体験記 〜摂食障害の果てに〜(33)
足首の激痛
朝、気がつくと、足首から先が捻挫したように痛くなっていました。ベッドに寝たきりで、自分では足を動かせないのに、原因が思い当たりません。看護師さんに靴下を脱がして見てもらったら、
「なんともなっていない」
と、言われました。先生にも見てもらいましたが同じことを言われ、湿布を貼って様子をみることになりました。
二日ほどで痛みが消えたので、ほっとしていたところ、数日後にまた痛くなりました。今度のは激痛です。私は、「折れた!」と言って、主治医の先生に診てもらいました。ところが、やはりなんともなっていないと言われました。先生は困ったように、
「レントゲンを撮るくらいしかできないけれど、撮るのも痛いですよ。いいの?」
と、言いました。痛い上に更に痛いと言われると、「お願いします」とは言えなくなりました。そこで、前回同様、湿布を貼って様子をみることになりました。
ところが、三日経っても、痛さは変わりません。
「どうして先生は、何にもしてくれないんだろう?」
と、看護師さんにこぼしました。すると、
「今日は、足のエコーが入っていますよ。ちゃんと先生も考えて下さっているんですよ。」
と、言われ、ほっとしました。
検査の時間がきました。ベッドに寝たまま移動するので、看護師さん二人が部屋に来ました。肺の空気を抜く機械をベッドの端に乗せ、床ずれ防止のクッションをしたまま、検査室に運ばれて行きました。クッションがないと、尾てい骨と背骨が痛くなるのです。いつも、三十分おきに体の向きを変えてもらっているので、検査中、同じ方向を向いたまま耐えられるか、心配でした。
検査が始まると、部屋の電気が消され、パソコンのモニターだけが、ぼうっと白く浮かび上がりました。検査をする女の人が、しゃもじのような検査機にジェルを塗り、私の腿にグリグリと押し付けました。時々、足を掴んでパッと離すのを繰り返しました。これは静脈と動脈の様子を見ているのだそうです。両足とも検査が終わると、ジェルでベタベタになった足を、タオルで拭き取ってくれました。
部屋に帰って、大変なことに気づきました。痛いところ(足首から先)を診てもらわなかったのです。これでは、意味がありません。緊張していたせいで、気づきませんでした。
翌日、主治医の先生が、「右足に血栓ができているけれど、左足の痛みには関係ない。」と、検査結果を伝えに来て下さいました。痛みの原因はわかりませんでしたが、右足の血栓も気掛かりです。
その痛みも、数日でおさまりました。
(つづく)