ベット ~Das Bett
蓑虫のように体を毛布に巻き付けたまま転げ落ちた先が栗色のフランネルのラグで、その心地良さに落ちたことなど意に介さずに眠り続ける少年、朝日に照らされてやっと僅かな茶を呈する短く整った黒髪から覗く額からでも伺い知れるような健やかな血色の少年は、約束の場所へ間に合うように現在の五分前には自宅を出ているはずだった。彼の横、寝相から言えば「後ろ」と言った方が正確であろうところには、この部屋の中でも数少ない日除けとなり得る部分がのっぺりと木目の床の上に広がっている。尤も、それは人間の為