著者のジョージ・S・エヴァリー博士は心理的応急処置(Psychological First Aid : PFA)、心理的トラウマ、災害メンタルヘルスの分野においてアメリカで著名な人物。ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院やジョンズ・ホプキンス大学医学部で教えている。本書は日本語で読める貴重な PFAの解説書で、メンタルヘルスケアを包括的に学べる書でもある。ジョージ・S・エヴァリー博士によるCourseraの「Psychological First Aid」 の講座は非常に有名で、実は私もそれでこの本のことを知った次第。この講座の中で使用されているPFA の具体例を解説する小ドラマ(エヴァリー博士主演)がネット上にあったので参考になる(英語)。
<目次> 序文――私たちはどのようにして今に到ったか? 第Ⅰ部 心理的応急処置(PFA)――科学 第1章 心理的応急処置(PFA)――定義と歴史 第2章 外傷体験がもたらす心理的反応――現場で遭遇するもの 第3章 災害のあと――PFAが求められる大規模な背景 第Ⅱ部 PFA――技術の実践 第4章 R ラポールの確立と聞き返し 第5章 A アセスメント――ストーリーに耳を傾ける 第6章 P 心理的トリアージ――優先順位付け 第7章 I 状態を安定させ,急性の苦痛を軽減するための介入戦術 第8章 D 締めくくり――継続的ケアを受けやすくする 第9章 セルフケア――他者のケアは自らのケアに始まり,自らのケアに終わる 補足資料:呼吸法