マガジンのカバー画像

吐露2

81
個人的な書き物です。
運営しているクリエイター

#心

踊る阿呆に見る阿呆

強烈な劣等感を武器に自己表現する人達の群れが列をなしている
特別珍しい事を訴える人間はいない

私もその中にいる一人

人の評価を待っている
賞賛されたがっている

認められたいという欲求
全ての問題は幼少期にあると言われても今更なのだ
何度も自分と向き合い色々と試してきたが無意味だ
催眠術で記憶をすり替えてくれる人を探す方が早い

努力なく注目される事を待っている
自己表現に努力

もっとみる

本音

事ある毎に変化する感情に振り回される
新鮮な感情を信じたい
出来れば邪悪な感情より優しい感情を

胸くそ悪い
呑気に幸せを味わっている奴など
私の様に辛酸を舐める人生へと転落してしまえ

多分初めてではないその感情に
自分の弱さというストレスを感知した体は
胃酸を沸々と込み上げて私を落胆させ疲労させる

辛い目にあうかどうかは人それぞれ
どんな出来事を辛いと感じるかも人それぞれ

もっとみる

初恋

サーカスを連想させる二人

手を取り合い見つめ合ったまま美しくカーブを曲がる

制服姿で恋走する夢中遊泳

色もインチも違う自転車がゆっくりと同じ速度で走る

まばたきの数ほど聞こえるシャッター音

いずれを教えたくない
時を止めてあげようか

世界一眩しい素顔

耳まで染めて

はにかむ少女

選り好み

私より優っている奴らは捨てた
私より劣っている奴らも捨てた

選り好みする私は一人になった

卑しい身分に生れ落ち
選り好みする癖を持つ

波が押し寄せては引いていく
人間である事をやめたい衝動

大波が来れば呑まれて沈み
打ち上げられては乾くのみ

波打ち際に残されるのは
いつかの尖ったままの私

成長を無理強いされた子供は
生涯成長する事はないだろう

成長を無視さ

もっとみる

運ちゃん

私の運ちゃんは誕生前から痛みに弱かった。
母の腹がエイリアンの様に重く膨れ上がっていた頃
運ちゃんは「やめようぜ」と囁いた
「なぁ、かなり痛い道だぜやめとけよ」
私もそうしたかったが、母のあまりの苦しみ様が私の思いを妨げた。
母は長い苦しみに耐え、楽になりたい「私を何とかしたい」と思っている。

私は頑張った。
運ちゃんも痛みに耐えた。
そして私と運ちゃんが誕生した。

「痛い!神様仏様ど

もっとみる

息苦しい

お母さん
苦しかったよと
オギャーオギャーと産声をあげて以来
力一杯泣き叫ぶ事が出来なくなった今

結露で塞がれた肺壁で
浅い呼吸を繰り返す

ひとすじ
また
ひとすじ
小さな肺は満たされる

苦い雫を汲み取れば

悲しい記憶の蔦が

這い絡まり

二つの小さな肺の中
オギャーオギャーと
泣き声がこだまして

私は
かすかに息をする

こころが冷たい

息が

もっとみる

降魔な夜

喉の渇きと胸苦しい夢に目覚め
掻きむしった首元を撫でながら
寝ぼけ眼で間接照明のスイッチを押す
今逃れてきた夢が脳裏で回り続けている

逃れてきた今を意識するように私は想像する

満ちた月明かり下
静かにミントの葉をちぎり集めていく一人の魔女
広大な地を目前に
視界いっぱいに広がるラベンダー畑へ踏み入る
魔女の背中を追う様に駆け出す私

自分の傲慢さを感じる貴重な時間

一人で乗り

もっとみる

浮遊

生きてる?と聞かれる
何とかねと答えるけれど
多分死んでいる

血の通っているはずの身体が
薄い一枚の紙切れの様に冷たい

私の脳内は闇だ
奇声をあげる幼児の様な黄色
温かい感情を感じるオレンジ
危険を感じる赤い色
大丈夫だよと安心する緑色

どんな信号も感じない

冷たい

危ない

怒り
苦しみ
気落ちして
ため息が止まれば
諦めて
また立ち上がる
いつまで経ってもその

もっとみる

成長

このまま負けたくないと思えば思うほどに
試練を感じる心

もしかして私はあの日這いつくばったまま
あの日のまま
何一つ成長なんてしていないのではないか

重荷のまま
負担のまま
邪魔なまま
迷惑なまま

本当の私を確認してくれる人は誰もいない

自分に問う
私はどんな格好をしている?
私の背筋は伸びていますか?

下でなく真っ直ぐ前を見て!

何度も何度も自分を励まして

もっとみる

わたし

人道からは外れず歩いて来たが
いつからか
生きる道から逸れていたようだ

誰といても
ひとりきり

思い込みという籠の中
見つけて遊んだ影法師

花瓶に挿した水仙を抜き
首をむしり取る
洗面台に貯めた水にそれを浮かべ眺める

切り花の死に際が分からない

沈む事なく顔だけが水面に浮かんでいる
まだ咲いている

その顔を指でつつき沈める事に飽き
私は自分の顔を水中へと沈めてみる

ん?

水仙の顔が私の耳に囁いた

芯が腐る時が私の終わりよ

腐るまで愛でてちょうだい

なんだ私と同じか

曖昧グレイ

雨がブツブツ言っている
車内に一人私はぼんやり
不機嫌な色を暫し眺める

その変化のない顔を
表情のない私が見る

深呼吸に似せた大きなため息
散らばった考え事がまた戻る

グレーの濃淡に光と霞み
ブツブツ言っていた雨も
一瞬で見えない霧となり

白から始まり闇に染まるのか
闇から始まり白に染まるのか

どうして
死を迎える生に自由があって
私はこんなにも
本能を恐れ怖がってい

もっとみる

バイバイ

スノードームの中に生きる深緑
日の光射し込む箇所のみ光合成

バラバラにされた森林で
聖なる存在は過呼吸
根こそぎ奪われて尚の凛々しさ
誰かの仕業で売買

封印された世界に誘われ

駆け巡る体内に赤青黄色X線
ウイルス侵略による抵抗過多

バラバラに生きる私達は
ごく自然に過呼吸
根こそぎ奪った末の汚水眺めて
我らの仕業でバイバイ

閉じ込めた世界にて優越感

封印された世

もっとみる

大部屋

広く白い空間の大きな出入り口に立って中を覗き込む
7つ程のベッドが縦横まばらに配置されている
ベッド間の幅は広くその間隔からか心理的圧迫感はない

横向きのベッドが無ければとても広い新生児室のようだ

白いベッドに転倒防止の白い柵
人体分白く膨らんだ布団の中には
右向き左向きと各々横向きに眠っている
不思議と誰の顔も見えない

新生児室に並んだ小さなベッド
覗き込む顔には自然と笑みが浮

もっとみる