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$20 FINE

「スコアは?」
「えー,8」
「8ですね…」

ゴルフは紳士のスポーツだ.
数字を誤魔化すことなどは紳士たるものできないことだとおもってた.
そのオトコは明らかに,その数字を真摯な顔をして間違えていた.

間違えていた…?
そこは今でもわからない,誤魔化していたのかもしれない.
ただ,明らかに数ラウンドのスコアは間違えていたし,誤魔化していた.

ジミヘン君と初めて会ったのは,友達に紹介された店で会った.
日に焼けてイケメンだった.

「コイツ,ジミヘン.明日ゴルフ一緒に回るからね.」
「よろしく,名前なんていうの?」
「Jellyです,よろしくです」

そう言ってからのゴルフだった.
主催者は風邪で休んだコンペとなり,オレとジミヘン君と車屋の高山社長という人と回った.

パターが入らなかった.ぜんぜん.
アタマにきて手で入れた.
「スコアは?」
「8です」
「手使ったよね?」とジミヘン君が言った
「使ってないです.8です」
ジミヘン君は爆笑していた
「自分,おもしろいよね〜」

コンペが終わったあとに連絡先を交換して,WEEDを一緒に吸った.

何度か会うようになった.
何してる人なんだろう?
疑問になって聴いたが.
「なにもしてないよ」
といつも言っていた.

不良はいつも,なにもしてないよ,という.

後日,連絡したが電話は繋がらなかった…

店主に聞いたら逮捕されたとのことだった.
記事を読むと,2億ほどの詐欺事件だった.

いつも,笑っていたジミヘン君の顔が浮かんだ…

半年ぐらい経った.
ジミヘン君はオレの前でいつものように笑っていた.

「Jelly君,元気してんの?」

そこには王様がいた.


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