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【読書感想文】素敵な現場が夢をつくる

山本幸久『社員食堂に三つ星を』KADOKAWA(2024年)

を読み終わった。

プレゼントされた本。

主人公は、東京でバリバリ働いていた管理栄養士のみなほ。

ある日辞令が下る。昇進の知らせかと思いきや、東京から紀伊半島の南西部、白波町(しらなみちょう)ヒヨコ家具の社員食堂に赴任することになる。いわゆる、左遷である。

その理由や経緯は本編の中で語られるので、知りたい方は読んでいただくとして。

社員食堂。

私も働いている職場。

私は管理栄養士でもないし、社員でもないので、献立や栄養素の計算や、調理(これは営業所によってかなり違うのかも)もしたことがない。

調理師免許をとるための実務経験は、今のところ切菜のみ。

読んでみて、わかるなあこういう雰囲気と、しみじみとしてしまった。

手洗いとか、衛生チェックとか、お客さんの「肉多め」「汁、ルー多め」「ご飯少なめ」等々の要望とか。

あなたソースかけすぎよ! お皿の中ソースで池になってる! ソースの池にカツが沈んでる!

と思ったりしながら、お客さんの観察していたり。

余計なお世話なので、ソースびたしカツを食べられるお客さんが立ち去ったあとは、ソースの瓶のソースを必ず補充するとか。

食堂あるあるなんだな。

さて、私のそんな感慨はあまり本編では関係なく、主になるのは、主人公・みなほと、食堂のパートさんズと(のバトルを含む)、調理師さん、見習い調理師さんのお仕事ドラマとも、よく言う「地方創生」的な物語とも言える。

東京に比べたら、圧倒的になにもない田舎な所へ、いきなり赴任させられたみなほは、手ごわいパートさんズ相手に孤軍奮闘しつつ、後継者不足に悩まされながらも農作が盛んで、漁業があって、地方ならではの魅力がある白波町で、人脈をつくり、食堂を豊かにしていく。

仕事について、徹頭徹尾自分が主人公で、自己満足の世界だと、行き詰まるってこういうことなのかなと思いながら読んだ。

仕事は自分のためにする。もちろんそういう面かあって当たり前なのだけど、誰かを思ってする仕事は、また格別に違うものなのだなと思った。

例えば、自分が料理をただ好きというより、食べてくれる人やお客さんが「おいしかった」「また食べたい」と言ってくれるような料理の方が、作りがいがあって、さらなるおいしいもの、いいものを、料理人は作りたくなるだろうし、その現場はいきいきとするだろう。

なんでもいいや。

採算がとれれば。

この場がなんとかなれば。

食堂の売上が伸びれば。または維持できれば。

そういう気持ちでいれば、きっとお客さんにも、伝わってしまうものなのだろう。

どこかで、なにかがおざなりになって。

チクチクちょこちょこ、日々気をつけたほうがいいな、と思う場面が出てきて、反省しながら読む。

しかし!

なんで企業の上の方の人というのは、お仕事小説だからそうなのかもしれないし、現実もそうなのかもしれないけど、こんなにクセ者揃いなのだろうか。

現場が素敵なのは、一番いいこと。

でも現場をよく知らない上の人達は利益優先で、大局的に物事を見ているようで、視野が狭い感じなのはなぜ。

この小説を読んていて、苦笑いするしかなかった。

私の職場の上司も、よくぼやいていたなぁって。

お客さんと一番密に接する現場が素敵な職場こそが、やっばり夢を作るし、いい仕事を作っていく。

私はあまりお仕事小説を読まないのだけど、自分に身近な世界ということもあり、とても楽しく読んだ。

10月の頭に立てた目標、3ヶ月で6冊読む、達成です!

わーい!

【今日の英作文】
私に必要なのは休息です。
All I need is some break.

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