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昼食後、会社のデイサービスのソファに座って、
利用者のAさんと一緒に会話を楽しんでいた。

すると、スタッフのZさんが私とAさんのそばに
来て、私に向かって言った。

「Aさん、昼食前にオムツ交換終わっているので」。

介護現場でよくある風景。

高齢者の方で尿意を感じにくくなっている方もお
られ、通常のトイレのサイクルに合わせてお声か
けをしたり、仮におむつ内に排泄した場合、おむ
つ内の不衛生な状態が続くことを防いだり、また
ご本人が不快に感じる時間も短くしたいので、定
期的にこちらからおトイレにお誘いしたり、おむ
つの交換を提案する。

その状況が忘れずに確認できているかの業務の引
き継ぎのような声掛けであった。

私はスタッフのこの手の会話にいつも違和感を感
じて、業務後に必ず伝えている。

「なぜ、本人の前でわざわざ言うのか?」。

「自分が自分のトイレのことについて、
 周りの人に聞こえるように言われたら、
 どう思うのか?」   

「うりもさん、結構おっきいの出てました!」

私はきっと、頬を赤くするだろう。
アイドルなので、そもそも排泄物
とは無縁のはずであるのに。

先日のスタエフライブ配信中に、「高齢者の接し
方で注意すること」「高齢者が傷つくこと」を話
そうと思っていたのだが、結局伝えずに終わって
しまっていた。

接し方に関しては、高齢者であっても若者であっ
ても大差はない。

基本は、「自分が言われて嫌なことはしない」と
いうことである。

これで自分や周りの人の発言を振り返ったり、相
手の反応に気をつけていれば、ある程度は失礼の
ない接し方ができる。あとは自分の心のコンディ
ション次第である(これが一番難しいのだが)。


「否定しない」、「子供扱いしない」、
なんて、誰にでもわかるし、ネットでも情報は溢
れている。

ただ、気付きにくい点もある。例えば、「よかれ
と思ってやっている」という行動においてだ。

「ちょっと待ってて、動かないで!」

1人で歩いて危険だと感じた時に思わず言ってし
まう一言。危険を回避してもらいたくて言う言葉。
時に、面倒にならないように介護する側の都合で
言ってしまう言葉でもある。

「代わりにやっておくから、いいよ!」

何かしてあげたい気持ちを表す言葉。一方では高
齢者から出来ることや、やろうとする気持ちを奪
う言葉。時に、介護する側が自分の都合通りに物
事を進めたいために使う言葉でもある。

そして、極めつきは、

「本人がいる前で、本人の意思とは関係なく、
 周りが本人の話をして、勝手に物事を進め
 たり、決めたりする会話 」。

これが一番気付きにくいし、介護現場にもよくあ
る風景である。全ては支えたい対象者のためなの
だが、会話の中や、その場の状況に、肝心な本人
の存在が抜けている。

「本人の存在が抜けている」ということは、
本人の尊厳を簡単に奪っていってしまうのだ。

自分の病気についてや、出来ないことが、会話の
中で、自分の前で飛び交う時の気持ちを想像して
みてほしい。

「うりもさん、不穏になっておられたんですよ。
 その後はもう忘れてしまわれたんでよかったで
 すけどね。そう、あとご飯をよくごぼしたり、
 よく咳き込むことが増えたんで、ご飯をお粥
 にして、スプーンで食べてもらうと思うんで
 す。あっ、それいいですね〜!」 

知らないうちに、傷つけてしまってはいないか?。

「あの〜、わたし〜、うりもって言うんですが、
 わたしのこと、人間だと思ってくれてます〜?
 も、もしかして、ゴリラのぬいぐるみだとか、
 思ってません? 」

本当に「優しい気持ち」を持って、みんなは接し
ている。

こんな言葉や会話で目の前の対象者を傷つけたくは
ないのである。

笑顔にしたい。

ただ、それだけなんだ。


結果、対象者を傷つけてしまう。

そんなことがないようにしたいですね。








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