統計と人事 ~統計ってなに?~
こんにちは。データ分析マンです。
デジタル技術の進歩に伴い様々なデータを収集することができるようになったことから、退職率の予測やポテンシャルのある従業員の発掘、チーム活性化に向けて、データを活用し、経験や勘とその場のノリに頼る判断から脱却するために、ピープルアナリティクスが注目されています。
ピープルアナリティクスとは
ピープルアナリティクスは、一言でいえば、統計を使ってよりよい人事施策を考える。これにつきます。
でも、これだけ実績があるピープルアナリティクスが急速に浸透しない理由は、統計学の難しさにあると思っています。従い、
そもそも「統計」って何が出来るんだっけ?
今回のnoteは、ここに焦点を当てていこうと思います。
統計とは?(統計の本質)
諸説ありますが、統計で分かることは以下の3つだと私は考えています。
1.一部のサンプルを見て、全体傾向を予想する
2. 過去のデータから、予測値を立てる
3. 母集団の「差(違い)」を見つける
1.のサンプリングは、イメージしやすいと思います。「世論調査」とかがそれに当てはまりますね。3.は少し複雑なので、次回のnoteで詳しく書いていきます。
今日は「2」の予測値をたてるについて語ります。
みなさん、天気予報、渋滞予測、紫外線予報、大学の合格率判定で「未来の数値」を予測し、そのデータをもとに行動を判断しますよね。
でも、冷静に考えてみて下さい。
それって未来の数値ですよね?占いと何が違うんですか?
占いと違うところは、科学による「過去データの蓄積」です。
雲の位置、日付、場所、気圧etc..の膨大な過去データを蓄積し、それがどのように変化したのか?を解析すると、いつ、どこで雨が降る確率が高いのかが予想できるわけです。
蓄積された過去の学生の偏差値データと、どのレベルの大学試験に合格したかを統計解析することにより、現在の偏差値から大学合格確率を予想するわけです。
そう。統計の本質は「予想」にあるのです。
ピープルアナリティクスの本質的な価値
高い精度の予想値は、極めて貴重な価値です。
統計学を人事に活かすピープルアナリティクスは、「予測」することで失敗を減らせるのです。
そのためには「予測値として何を見たいのか」を設定する必要があります。
分かりやすい例としては「人事評価」を予測値として見てみたいですよね。
とある応募者が来て、この人を採用するか不採用とするか、、、
それは将来の人事評価が高いか低いか、によって判断されます。
もし、応募者の「活躍確率」が分かれば、人事部にとって夢のような話ではないですか?
・・・今は、それが出来るんです。
どんな性格、過去評価、異動履歴、面接評価、本人希望があれば、より高い人事評価が出るかが分かります。その「高評価されそうな傾向」が何かを探すのです。
予測値の設定は非常に重要です。
天気予報は「降水確率」をたて、大学の合格判定は「合格率」の予測をたてます。
統計が注目された実は「マネーボール」は、メジャーリーグのアスレチックスに「セイバーメトリクス」と呼ばれる統計的手法が導入され、快進撃を続けた実話です。
あれは「勝率の予測値」を、過去データと関連付けてみたら「出塁率」が最も勝率予測を高めることが判明し、出塁率が高いけど給料が安い選手をかき集めたのです。
人事と統計学(ピープルアナリティクス)では、「評価」に加え、「モチベーション」「健康指標」「ストレス」「満足度」「エンゲージメント」などなどの多様な指標を目的に設定し、関連するデータを紐づけると、貴重な事実が分かってきます。
このタイミングでフィードバックを貰うと士気が上がる!
スキルが活かせる実感が高まるとストレスが減る!
などの心模様が浮き彫りにできるのです。
ちなみに、予測値を見たい指標は、調査の「目的」として最初に設定するので、「目的変数」と呼ばれます。
そして、関連しそうなデータは「説明変数」と呼ばれます。
人事のひと、統計の勉強を頑張りましょう。
おわりに
これからの企業は、人材が本当に重要になります。
「活躍確率」を目的変数において、何が重要なデータなのか、必要なデータは手元にあるかを確認しましょう。
分析をいかに正確に目的に沿って行うかは担当者のスキルに大きく依存します。必要なデータ収集、(これとこれ、関係してそうじゃね?!って言う)仮説構築、(重回帰分析?因子解析がいいか?という)統計手法の選択ができる人材がいると心強いでしょう。仮に在籍していなくとも、ピープルアナリティクスに強い企業が支援することで幅広い情報収集と高度な分析が可能です。
くり返しますが、もうすぐ人事部のゲームチェンジが起こります。
一刻も早く、統計を学びましょう!
少しでも興味をお持ちの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
(info@i-data1.com)