あなたが名付けた言葉になりたい
雌竜の息を浴びたい。今すぐに。この感情が形を持つ前に、前世の分まで忘れたい。
忘れたいことは忘れられない、忘れたいがゆえに。
雨の中、二人が一緒に帰っていく。フラッシュバックする。私のことを何にもなかったみたいに置いていく人を見て、何にもなかったと同義だったことを知った。
あんな思いは二度としたくなくて、私の名前を家で考えてたと言ってくれた人のことを思い出した。私がどれだけその言葉を欲していたか、あなたはわかっていないだろうけど。
恋愛対象じゃないと言われた。友達にしか思えないと言われた。ほかに好きな人がいると言われた。私が一番必要としている人は、私のことを必要としていない人。シャープペンシルを落とせば拾ってくれる。ナイフがあれば刺してくれる。私のことを誰よりも喜ばせられて、誰よりも傷つけられる人。
あなたが一人でいるときに私のことを考えていてくれたことが、私のお守りだった。ずっとその言葉を握りしめていた。ぎゅうぎゅうに握りしめていたせいで、もう原型がない。あなたが私のそばにいないときに、私もあなたのことを考えていました。それをどうやって伝えればいいのかわからなかった。そのとき、私にとって恋愛は苦しみでしか感じられないものになっていた。
あなたが将来のことを語るとき、私はあなたの横顔を見ていた。このままでいられないことはわかっていた。あのとき私は何をわかっていたんだろう。わかっていたはずのことは、わかっていても意味がないことだった。私は何をわかった気になっていたんだろう。本当は何もわかりたくなかった。どこまで行っても、遠い。
あなたのことを必要としていた。あなたに守られていたかった。私はそれだけだった。だから一緒にはいられないと思った。一瞬でも私を大丈夫だと思わせてくれて、ありがとう。あなたがいてくれなかったら、恋愛に絶望と名付けていました。もし来世で会ったときは、あなたが何と名付けているか教えてください。