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『源氏物語』解説

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『源氏物語』解説まとめ
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源氏物語の話22 かぐや姫の夜

第二帖「帚木」⑩/うるわしき人/方塞り/方違え/紀伊守/中納言兼衛門督/伊予介/藤壺との秘密/光源氏の要求/貴族社会の参入障壁/男たちの眼差し/中将をお呼びになったものですから/鬼神も荒だつまじき/「をかし」な女/匂いでわかる/かようなる際/なよ竹のかぐや姫/反実仮想/つれなきを恨みもはてぬしののめにとりあへぬまでおどろかすらむ/身のうさを嘆くにあかで明くる夜はとりかさねてぞ音もなかれける/彦星に

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源氏物語の話21 日本紀の御局

第二帖「帚木」⑨/小粋な平安男子ジョーク/吉祥天女/日本霊異記/ミス仏教/薬師寺吉祥天像/頭中将/博士の娘/我が両の途歌ふを聴け/にんにく臭い女/ささがにのふるまひしるき夕暮れにひるますぐせと言ふがあやなさ/蒜(ひる)/あふことの夜をし隔てぬ仲ならばひるまも何かまばゆからまし/例外的存在としての中宮定子/高階成忠/忘れじの行く末までは難ければ今日を限りの命ともがな/円融天皇/和泉式部/赤染衛門/出

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源氏物語の話20 消える女

第二帖「帚木」⑧/都合のいい恋人としての女房/左馬頭の助言/折らば落ちぬべき萩の露、拾はば消えなむと見る玉笹の上の霰/中将の体験談/右大臣家の怒り/山がつの垣ほ荒るともをりをりにあはれはかけよ撫子の露/あな恋し今も見てしが山がつの垣穂に咲ける大和撫子/昔物語/藤原道綱母『蜻蛉日記』/養女が欲しい/源宰相兼忠の娘/おきそふる露に夜な夜な濡れこしは思ひの中にかわく袖かは/母たちの期待/昔物語のやうなれ

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源氏物語の話19 指を噛む女

第二帖「帚木」⑦/指物/墨書き/嫉妬深い女/指を噛む/手を折りてあひみしことを数ふればこれ一つやは君がうきふし/うきふしを心ひとつに数へ来てこや君が手を別るべきをり/いといたく思ひ嘆きて、はかなくなり侍り/竜田姫/織姫/たはぶれにくゝなむ、おぼえ侍りし/ありぬやとこころみがてらあひみねばたはぶれにくきまでぞ恋しき/浮気な女/月、菊、紅葉、笛、琴/ザ・平安貴族の恋愛/琴のねも月もえならぬ宿ながらつれ

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源氏物語の話18 愛の駆け引きとしての出家

第二帖「帚木」⑥/もう性格以外どうでもいい/愛の駆け引きとしての出家/尼削ぎ/葵の上の兄としての中将/光源氏の狸寝入り/蜻蛉日記/藤原道綱母/女房じゃない女性の文学/藤原兼家/最初の妻、時姫/道綱の元服/これで最後かもしれない/愛されたいと望み続けること/受領の娘/出家未遂事件/若い二人の思い出/疲れ果てて泣き出す道綱/藤原道隆の来訪/あまがえる/きはめたる和歌の上手/息子のラブレター母親が書く/

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源氏物語の話17 一夫一妻多妾制

第二帖「帚木」⑤/平安時代の婚姻制度ってどうなってたの問題/高群逸枝『招婿婚の研究』/一夫多妻妾制/妾(しょう)/一夫一妻多妾制/三つの論点/工藤重矩/フィクションから制度を読み取る危うさ/家の内のあるじ/左馬頭の衝撃発言/葵の上って光源氏の正妻なのか問題/モテる女性の手練手管/過度の「もののあはれ」は邪魔/伊勢物語「筒井筒」/幼く素直な妻と、無愛想だけど有能な妻

【以下文字起こし】

源氏物語

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源氏物語の話16 「女にて見る」問題

第二帖「帚木」④/中将の不本意/新日本古典文学大系/新大系・旧大系/新潮日本古典集成/新編日本古典文学全集/古註/思いがけない出会いが良い/藤式部丞の姉妹/光源氏の見解/束帯・衣冠・直衣/女にて見奉らまほし

【以下文字起こし】

源氏物語解説の第16回です。帚木の解説としては4回目になります。

前回は、光源氏と中将の女性談義に、左馬頭と藤式部丞も加わって、受領の家の娘はなかなかバカにできないぞ

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紫式部の父親の話

藤原為時の話/中納言兼輔の孫/菅原文時/菅原道真の孫の弟子の娘/師貞親王の副侍読/蔵人/受領就任への王手/陣定/巡任/花山天皇の退位/紫式部の少女時代、突然の父無職/散位/位録/一度きりの晩婚/返り咲く為時/今昔物語/古事談/十訓抄/除目/申文もてありく/歌徳説話/淡路守から越前守へ/大江匡衡/出世しすぎず人生全うした道真/赤染衛門の夫/なんとかしてやりたいやつリスト/三蹟が一人にして一条朝の能吏

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源氏物語の話15 平安中期の階級意識

第二帖「帚木」③/「きざみ」と「しな」/雨夜の品定め/高貴すぎて知らない世界/零落と成り上がり/上達部(かんだちめ)/位階/貴族=五位以上/三位(さんみ)/殿上の間/昇殿/参議/公卿/左馬頭と藤式部丞/左馬寮右馬寮/式部省/藤原為時/四位の中将、五位の左馬頭、六位の式部丞/どっちも中流/受領(ずりょう)/国司/守(かみ)、介(すけ)、掾(じょう)/遙任(ようにん)/公地公民/人頭税/制度破綻/人頭

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源氏物語の話14 雨夜の品定め

第二帖「帚木」②/五月雨と物忌/宮腹の中将/義兄であり親友でありライバル/男同士の女性談義/かたかどもなき人はあらんや/上流中流下流/吉村研一「源氏物語において『ほほゑむ』の果たした役割 『ゑむ』と『ほほゑむ』の違い」/ほほゑむ人としての光源氏

【以下文字起こし】

源氏物語解説の第14回です。箒木の帖の解説としては二回目になります。

今回から、有名な「雨夜の品定め」のシーンについて話すんです

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源氏物語の話13 既存の物語を超えて

第二帖「帚木」/現実の歴史の延長線上/「語り手」の問題/最強無敵のプレイボーイ交野の少将/兵衛府、衛門府、近衛府/貴公子といえば近衛の中将/伊勢物語初段「初冠」/春日野の若紫の摺衣しのぶの乱れかぎり知られず/陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに乱れそめにしわれならなくに/既存の物語を超えて

【以下文字起こし】

さて、伊勢物語の解説を何度か挟みまして、今回からは再び、源氏物語の解説に戻ろうと思います。

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源氏物語の話12 光源氏の正妻 

元服/髪型の変化/兄に負けないセレモニー/桐壺帝の胸中/ひきいれの大臣/ウルトラスーパー高貴な娘/おぼしわずらふこと/光源氏の正妻/左大臣の賭け/葵の上の憂鬱/藤壺への思慕/既婚者の一般男性/変動するパワーバランス/右大臣家の婿取り/桐壺の章段のラスト/訂正「光源氏の三つの家」を説明した際に言った「宮中の藤壺」は桐壺の誤りです。

【文字起こし鋭意製作中】

源氏物語の話11 作中最高の女性 

ベテラン女官典侍の証言/桐壺更衣のそっくりさん/先帝の四宮/先帝って誰?/皇太子不在の謎/反対する母/藤壺/桐壺更衣との決定的な違い/誰かの代わりに愛されるということ/光源氏の憧憬と藤壺の恥じらい/弘徽殿の女御の苛立ち/光る君と輝く日の宮/輝く藤壺、中宮彰子/作中最高の女性

【文字起こし鋭意製作中】

源氏物語の話10 予言の物語

右大臣家=藤原摂関家/天皇親政/政治と不可分な恋愛/弘徽殿の女御と帝の対立/かどかど/雲の上も涙にくるる秋の月いかですむらむ浅茅生の宿/中心人物の転換/ゆゆし/皇太子問題の決着/祖母の死/読書始/無敵の皇子/高麗人の相人/予言の物語/臣籍降下/源氏の誕生

【文字起こし鋭意製作中】