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他人依存で終わらせてはならない #56 モチベーション

現代では、様々な場面でメンタルという言葉が使われています。
これほどまでに注目されているのは、成長するためであったり、目的や目標を達成する上で欠かせない要素だからです。

例えば、目標を達成するためには、経験に裏付けられた知識や技術などが必要ですが、その時のメンタルの状態が重要視されます。
メンタルとは、心や精神そのものではなく、そこに関連する心理状態や調子ですので、その時々で、好不調があるのが当たり前です。

失敗ばかりを繰り返すことで自暴自棄になってしまうと、ネガティブなメンタルとなり、何をしても良い結果が得られなくなってしまいます。
対して、成功が続いていることで、何をやっても上手く行くようなポジティブなメンタルとなり、何をしても良い結果が得られる可能性も高まります。
その意味でも、如何にして、メンタルをポジティブな状態に保てるかが重要となります。

そのためにはモチベーションという動機付けが必要という考え方があります。
これは、1950年代に研究された理論で、日本で使われるようになったのは、比較的最近の2000年以降といわれています。

モチベーションは、内発的モチベーション外発的モチベーションに分類できます。

これらを比較する上で、デシパズルとも称される1970年にアメリカの心理学者であるエドワード・デシによって実施された実験があります。
パズルを解くことを課題に集められた実験協力者の学生たちは、二つのグループに分けられます。
ひとつのグループには、パズルを解くと外発的モチベーションとなる金銭が報酬として与えられます。
対して、別のグループには報酬は与えず、ボランティアでパズルを解いてもらいます。
その結果、よりパズルを解けたのは、後者のボランティアでやっていたグループの方であったと言うものです。

この原因として、報酬が与えられるグループには、大きく3つの問題が考えられます。
まず、その行動は、外部から与えられた賞罰により受動的に起こる指示待ちのものです。
また、報酬に値する以上の高い目標を設定しようとせず、妥協した無難な目標しか設定しようとしなくなります。
そして、自分が受ける評価が優先されたエゴイズムに発展する可能性もあります。

対して、ボランティアのグループは、内発的モチベーションによって、パズルを解いたことになります。
その行動とは、自身の欲求を満たすために能動的に湧き出るものです。
その飽くなき欲求によって、高い目標を掲げ、時には目的を同じくする人たちと協力も惜しみません。

組織に属する個々は、人格が異なるのは当然ながら、能力にバラつきがあるのも事実です。
そのため、全ての課題に対して、全ての人たちが、内発的モチベーションを持つのは困難かもしれません。

よって、組織としては、一時的に外発的モチベーションを有効に活用して、個々の行動を促すことも必要かと思います。
しかし、注意すべきは、一時的であることです。
外部モチベーションを部下に与え続け過ぎると、部下の中には、モチベーションとは与えられるものと錯覚してしまう人がいるからです。

内発的モチベーションを高めるための指針を、アメリカの心理学者のマズロー氏が説いた自己実現理論で考えてみます。
これによると、人の欲求は5つの階層に分かれています。
第1階層から順に、「生理的欲求(食べたい・眠りたい)」、「安全欲求(安全かつ健康に暮らしたい)」、「社会的欲求(組織に所属したい)」、「承認欲求(誰かに賞賛・評価されたい)」、「自己実現欲求(理想の自分になりたい)」です。
そして、これらは必ず「低次の欲求」から順に満たされていくとされています。
よって、まずは、外発的モチベーションとはなりますが、生理的欲求や安全欲求を満たしてあげることからが大切です。

外発的モチベーションですが、必要以上に促し過ぎると、極端な話し、指示を受けないと行動することが出来なくなってしまいます。
しかし、外発的モチベーションは有限であり与えるには限界があります。

認知バイアスの一種に、ダニングクルーガー効果と呼ばれるものがあります。
これは、能動的に行動できないにも関わらず、それを受け入れず自分を過大評価してしまう現象です。
この場合、自分が行動できないのは、自分に問題があるのではなく、指示を与えない側に問題があると捉えてしまいます。

モチベーションですが、まず、個人的には、受動的な外発的モチベーションに依存することなく、能動的に行動することができる内発的モチベーションを創造することが大切です。
そもそも、内発的モチベーションで行動を継続することで、それがあたりまえの基準となり、いずれ、モチベーション云々ではなく、やらずにはいられなくなるはずです。
また、それが個人的ではなく、会社などの組織においても、経営理念などの目指すべきビジョンが定まっていれば、お互いにそのビジョンの実現のために協力を惜しまない関係になれるはずです。

また、組織としては、個人的な内発的モチベーションだけに依存するのではなく、外発的モチベーションによって、それをサポートしてあげる必要があります。
その上で、個々に内発的モチベーションをより大きく創造してもらえるような環境、文化を整える必要があります。

結局のところ行動を促すために、モチベーションを持ち出すことではないと思います。
頭の中で、やる、やらないを悩んでいる暇で、やるべきことを、やってみることです。
結果的に、自ずと、やる気が湧いてくるのかと思います。

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