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体験記 〜摂食障害の果てに〜

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記事一覧

体験記 〜摂食障害の果てに〜(41)

体験記 〜摂食障害の果てに〜(41)

 やがて、窓の外が、うっすらと明るんできて、看護師さんが、血糖値を計りに廻ってきました。出た値は、五八でした。血糖値は、七〇mg/dl以下になると、低血糖とされます。通常、私が点滴をしている時の値は、百から百二十くらいです。看護師さんが大急ぎで、ブドウ糖を注射器で注入してくれました。見たことのない大きな注射器で、二本注入しました。私は、口からも糖分を入れた方が、早く効くと思ったので、ぶどうジュース

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体験記 〜摂食障害の果てに〜(40)

体験記 〜摂食障害の果てに〜(40)

首のCVから液が漏れる

 肺の水抜き用の管(ドレーン)を抜いた後、体調が崩れてしまいましたが、三日経って、良くなってきた日のことです。昼に小さな点滴をしたら、首のCVの辺りがピリピリと痛く感じました。こんなことは初めてです。看護師さんにその事を伝えると、タオルを首に当ててくれました。点滴が終わってタオルを取ると、端っこがわずか濡れています。奇妙な気がしました。濡らすものなんてありません。
 夕飯

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体験記 〜摂食障害の果てに〜(39)

体験記 〜摂食障害の果てに〜(39)

吐き気

 入院する前から吐き気が続き、二ヶ月近く経っても治らないので、主治医の先生が、MRIで調べる、と言い出しました。
 入院直前は、「低ナトリウム血症による吐き気」と、病院の先生から診断され、ナトリウムの点滴を行なっていましたが、点滴も飲み薬も全く効き目はありませんでした。中央病院に入院してから、吐き気は軽減しましたが、時々、ひどくなり、悩まされていました。
 造影剤を使うので、同意書にサイ

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体験記 〜摂食障害の果てに〜(38)

体験記 〜摂食障害の果てに〜(38)

変化

 ある朝、ふと、いつもより気分が良く感じられました。そこで、ずっと気になっていた自由帳に、何か書いてやろう、という気が、むくむく湧き上がってきました。
(すぐそこに、ノートがあるのに、私が書こうとしなければ、永遠に書けない。)
 家族に、折り紙とあやとり用の毛糸と自由帳を持ってきてくれるよう、頼んであったのです。それらは、自分でリハビリに使うつもりでした。母は、気を効かせて、私が小学生の頃

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体験記 ~摂食障害の果てに~(37)

体験記 ~摂食障害の果てに~(37)

 処置が終わって、しばらく経ち、看護師さんに、体の向きを変えてもらった時のことです。左を下に寝たら、コホン、と小さく咳が出ました。それから、コホコホ、咳が止まらなくなり、右に向けてもらうと、ピタリと止まりました。尾てい骨と腰が痛くなり、左に向けてもらうと、又咳が出ました。それはまるで、噛み砕いたピーナッツの破片が肺の中で踊っているように、又は、小さな扇風機が、壊れたプロペラを小刻みに回すように、と

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体験記 〜摂食障害の果てに〜(36)

体験記 〜摂食障害の果てに〜(36)

 肺の水が減ってきたので、肺につながった管(ドレーン)を外すことになりました。麻酔をすると言われても、緊張します。時間が三時と決まって、部屋を移動せず、行うことになりました。
 時間がきました。介助の看護師さんが選ばれ、主治医の先生と、研修医の若い先生が、男女二人きました。私は主治医の先生が行なってくれるとものと安心していたのに、研修医の女の先生が行うことになりました。
(大丈夫かな?)
 不安に

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体験記 〜摂食障害の果てに〜(35)

体験記 〜摂食障害の果てに〜(35)

肺の水抜きを止める

 主治医の先生が部屋にやって来て、突然「肺の水抜きを止めます。」と言いました。私は驚いて、しばらく言葉が出ませんでした。
「でも先生、また心臓が苦しくなったらどうしますか?」
 心臓が騒いだり、水の底に沈められたように息苦しくなって、いつ心臓が止まるかわからない恐怖に又襲われるのかと思うと、不安でたまりませんでした。でも先生は、
「抜けば抜くほど、点滴で入れた栄養が出てしまい

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体験記 〜摂食障害の果てに〜(34)

体験記 〜摂食障害の果てに〜(34)

 このあたりで、私にリハビリの先生が、毎日一回、きてくれることになりました。思いもよらない出来事でした。それなのに、今度は右足が凄まじい痛みを引き起こしました。骨折したと思いました。でも、寝た切りで、骨折はありえません。骨が異常に脆くなっていた場合、寝返りを打っただけで骨折する、と聞いたことがあります。でも、その寝返りも打てないのだから、骨折をするはずがないのです。この痛みは、痛み止めの点滴も全く

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体験記 〜摂食障害の果てに〜(33)

体験記 〜摂食障害の果てに〜(33)

足首の激痛

 朝、気がつくと、足首から先が捻挫したように痛くなっていました。ベッドに寝たきりで、自分では足を動かせないのに、原因が思い当たりません。看護師さんに靴下を脱がして見てもらったら、
「なんともなっていない」
 と、言われました。先生にも見てもらいましたが同じことを言われ、湿布を貼って様子をみることになりました。
 二日ほどで痛みが消えたので、ほっとしていたところ、数日後にまた痛くなりま

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体験記 〜摂食障害の果てに〜(32)

体験記 〜摂食障害の果てに〜(32)

 連日の高熱の原因は、細菌感染らしいのでした。
 長期間、体にチューブや針をつなげていると、細菌感染し、高熱が出るそうです。私の体には、首に点滴用のCV(中心静脈カテーテル)、肺に水抜き用のチューブが一本、一カ月半ほど繋がったままでした。首のCVは、左右で位置を変えることができますが、肺の水抜き用チューブは変えることができません。主治医の先生は、
「本当は、チューブも取らなければいかんのだがなあ。

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体験記 〜摂食障害の果てに〜(29)

体験記 〜摂食障害の果てに〜(29)

 主治医の先生の言葉から、私は心不全になっていることを知りました。心不全といえば、母の心筋梗塞と同じ、命にかかわる心臓の病です。不安になったので、心臓の先生が来られた時に、
「心不全は治りますか?」
 と、尋ねてみました。
「心不全は、治りません。」
 と、先生がおっしゃいました。(ああ、やっぱり。)と、思いました。私の母が急性心筋梗塞になった時、手術をしてくださった先生に同じことを尋ね、同じ回答

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体験記〜摂食障害の果てに〜(28)

体験記〜摂食障害の果てに〜(28)

 ある晚、また心臓が騒ぎだしました。いつもとは、感じが違います。野うさぎが飛び跳ねているようです。ナースコールを押すと、看護師さんがきてくれました。
「先生を呼んでください。心臓が止まります。お願いします。早く、先生を呼んでください!」
 でも、どんなに頼んでも、やっぱり先生を呼びに行ってはくれないのです。じっと私を見て、「もう、先生は帰られたから。」と、言うだけで、すい、と部屋を出て行くのです。

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体験記 〜摂食障害の果てに〜(27)

体験記 〜摂食障害の果てに〜(27)

心不全
 夕方、知らない間にうとうとしていて、気付いたら、部屋に灯りが点っていました。その時、私は夢と現実が一緒になって、学校の職員室に寝ているつもりでした。目にも、かつて中学校の時の記憶にある職員室が見えていました。
 私の傍に看護師さんが立っていて、心電図や心拍数等の計測結果が表示される機械を覗いていました。そして、私の方に向き、
「息が苦しいでしょう。」
 と、尋ねました。私が頷くと、酸素マ

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体験記 〜摂食障害の果てに〜(26)

体験記 〜摂食障害の果てに〜(26)

 管を取り外す処置は、主治医の先生が行なって下さいました。脇腹に麻酔を三箇所注射され、三十分か四〇分ほど(だと思います)で終了しました。受けるまでは(痛いかな?)と、不安でしたが、麻酔のおかげで痛みはありませんでした。終わった後、処置の介助をして下さった看護師さんが、
「桜を見に行こう。今、ちょうど満開。廊下から見えますよ。」
 と、言って下さったのですが、どうしたことか、ひどく眠くて眠くて、目を

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