高月うみ
10代~20代に描いた詩
30代に描いた詩
10行以内の短めの詩
ふたりで織りなす、ふたつの重なり。 テーマをお互いに出し合って詩を書きます。
15歳のころに描いた詩にお返事の詩。今だから思うこと、考えられること。
覚えたての煙草が上手に吸えずに 煙だけが宙に線を描いて舞っていた こんな時だから あなたが必要なのに こんな夜だからこそ あなたに居て欲しいのに 真っ暗で それでいて出口のない空間に わたしの心を置き去りにしてしまった 覚えたての煙草は上手に吸えずに 煙だけが宙に線を描いて消えていった こんな夜は 上手に眠れたらいいのに こんな夜だからこそ 上手に感情を言葉で言い表せたら それだけでいいのに 20歳の躓き
晴れの日 雨の日 曇りの日 どんな日だって 軌跡を残しながら生きている つまづくとき 立ち止まるとき 後ろを振り返るとき どんなときだって 最後には前を見ながら歩いている だからこそ言えるんだ 今日に出逢えた、そんな奇跡 20歳の躓き
これ以上、優しくしないで 今まで以上に、優しくして だって あなたは他のひとにも 同じように優しくするんでしょう? 今まで以上に、優しくして これ以上、他のひとに優しくしないで そうじゃなきゃ もう逢ったりしないんだからね 20歳の躓き
手にしている このガラスのコップを 床にたたきつけて割ってしまいたいという 衝動にかられました そうして 出来た破片があなたの感情の大事なところに 突き刺さってしまえばいいのに そこまで考えて 自分がとても恐ろしく感じたので ガラスのコップを いつもの食器棚の位置に戻して 何もないようなふりをしながら お布団にもぐり込みました 20歳の躓き
苦しみから逃れるために 答えを出したのに 答えを出す前以上に、苦しくなって 体中の水分が涙となってしまうのではないかと 思うくらいに泣いて 苦しみから逃れるために出した答えは 結果、その場しのぎだったということ 19歳の青春
あなたが好きだと言う わたしってね 本当は どうしようもなく 色々な事柄にだらしない女で あなたが信じている程 きれいでも 可愛い女でもないのよ 19歳の青春
君がこの家に居ないこと そのことに対して 淋しいよと言ってしまえば それはたちまち現実となってしまう だからと言って 淋しくないよとそう言うことは ただの強がりになる 君のいない 家の中は静まり返っていて 淋しさを隠せなかった 残された私たちは 君がいたときと同じにお喋りしたり テレビを観ながら笑ったりの 同じような日常を過ごしながら だけど 私はほんの少しだけ 誰にも悟られないくらいの 感情を誤魔化している 34歳のぬくもり
願えるならば 君が次に誰かと付き合うのならば 僕を超える人と付き合ってほしい 【短い詩】
永遠なんて 有り得ないと思ってた この瞬間まで 死んじゃったら そこで永遠は終わるとそう考えていた 心臓が恐怖でひどく速く脈打つ もう何も失いたくない それは私もあなたも同じ考え ずっとこの時間が生涯続けばいい ずっとこの時間が一生続けばいい ずっとみんなと一緒に居たい この感情が 永遠という 言葉の意味であり願いだ 37歳の着地地点
忠実に どこまでも続く 切実に どこまでも果てしなく 切っても切れない 焼いても燃えない これを愛だと呼べるのならば 私はこれまでに 何度それを見つけることが出来ただろう 形として見えないそれに 何度惑わされただろう 忠実に どこまでも続く 切実に どこまでも果てしない 22歳の記憶
マシュマロを くちに頬張ったときの様に 柔らかく そして甘く 最後にはくちのなかで溶けてゆくような そんな恋愛をすれば よかった
これが 私の出したその問いの答え 理解されなくとも 認められなくても 許されなくとも 勝手に出した答え この答えを出した 私は前へ進むだけ ただひたすら ただひたむきに 前へ歩いてゆくだけ 26歳の煌めき
桜の花びらは 雨に打たれたり 風に吹かれただけで 簡単に 静かに散ってゆく 桜の木の下で 咲いていた菜の花は 雨に打たれても 風に吹かれても 簡単には散らないはずで 今、彼を好きだけど 疑う心を持っているのも事実 この愛情を 桜か菜の花の どちらかで例えてみたらどうだろう きっと 桜の花びらだと思う 心一面に咲く桜の花が 勇ましく散ろうとしている 26歳の煌めき
ハネムーンにゆくのなら ヨーロッパにゆこう ある時期 なぜかヨーロッパを1周しても 彼と一緒に過ごせることは出来ないと 頑なに信じていたから 26歳の煌めき
彼の隣に居ることよりも ひとりの時間が増えることを 単純に喜んでしまった そんな私は 恋愛はしばらくおあずけでいい そうするべきだろう 同じ過ちを繰り返さないように
あなたと居ると 表情が次々と変わるから飽きないの それは まるで 小さい頃に大事にしまった 宝箱の蓋をそっとあけて 宝物を眺めているときの様な気分だよ 短い詩