写真を撮ったときの、その瞬間の気持ちがわかればいいのに。 あのとき、どう思ってたのって、聞くことはできないから、写真から気持ちがわかる能力がほしい。 私は望みすぎているけど、それも許してくれると思っている。 ネットニュースでは今日も消費されるために生み出された情報があふれている。好き勝手なコメントが書かれ、そのコメントにグッドやバッドが付けられる。 どんな形であれ、私たちは当事者として自分の人生を生きた方がよいのだろう。安全圏にいるつもりで、他人の人生の傍観者として生きてい
3食自炊した。働いた。部屋にある資料を整理した。銀行について調べた。作ったチャイがおいしかった。レーズンパンにバターを塗ったら最高だった。お風呂に入った。痩せるダンスを踊った。明日のためのカレーを作った。
残り物の野菜をミキサーでペースト状にし、にんにく、しょうが、ひき肉と一緒に炒める。ナンバーガールのライブ配信を観ながら作ったキーマカレーを、明日はお弁当とする。マスクをして、まだまだ満員の電車に乗って、会社に運ぶ。 人の不安につけ入り、お金を儲けたい人。それに踊らされる人。それらを批判する人。以前からあったものが不安の中で増幅している。 心の奥底にある守りたいものを問えたなら、正しさの中で窒息しなくて済むだろうか。
私はシルバを愛するだけの人間です。そのためだけに生きて、そのためだけに死んでもいい。シルバと同じ年数を生きてきたけれど、シルバのことを愛し始めたのは、1年ほど前だった。もっと早くシルバを見つけていたら、私は星屑になっていただろう。生きてきた長さと同じ熱量で、一瞬光って消えた。 シルバは無口な人だ。余計なことは言わない。寡黙でクール。茶色い瞳で、チームを見守っている、私のすきな人。シルバの唇が動かなくても、プレーは何よりも雄弁だ。「ここに走るんだろうが」というパス、「絶対に勝
たましいを探している。あると思っていた場所にない。眼鏡を外しても見つからない。探せば探すほど、見つからない気がしてくる。右側2段目の引き出しに入れたつもりだったのに、どこかにいった。引き出しの中身をひっくり返しながら、片付けることを想像して億劫になる。あったかどうかすら、確信がなくなっていく。 たましいをもう一度見つけることができたら、私にはたましいがあるということを証明した。あいは透過して、ここを超えていく。光の中で目を閉じて、まぶた越しに光を感じた。あったはずのものは、
12歳から22歳まで好きだった人との思い出を書き連ねてみんとす。 「恋愛対象じゃない。友達にしか思えない。好きな人がいる。」 彼が23歳で、私が22歳だったときに、ファミレスで彼が私に言った言葉だ。 「恋愛対象じゃない」と「友達にしか思えない」という文章は、「私を」という目的語が省略されている。「好きな人がいる」という文章は、「私以外に」という修飾語が省略されている。それらを明示しなくても、言いたいことが伝わるほどに、関係性が明確だったのだ。 私は彼のことを「もう好きじ
問題がなんなのか考えていた。他人から言われたことや、他人の態度に傷ついて、すべての関係性を放棄したくなる。今の自分ではだめに思えてきて、ここにいることがつらくなる。相手は何気ない気持ちで言っているし、それで私の存在を否定したことになるとはまったく思っていないだろう。 私の自信のなさが、自分を苦しめている。それがわかったら自然と泣き止んだ。自信を持つために行動すべきであって、相手の言動を思い出してめそめそしているのは無駄以外の何物でもない。自分の心を保つために関係性を断つので
深夜に考えることはロクでもない。好きな人ができると特に。そういうときは昔の地獄みたいなことを思い出してしまう。百害。嫌になったらやめるって百回思った。そばにいてほしい。つらい気持ちがある時間のすべて。このロクでもない気持ちに殉死してもいいとは思えない。大丈夫になりたい。
雌竜の息を浴びたい。今すぐに。この感情が形を持つ前に、前世の分まで忘れたい。 忘れたいことは忘れられない、忘れたいがゆえに。 雨の中、二人が一緒に帰っていく。フラッシュバックする。私のことを何にもなかったみたいに置いていく人を見て、何にもなかったと同義だったことを知った。 あんな思いは二度としたくなくて、私の名前を家で考えてたと言ってくれた人のことを思い出した。私がどれだけその言葉を欲していたか、あなたはわかっていないだろうけど。 恋愛対象じゃないと言われた。友達にしか
好きなものが似ている人と出会った。似ているところを数えていたら、夏が終わった。夏が終われば、秋が来た。スカーレットみたいに腰を絞った、ハイウエストのロングスカートを履いた。パープルのパンプスで、背を伸ばした。 あのとき投げつけられた言葉、あのとき一人ぼっちだったこと。私はゴミみたいだった。だから、燃えるゴミの日に自分をゴミとして出せばいいと思っていた。記憶が今の自分を脅かす。人生にこんな機能は必要としていない。 経年劣化の欠陥商品。納得さえできれば何でもいいとは言えない。
「存在に意味がある」と先生は言った。私もそれを強く信じることができたらと思った。自分より先生が信じることの方が信じられる気がした。 出口のない問いに対して、自分が納得できる答えがあるとしたら、それは自分が考えた果てに出会えるものなのだろう。誰かの中に答えを求めても意味はないのかもしれない。にもかかわらず、私は私の答えを先生の中に求めてしまう。そこに私はいない。答えはない。でも、私の中にも答えがあると信じられない。 私のできることが、私自身で考えることなんだろう。でも、そう
わかるとは何なのか。わかっていると言いながら、わかっていない。わかっていて、わかっていない。近くにいても傷つくだけで、それを何度も繰り返すだけだ。わかっている。私の感情をわかっていて、まだ一緒にいたい。あなたの感情をわかっていなくて、また傷ついている。 でも、まだ、そばにいたいと吐かす自分に嫌気がさす。さすはなぁ、そりゃ。私を傷つけることに何の躊躇もない私に嫌気がさす。ここから先に何があると言う。ここより前には屍しかない。なけなしの自尊心を削って、何を手に入れた。 苦行で悟り
達者でな、と彼は言った。 だから大好きだと言っているでしょう。いっぱい言葉を知っていて、それしか言わないあなたが大好きです。
私の人生に突然現れた。あなたの人生に突然現れた。 何かを語ろうとすれば、you&meについて語ることになる。 私の人生から突然消えた。あなたの人生から突然消えた。 あなたの目にはどう映っていたのだろう。私の目には。言葉であなたの中に潜り込んだ。それを望んだのは私だったのか。
最近抱えている仕事が、人の尻ぬぐい系の仕事でとにかく疲れる。外注したらこうなるという典型。破茶滅茶なものをシレッと出してくる。こっちが全チェックして、こっちがほとんど作り直している状況。こっちで直すと言ったら、お言葉に甘えますと言ってきやがったので、悪即斬と心の中で呟いた。くそが。 ちゃんとしようとする人が深夜まで残業して、いい加減なやつらが定時で帰っていく。もちろん労働時間が長いから頑張っているとは言わないが、だったら同じクオリティでやってみろやと思う。「不平等であること
抑制された文体に反して、感情の奔流に巻き込まれていた。 ルースの不器用さには困惑しながら号泣した。キャシーとトミーが二人でいるべきことを理解しながら、引き裂く発言をしたのは、自傷行為に他ならない。キャシーとトミーを騙せても、自分自身は騙せない。本当はこんな自分になりたくないのに、大切な人を傷つけることによって自分自身を傷つけている。 ルースは最後にキャシーとトミーのために自分ができることをする。それはルース自身を救うための行為である。 人が人を愛することを直接言葉にしないと