【発達障害(神経発達症)に関する本#9】『みんなでつなぐ読み書き支援プログラム フローチャートで分析、子どもに応じた オーダーメイドの支援』
読書が得意ではない私(でも実は司書資格持ち)がおすすめする、発達障害(神経発達症)に関する本シリーズ。
今回はこちらです。
📚多岐に渡る「読み書きトラブル」
発達障害のひとつ、限局性学習症(SLD)。
学習障害(LD)から名称変更されているものです。
これらはさらに、大きく3種類に分類されます。
✅読字不全(ディスレクシア):読みの困難
✅書字表出不全(ディスグラフィア):書きの困難
✅算数不全(ディスカリキュリア):数字の困難
一言で「学習障害」と言っても一律ではありません。
何に困難を抱えているのか、また複数の困難を抱えているのかを調べる必要があります。
個々にあった支援が必要なのです。
息子の場合は、書くことが最も苦手です。
何もないところから文字を連想するのが難しく、漢字ドリルは見本を見ながら書くか、私が書いた文字を上からなぞっています。
LD・SLDの分野は認知度が低く、学校でも十分な支援が受けられているかは疑問が残ります。
📚フローチャートで見る支援方法
では、どのように読み書きトラブルに対応すればいいのでしょうか?
本書では、フローチャートで体系的に整理しています。
書字を例にすると、下記の流れになっています。
①面接
→書字のつまずき部分の聞き取り、機能の聞き取り
▼
②スクリーニング検査
→STRAW-Rなどの発達検査
▼
③エンコーディング(音から文字への変換)
→読字に必要な認知機能・感覚運動機能も併せて評価
▼
④書字運動の評価
▼
⑤なぞり書き
→姿勢に関するトラブル
→触覚・固有受容覚に関するトラブル
⑥模写
→線の分解・再統合に関するトラブル
→空間の知覚に関するトラブル
⑦想起による書字
→文字のイメージに関するトラブル
ただし、本文には
との記載があります。
妥当性については今後の研究が待たれます。
📚支援プログラム・グッズ
本書では読み書きに必要な力を育むためのプログラムやグッズの紹介に多くページが割かれています。
療育施設や支援学級、通級などでも活用できそうな内容が多く、教育に携わる方々に読んでもらいたいと思う内容です。
遊びの例に「もぐらたたき」や「風船バレー」があります。
対象を目で追うことで眼球運動が向上するのだそうです。
眼球運動の向上は、黒板とノートを交互に見る力が育まれます。
読み書きには目の動きも大切な要素だと気付かされます。
また、生活の中のちょっとした工夫として、スーパーでの買い物時にたくさんの商品がある陳列棚からほしいものを「見つけ出す」というものがありました(図地判別と言うそうです)。
これなら普段の生活にも取り入れやすいですね。
サポートグッズもいろいろと紹介されています。
鉛筆・消しゴム比較は参考になりました。
改造リコーダー(木工用ボンドを穴の周りに盛り、穴をふさぎやすくする)は、今後リコーダーを使用する際のアイデアとして記憶しておきたいと思います。
📚結局、支援を受けるには
本書は読み書き支援に特化しており、情報が少ない分野では充実した内容になっていると思います。
ただ、フローチャートの最初にある「面接」と「スクリーニング検査」。
これができるクリニックが少ないのが現状です。
SLD・LD分野の発展を願わずにはいられません。