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【詩集】月のぬくもり、星のなみだ。

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10代~20代に描いた詩
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2022年12月の記事一覧

【詩】港の見える階段で

【詩】港の見える階段で

港の見える階段で
ふたりでりんご味のワッフル
半分にして食べた

その少し前に
わたしは大したことない
理由で泣きだして

そのことで少し口論になったので
甘いはずのワッフルが甘くなくて
それもせつなくてまた泣きそうになった

もう、あの日の出来事は
思い出と呼べるくらいの年月が経ち

現在はおたがい他の恋人がいるので
あの林檎味のワッフルを食べることも
港の見える階段に座ることもないでしょう

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【詩】あなたの

【詩】あなたの

私のこと
恋愛対象外だって
いたいくらい知っている

知っているけれど

一生のうちで
一瞬でも
一度限りでもいいから

あなたの好きな人になりたい

【23歳のルール】

【詩】解放

【詩】解放

ひとりで行った
真冬の海岸

海にきたよ
一言メッセージ送っただけなのに
迎えにきてくれた

孤独から
解放してくれたのも
あなただった

【20歳の躓き】

【詩】今夜、優しく抱きしめて。

【詩】今夜、優しく抱きしめて。

あたたかな温もり
剃り残した髭のじょりじょりとした感触
寝起きのハスキーな声

もう終わった恋愛だけど
あなたとの沢山のことが記憶の中にのこっている

記憶はあいまいになってゆくけれど
だけどふとした瞬間に
あなたを思いだすよ

ふたりで行った場所
あなたと同じ香水のかおり
一緒に撮った写真も

今夜、わたしとあの夜と同じように
優しく抱きしめて。

【24歳の葛藤】

【詩】やかん

【詩】やかん

聴こえてくる
ひゅーひゅーという
やかんを火にかけた音

ここには何もない
何もないけれど
何かが存在している

静かに
緩やかに
流れゆくときに身を任せ

ゆだねて

耳を澄ませても
聴こえてきたのは
火にかけたやかんの音だけ

【21歳の分かれ道】

【詩】君は僕に訊く

【詩】君は僕に訊く

君は僕にこう訊く
ー私のこと愛してる?

同じことを何度も訊かれるたびに
僕はどうしてだろう
君が望んでいるのは

ー愛してないよ。
その言葉のような気がしていた

薄々感づいている
お互いの埋められない
感情のすきま

そうして
君は僕に訊くんだ
ー私のこと愛してないよね?

【20歳の躓き】

【詩】これから

【詩】これから

これから
眠れない夜があっても
あたたかな
あなたの星が包み込んでくれるから
寂しくなんてないよ

だけどね
あなたを想えば
涙があふれて止まらないんだ

たとえこの涙が枯れ果てる時が来ても
あなたのことはずっと忘れたりはしないから
その場所でゆっくり過ごしていて

今度、話せるのは
いつになるのかな
私のいのちの光が消えるまで
自分の足でしっかり歩くよ

あなたは先にそちらに行ったけれど
私もい

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【詩】月がまるい日

【詩】月がまるい日

夜の凛とする
空気を肌で感じながら
彼と手をつなぎながら帰る

月がまるい日

リズムの合わない歌
歌いながら笑っていたら
転びそうになって
びっくりしたけれど
大笑いしたね

月がまるい日

彼と過ごす日々は
泣いたり、怒ったり
笑ったりのくりかえし

だけど振り返ると
どこにでも幸せなわたしがいる

だから、
わたしの一生分の愛情を注いでも
構わないとまで思っているんだよ

【18歳の冒険】

【詩】不必要

【詩】不必要

あなたから
背中をむけて
ひとり歩きはじめて
気がついたこと

あなたが
他のひとをすきになってゆくことが
こわかったのではなく

彼にとって
私という人間が
不必要になってゆくことが
いちばんこわかったのだということ

【19歳の青春】

【詩】SkyFish

【詩】SkyFish

何が良くて
何が悪いのか

本当のことなんて

わたしもあなたも
知らないことだから

自分のやりたいと思うことを
全力でやるべきだ

本当のことなんて

わたしもあなたも
世界中のだれだって
解らないことだから

これからやることに対して
誰にも批判を言わせたりはしない

【16歳の光と影】

【詩】あるいは現実と呼ばれる過去

【詩】あるいは現実と呼ばれる過去

私たちはあの日
妙に機嫌がよくて
意味もなく笑いころげていたね

世界が自分たちを中心に
まわっているんじゃないかと
ばかげたことを本気で考えながら

だけど
この恋愛に未来はないと
感じたのはいつからだろう

手のひらの指の隙間から
こぼれ落ちる現実
あるいは現実と呼ばれる過去

こぼれ落ちてしまったものを
拾ってはいけない
それらは思い出にするべきであり

後ろをふり返ることも禁止だ

【23

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【詩】こどく・その後

【詩】こどく・その後

幼いころから
集団行動がにがてだった
協調性を要求されると
ひとりの方が気楽だとも思っていた

愛想笑いと
お世辞を上手に使いこなせば
世渡りはかんたんに出来るとさえ考えていた

だけど、酷くこどくだった。

家に帰ればひとりだったし
友人もそれぞれの時間があった

それだけがこどくだと思う
原因ではないけれど
ただ、淋しくて仕方なかった

彼に出逢うまで
ひとりで何かに没頭している時間が
いちば

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【詩】ブルースカイ

【詩】ブルースカイ

じぶんを説いても
答えは見当もつかない

見あげた空は
悲しげなブルーでした

あるいても
はしっても
答えは明確にはならない

見あげた空は
包みこんでくれるブルーでした

23歳のルール

【詩】ラッシュアワー

【詩】ラッシュアワー

私たちの関係って
まるでアレだね

朝の通勤ラッシュの
満員でんしゃのなか

人混みに紛れるように
感情がながされて
見失って押しつぶされて
散りばめられてゆく

それでも
私っていう存在を
きちんと見つけてくれる

同じ場所から乗って
同じ場所で降りる

それでいいんだよね?

22歳の記憶