、大事にできないまっぷたつ [小説]
落ちかけた頭のせいで画面にうつるタレントの顔面がずりむいて見える。朝を無理矢理に引っ張るその活力に満ちた顔がうまく馴染まない―昨夜の記憶が都合よく抜けてしまって、いやむしろそう振る舞ってしまおうか、そう考えるたびに修次の目にうつる切り替わる容貌の数々が像を結ばなくさせる。暖房の熱がまだ心地のいいほどだ。
ナツミとの関係に終着駅が見えてきたか、閉塞感の果ては雪崩か、大きな音をたてて。画面は好き勝
[習作]炎よ、私とともに歩め
**chapter **ここではひとまず、言葉を使わせてもらおう。私の使い勝手の悪い文体では、ワンセンテンスをひどく長ったらしくさせて筋を追えなくさせていく癖がある。それ見たか、まただ。人間とは言語を創造することによって自己を創造した存在である。言葉を介して、人間は自らの隠喩となる。(「弓と竪琴」/オクタビオ・パス)
しばしば私は人間と表象されえない場合がある。ある一定の自我を持ちえた言語の一筋
蒼麗天然美少女金魚ちゃん
あれはこんがりな夏のことでした。四方木町の中池のほとりで夏休みに滝沼れる子と待ち合わせていましたの。私いちごみる子は猛暑の極みにヘロヘロで木陰に身を隠していました。けれど滝みたいに流れ続ける汗の止め方がわからなかったし帽子を忘れるというみる子のおてんば属性を発揮してしまったものだから頭はガンガンくらくらでとてもこれじゃ遊戯なんてできっ子ない。いっこうに滝沼れる子ちゃんが集合時間になっても現れない
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